体感音響研究所

ボディソニック効果の探求
目次
序章 情報を持つ体感音響振動こそがボディソニック効果の正体である
第1章 音楽療法とボディソニックの効果






第2章 ボディソニックはなぜ音楽療法に効果があるのだろう
第3章 ボディソニック・システムの応用施工例
第4章 期待される体感音響振動の応用
第5章 音楽療法について 健康科学の視点から

ボディソニックの研究
ボディソニックの技術開発

 
  bodysonic laboratory



第1章 音楽療法とボディソニックの効果


  第2節 体感音響振動の効果

    1.聴覚振動心理  2.音楽は身体で聴く  3.音楽鑑賞用としての効果  4.ドキュメンタリー音による効果
    5.ボディソニックのリラクセーション効果  脳波で探るボディソニックの効果  6.音楽療法への応用

1.聴覚振動心理

 人間の聴覚器官が耳であることは言うまでもないが、音の知覚が耳だけでなく身体全体で感じとっているものであることは、多くの文献でも指摘されており、周波数が低くなる程、身体で感じとっている比率が高くなるとも言われる。近くで打たれる大太鼓の音が腹に響くのは、低音域音響エネルギーが人間の身体を振動させているのである。これらは、それと意識されるものから、無意識の中に感じとっているものまで、多くのものがある。
 この音響エネルギーは、しばしば大地や床面等を伝ってくる振動を伴うものがある。例えば、電車やSLの走る音や火山などの爆発音などは振動を伴っているが、この振動感さえも音の情報の一部となり、最終的には耳からの情報と重なって総合的な音響知覚が行われる。そして体で感じている情報の多くはあまり意識されず、聴覚の「縁の下の力持ち」的な役割をはたす。これら音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面や大地を伝って感じとられる振動感を、それと意識されるものから無意識の中に感じとっているものまで含めて「体感音響振動」と呼ぶ。

 体感音響振動は「縁の下の力持ち」なるが故に、人間の根源的、生理的、官能的な面や音識下の世界にも影響を及ぼす側面があるように感じられる。音楽の場合では、陶酔感、恍惚感、リズム感、重低音感、エネルギー感などの心理的快感、生理的快感をもたらし、人間の官能にも訴える一方、ある種の音に対しては、不安感、緊張感、恐怖感などを倍加する。耳から聴いている音は、意識的、論理的な面に訴えるウエイトが高いのに対し、体感音響振動は、より情緒的、本能的な面に作用し、何か人間の根源的なものに訴えてくるように感じられる。

2.音楽は身体で聴く −耳の聞こえないパーカッショニスト−

 女性打楽器奏者エヴェリン・グレニーは 8才の時から聴力を失い始め、12才の時には音のない世界となった。自分の演奏した音を確認する方法は、自分の 「身体」。音楽は身体に伝わる〈振動〉で感じ取るのだという。
 「例えばマリンバの場合、低音は床を通じて下半身で、中音は胴体で、そして高音は頭部、特に頬骨で感じる」 のだそうである。これはとても感動的な話である。
 健聴者は音から得られる情報によりマスキングされて振動をあまり意識しないが、彼女の話を聞けば人間はいかに振動の影響を受けているかが理解されるだろう。
 また彼女は演奏会の後の説明で 「女性バイオリニストが好んで肩の露出したドレスを着て演奏するのは、顎と肩で直接、楽器の振動を感じ取りたいと思うからです」 とも言っていた。この話は 『バイオリニストが、顎に楽器を抱えて、陶然と自分の弾く音に浸っているのは、顎の骨にバイオリンの表裏板からじかに伝わる振動音、ボーンコンダクションの音を聴いているためである。楽器を演奏する人は耳で聴く音の他に、楽器を持つ手、身体を通して直接振動が伝わり聴覚系伝播されるが、音楽の中で聴く人に真の恍惚感を与えるのは、直接伝わる「振動」・ボーンコンダクションの方である』 という糸川英夫博士のボーンコンダクション理論と一致する。

3.音楽鑑賞用としての効果

 音楽によるボディソニックの効果は以下に列記するようなものとなるが、音楽の分野が異なると、その効果の期待点にも微妙な違いがあることを伺わせる。
 
@重低音感 低音振動を体に与えるのであるから、重視されるべき効果であることは当然であり、すべての音楽に共通する効果である。音楽分野とは関係ないが、音質、音響効果に関心の高い人が重視する傾向も見られるようである。
 
