博士の就職


そうだ、企業へ行こう
女の生き方
やっぱり仕事がしたい!
初めの一歩

4. 初めの一歩 

 とはいえ、今までまともな就職活動をしたことのない私。とりあえず、片っ端から企業のウェブサイトを見て、採用情報に目を通す。しかし、来春卒業の学生をターゲットにした新卒の募集ばかりだ。思い立ったのが遅い私が悪いのだが、困った。さてどうしよう。

 よく「先生の紹介」という言葉を聞く。紹介してもらえば、すんなり就職できるものなんだろうか。アカデミックのポストみたいに、出来レースの抜け道があるのかもしれない。
 スタート地点から甘えきった態度の私は、とある大企業の研究職の男性に話を聞けないかと、先生のひとりにメールを出していただいた。直接のお返事はいただけなかったが、先生へ返ってきた言葉は厳しいものだった。「採用に関しての情報は、会社のホームページを見ればわかるはず。この就職難の時代に人に頼るようでは甘いんじゃないのか」

 いえ、採用情報は当然見たんですけど、何か裏口の情報があるんじゃないかと思って・・・とはもう言えない。久しぶりに横っ面を張られたような気分になって、反省すると同時に、「なにくそ」という意地がメラメラと湧いてきた。情報収集能力もない人間だと頭から決めつけられ、ムカッと来たのだ。

 よーし、それなら正々堂々と勝負してやろうじゃないの。こんな優秀な人材を逃して後悔しても知らないから、と不遜な気持ちになった私は、新卒募集のところにもかまわずエントリーすることにした。就職サイトや転職サイトにも履歴書と研究経歴を公開した。教授も紹介できる企業を何社か挙げてくださったが、私はすっかり「抜け道探し」が嫌になってしまっていた。
 本当に能力のある人がいる会社なら、「博士は使いづらい」なんて情けないことは言わないに違いない。そして確かに、懐の深い会社はあったのだ。
 
 (のちに、大手メーカーのM社から、研究職に推薦したいとの連絡を受けたことがある。M社は中途採用の公募などかけてはいない。やっぱり裏口はあるんじゃないの、と思ったことであった)

 本格的にエントリーしたのは食品会社2社、仮エントリーは1社。働きながらの活動になるので、本当に行きたいところだけに絞ることにした。1社は残念ながらエントリーシートではねられた。仮エントリーでお誘いが来たA社は種々の条件で悩み、放置しておくことに。通ったY社の活動日記は別項に詳しく記す。

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