Aリズム感 リズムが明確な音楽を好む人が関心が高い。モダンジャズなどを主として聴いている人達が重視し、その効果への期待感も強い。
 シンコペーティックなリズム、スリリングなリズムなど、リズムがジャズに於ける重要な要素なので当然かも知れない。ベースの音、パーカッションの音など、直接体に振動としてたたき込まれる感じでもあり効果もある。この分野の音楽を聴いている人達はリズム感に、より多くの神経を集中しているせいか、重低音感などには、あまり関心を示さないように見受けられる。
 リズムが明確なポピュラー音楽おダンス音楽での効果には効果的である。エアロビクスのスタジオでは、フロアをボディソニック方式にして、リズム感を強調しライブ感を高めて高い効果を上げている。
 
Bエネルギー感 ロックなどを聴いている人達が重視する効果である。圧倒的な大音響エネルギー感はロックにとって重要な要素で、ロック音楽を小音量で静かに聴いたのでは、ロックの良さは味わうべくもないであろう。
 体に強い衝撃感を与えるバスドラムや、強烈なベースの音を体感音響振動として体に与えることにより、強烈なエネルギー感が再現され、ロックの真髄にふれる感がある。ボディソニックを設置したディスコが効果を上げるのは、その一例とも云えよう。
 
C陶酔感、恍惚感 あらゆる分野の音楽に共通する効果であるが、ポピュラー音楽などに於て、この面が多いように思える。特にエレキベースの音は何とも快く響き、快いリズム感と共に、たいへんリラックスした気分になる。音楽には、もともと陶酔感や恍惚感があるものだが、ボディソニックによってこれが深められ倍加される。
 
D官能的、生理的快感 程よい重低音振動は人間にとって本質的に快いものであるらしい。何か、人間の根源的な官能に訴えるものがあるように思える。
 この快さは、女性の方がより深いように見える。と云うのは展示会などで、ボディソニックで試聴している中に快くなって眠りこんでしまうのは女性であったから…。

 ボディソニックシステムの体感音響振動は、振動には違いないが、バイブレータやマッサージのそれに比べれば、微弱で微妙、かつ繊細なものであり、オーディオ的なものである(従ってバイブレータなどの感じだけを期待する人には、失望を与えるかもしれない)。
 しかし、それなるが故に音楽鑑賞に効果があるわけで、ボディソニックは技術的手段としては、人間の体を物理的に揺さぶるのであるが、本当に揺さぶっているのは、人間の感性や心であるといえる。体感音響振動を付加することは、音響学的な高忠実度原音再生の立場が見落していた「音楽の重要な本質の何か」を拾い上げていると言えよう。
 前述したA〜Eの効果などにより、ボディソニックシステムによって音楽鑑賞を行なうと、音楽が持つ、「感動」や「陶酔感」を、より深いものとし倍加し、快いものとする。
 ボディソニックシステムが、音楽療法に効果があるのは、上記効果によるものと考えられる。特別な曲でなくても、患者の好みの曲で効果があった、というのも上記の効果によるものと思われる。

ドキュメンタリー音     

4.ドキュメンタリー音による効果

 ボディソニックは音楽ばかりでなく、噴火や大砲の音、雪崩や山崩の音、地震などによりビルなどが崩れる音など地響きや衝撃感を伴うようなドキュメンタリー音を、ボディソニックで再生すると、本当に地響きや衝撃感がする。また、トラクタや車のエンジン音、SLや電車の走行音など乗物の音では、振動によって本当に車や電車に乗っているような感じがするし、目の前を本当にSLが走っている感じがする。
 これら広い周波数レンジと重低音域の成分を含む衝撃感や、振動感を伴なう音、ときには地響きさえ伴なうようなドキュメンタリー音や効果音を、ボディソニックシステムを使用して体感音響振動を付加すると、スピーカやヘッドホンだけの再生ではとうてい再現することのできない迫真の臨場感を再現することができる。
     ボディソニックの臨場感再現効果
          敷物形のボディソニック(体感音響装置)によるホームシアター

 この、ボディソニックの効果を、映画DVD などの映像メディアと組合わせることによって圧倒的な劇的効果を高めることが可能である。最近はハイビジョンによるホームシアターやバーチャルリアリティへの応用の期待が高まっている。

5.ボディソニックのリラクセーション効果

 ボディソニックのリラクセーション効果については、次の経験談が感じを良く伝えているので紹介しよう。

5.1 リラクセーション効果1 研究中に居眠りをしなければ駄目

 「ボディソニックの研究開発中は、実験や体感試聴を繰り返すのですが、体感試聴中、いい気持ちになって眠り込んでしまうことが多くて…、仕事中なのでまずいわけですが、どうもそうなってしまう。
 もう10年以上も前のことですが、あるとき例によって寝込んでしまったのですが、人の気配で目が覚めると、会長 (パイオニアの創業者であり、ボディソニック(株)のオーナーでもある、故 松本 望氏) が、笑いながら前に立って見ているのです。
 仕事中なので咄嗟に〈まずい!〉と思ったのですが、会長はとても上機嫌なんです。ボディソニックの椅子での試聴経験が多い会長は、その辺の事情は先刻よく承知で、怒ったりしませんでした。怒るどころか喜んでいるのです。
 というのはボディソニックは性能が良くないと眠くならないのです。だから眠り込んでいる、ということはそれだけ性能が良いわけで、眠らないことの方が問題なわけです。眠り込まないような製品では駄目で、研究中に居眠りをするような、性能の良いものでなければいけないわけです」。


 ハードウエアの性能は重要である。体感音響振動は、ただ振動を与えさえすれば可いというような単純なものではない。その効果が十分に発揮されるためには、高度な技術が要求され、周到に設計された高いクォリティが要求される。性能の良くないシステムを使用して 「体感音響振動の効果が認められなかった」 というような研究報告例もあり、憂慮されるところである。
 ボディソニックは、その性能上のクォリティが非常に重要で、振動しさえすればボディソニックと思うような雑な考え方は厳しく排除されなければならない。


 「実験室での出来事は周りに人がいないからリラックスしやすいのでしょうけれども、傍に大勢人がいてもそれは起こりましたね。ボディソニックで音楽を聴きなれてくると、ボディソニックが無くなるとひどく物足りないような、さみしい感じになります」。

5.2 リラクセーション効果2 展示会で若い女性が眠ってしまう

 「いろいろなショーや展示会にボディソニック・チェアを展示実演しましたが、展示会場で眠ってしまうお客さんがよくいました。目の前に大勢の人が居るのにボディソニックの椅子で寝てしまう。
 以前はカプセルのない椅子で視界は遮られないのですが、それでもリラックスして、心地良く寝込んでしまい、目が覚めてから恥ずかしそうにしている若い女性が必ず毎回いました。羞恥心の強い若い女性が大勢の人前で眠り込むなどということは、普通はないことなのですが、ボディソニックの椅子で音楽を聴いているとリラックスして寝てしまう。毎回のことなのでこちらは慣れっ子で心得たものでしたけれども ……
 こうしたショーや展示会で眠ってしまうのは、何故か殆どが女性でしたね。だからボディソニックは女性の方が、心地良く感じているのだと私は思っています。女性ではないので断言はしかねますが…」。
 尚、リラクセーション効果は、ボディソニックの振動が1/fゆらぎであることに深い関係がある。(詳しくは別の項で詳述


脳波で探るボディソニックの効果     

脳波で探るボディソニックの効果  

 

ボディソニック(株)第2技術部 高橋和也   


 体調や心理状態を探る手段の1つとして、脳波を見ることは医学的に認められた方法となっている。人間の脳は数百億もの神経細胞が複雑に組み合わさってできていて、その中を様々な情報が行き来している。その活動の様子が微弱な電流となって頭の表面に表れるが脳波である。
 脳波は、その中の特徴的な波形とその時の状態から大まかに言って、
 
    θ波 眠い時
    α波 安静なときべ静な時
    β波 緊張している時
 
 があり、さらににα波は、
 
    αT波 ぼんやりしている時
    αU波 リラックスしている時
    αV波 意識が集中している時
 
 というように分類されているが、実際に脳波計で見てみるといくつかの波形が混ざり合い、刻々と変化している。それを一定時間ごとに区切ってその中で一番多い部分(優勢脳波)は何なのかを見ることによって、その時の体調や心理状態がわかるわけである。
 さて、当社が提案するポディソニック=体感音響装置は、人間にどのような働きかけをしているだろうか。この疑問に対する答えも脳波を見ることによって探り出すことができると考え、分析してみた。


ボディソニックの効果 その1 リラクセーション
  

 まずは従業員24名の協力を得て、(株)ダイチで販売しているボディソニックチェア“ヴェントゥーノ TR-001”を使って、ただ座っているだけの時と、座って好みの音楽と振動からなるボディソニックサウンドを体感している時の優勢脳波の出現率を測定し比較してみた。図1は24名全員の平均値をグラフ化したものだが、ただすわっているだけの時を0とするならば、αの出現率は増加し、θ波、β波の出現率は減少している。つまり“ヴェントゥーノ TR-001”を使っていただければ緊張はやわらぎ心身共に安静な状態になれる!とまでは言いきれないが、そのような効果があるということが、このデータを見たかぎりでは言えそうである。


ボディソニックの効果 その2 誘眠
  

 次にボディソニックアンプ“MV-P524”を使ったベッドパッドシステムに30分間、ただ横になっているだけの時と、断続的にメンタルバイブレーションを体感しながら横になっている時の優勢脳波の出現率を測定し比較してみた。
 図2は4名の平均値をグラフ化したものだが“ヴェントゥーノTR-001”の時と同様に考えるとα波は、α1の出現率は増加し、α2、α3、β波の出現率は減少している。そして、騒音や照明のある場所であるにも拘わらず、4名全員がメンタルバイブレーションを体感している時にねむってしまったことを自覚していた。
 すなわち、メンタルバイブレーションは眠りを引き起こす力を持つのではないかということが考えられる。
 このように、ボディソニック=体感音響装置が、他の様々な要因と共に、人をリラックスさせたり、心地よい眠りを誘ったりといった効果をもたらしていることが、だいぶ明らかになってきた。又、これらのことを客観的に探る手段として脳波観測は興味深いものだと思われる。
 さらに実験を重ねていくことにより、これらのことは単なる予測や想像ではなく、しっかりとしたノウハウとして蓄積されていくと考えられる。


6.音楽療法への応用

 このようにボディソニックシステムによって音楽鑑賞を行なうと、深いリラクセーション効果が得られるようになる。また、音楽の重低音感、リズム感などが強調され、心理的、生理的効果を及ぼし音楽の持つ感動や陶酔感、恍惚感を深め、音楽の印象をたいへん強める効果が生まれる。

 聖路加看護大学学長の日野原重明先生の鋭い洞察力と行動力は、ボディソニックを見て、これが音楽療法に応用可能であることを見抜くとともに、音楽療法の研究と普及を計るために、'86 年に日本バイオミュージック研究会を組織した。
 バイオミュージック研究会会報、創刊号の中で日野原先生は『研究には方法論がないとなかなかできない訳ですが、幸いにもボディソニックという体感音響装置が開発されたので、それを試験的に使いながら若干の研究をして参りました。これによって侵襲を与えることなしに一般の人々に、またベッドに横たわっている患者の全身を音楽で包むことによって、そこに大きな生理学的な変化が出現するということが少しずつ判って参りました。
 そこでこれらの音楽が心と体に与える影響を地道に研究してみたいと考えています』と述べられている。

 音楽療法は音楽の持つ感動や陶酔感の効果を利用して精神的、情動的作用を及ぼすことによって行なうので、ボディソニックにより、効果を一層高めることができる。
 意識下にある胎児期の記憶が呼び覚ます安心感、心地よさ、及び、1/fゆらぎ効果による体感音響振動のリラクセーション効果や、音楽の振動が痛みを和らげる生理的な効果などもボディソニックを効果的にする。
 これらの効果から、音楽療法への応用がなされ、心療内科領域、老年医学領域、末期医療領域、人工透析、献血、外科領域、歯科領域、産科領域など医学分野で多くの臨床報告があり注目されている。
 さらに、褥瘡(床ずれ)への効果などは、音楽振動が細胞レベルで直接的に生理的効果を及ぼしている可能性が大きい。次節でそうした音楽療法の実際例を見ることにしよう。


 

   第3節 1 心療内科領域 ボディソニックを使用した音楽療法例(1)

 

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