体感音響研究所

ボディソニック効果の探求
目次
序章 情報を持つ体感音響振動こそがボディソニック効果の正体である
第1章 音楽療法とボディソニックの効果





4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他


第2章 ボディソニックはなぜ音楽療法に効果があるのだろう
第3章 ボディソニック・システムの応用施工例
第4章 期待される体感音響振動の応用
第5章 音楽療法について 健康科学の視点から

ボディソニックの研究
ボディソニックの技術開発

 
  bodysonic laboratory



第1章 音楽療法とボディソニックの効果


  第3節 3-9 人工透析、成分献血 ほか
             ボディソニックを使用した音楽療法例(3)

    3.人工透析  血液透析中における音楽療法の試み     4.成分献血     5.末期医療領域

    6.外科領域     7.歯 科     8.産 科     9.鍼灸、その他      謝 辞

 

3.人工透析

 人工透析は一回の透析に要する時間は4〜5時間ぐらいで、週1〜3回ぐらいしなければならず、成分献血よりはるかにたいへんである。この分野で音楽療法を最初に適用をしたのは、大阪府立病院腎臓内科医長の椿原美春先生である。
 同病院の人工透析室の看護婦さん達(表文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、下田俊文、春木谷マキ子、黒畑功、豊中啓尹子)が「血液透析中における音楽療法の試み」として大阪透析研究会誌に発表し注目された。
 医療用・ボディソニック・ベッドパッドを使用して、音楽は患者さんに好きなテープを持ってきてもらうのを基本にしているそうである。人工透析を受ける患者は最近は年間 8千人づつ増えており、現在では 10万人を越えている。
 今までは高齢者や合併症を患っている患者は技術的に困難で適用されない場合が多かったが、医療技術の進歩でそうした難しい患者にも透析を適用するようになってきた。


医療用・ボディソニック・ベッドパッド
人工透析など、さまざまな領域で使用されている



 最近は糖尿病が原因で腎不全になった透析患者が増えているが、こうした患者は腎臓だけでなく全身の臓器が機能不全になっていたり、高齢の人が多い。透析を初めて行なう導入患者は、経験がないため不安とストレスがたいへん高い。
 とくに高齢であったり合併症を持つなどの難しい患者では特にいちぢるしく、安定透析に至る経過が非常に長くなってしまったり「寝たきり」になってしまったりというケースもあると聞く。このため、導入期を乗り切って安定期に入るまでは患者のストレスを軽減することが非常に重要である。
 透析導入期が患者の一生を左右するものであり、それがうまくいかなければ心身症になったり、最悪の場合は透析拒否をして生命にも関わる。こうしたことを避けるために音楽療法の必要度が高いわけである。大阪府立病院は基幹病院という性格上、導入患者や大きな手術を必要とするような患者ばかりを扱っていて、患者のストレスの軽減は他の人工透析施設におけるよりも一層重要になっている。
 そして3〜6カ月の導入期を終え、透析を受容した患者はこのセンターから転院していくシステムになっている。そうした患者さん達にボディソニックを使用した音楽療法が行なわれているが、ストレス軽減に顕著な効果を上げている。


 

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透析中における音楽療法

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他




3.1 大阪府立病院の症例

「血液透析中における音楽療法の試み」

   表 文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、下田俊文、
   春木谷マキ子、黒畑 功(大阪府立病院 人工透析室)、豊中啓尹子(大阪府立病院 精神科)


症例1

 64才の男性、趣味は音楽鑑賞、散歩。職業は元教師。家族構成は妻と2人暮し。合併症は糖尿病性網膜症により全盲。糖尿病性胃腸運動障害による消化器症状・血糖変動が著明。
 現病歴は糖尿病性腎症により '89年3月に透析導入。妻の協力により週2回、1回あたり4時間の通院維持透析を続けている。ボディソニックによる音楽療法施行前は透析中の吐き気、嘔吐、血圧変動が著明であったが、音楽療法により、それらの消化器症状の軽減と血圧の安定化傾向を認めた。CASによれば、音楽療法前は高い不安度を示し不安神経症タイプであったが、音楽療法後は全項目に於て改善し、精神的な安定を認めた。


症例2

 35才の主婦で、趣味は音楽鑑賞。家族構成は夫と子供2人。合併症は貧血。
 現病歴は '86年12月慢性糸球体腎炎で透析導入。週1回4時間の維持透析中。音楽療法施行前は透析中に腹痛・倦怠感などの訴えが強かったが、音楽療法施行によって愁訴の減少と血圧変動の減少を認められた。CASによると不安に対する耐性を有するタイプであったが、音楽療法後はさらに外環境への過剰な反応がなくなり、精神的な安定を認めた。


引用文献

 表 文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、下田俊文、
 春木谷マキ子、黒畑 功、豊中啓尹子:血液透析中における音楽療法の試み
 大阪透析研究会会誌 1990,9月,8巻2号 p173-177


 こうした症例を見ると音楽療法で精神的に安定することによって吐き気、嘔吐が少なくなり血圧変動が軽減し、腹痛・倦怠感など愁訴が減少しているのは、スムースな透析を可能とし患者にとって福音であろう。音楽療法の適用によって、ストレスを和らげることが、さまざまな良い効果となって表われていることが窺える。


3.2 聖路加病院などの例

 聖路加病院の人工透析室では医療用・ボディソニック・ベッドパッドを4床と、篠田教授から相談を受けた特別設計の透析椅子用のボディソニックも使用されていて、「慢性透析患者・透析中の音楽併用の試み」(土屋みゆき、樋口正子、大岩考誌、篠田知璋)が日本バイオミュージック学会で発表されている。また、篠田知璋教授による「音楽療法:慢性疾患、特に透析患者への応用」が心身医学会で発表されている。

 東北大学医学部においても「人工透析例に対する音楽療法の鎮痛効果 − 特に脳波トポグラフィを用いた治療効果の検討 − 」(田中文人、村中一文、野村泰輔、青木茂美、峰岸俶子)が心身医学会で発表されており、医療用・ベッドパッド方式ボディソニックを使用している。

 
 

        体感音響装置・ボディソニック搭載の人工透析椅子
               聖路加国際病院・人工透析室


 人口透析は長時間にわたるもので、少しでも快適にするためにも、注目される分野である。透析の患者は心身症の傾向が見られる場合も多く、その面からも音楽療法適用の効果が期待される。大阪府立病院のような難しい患者でなくても、透析中を少しでも快適に過ごす、クォリティオブライフの立場からも重要なことである。
 聖路加病院で看護婦さんから切実にいわれたことは「患者さんからボディソニック使用の要望がとても多い」とのことであった。そうしたことがあって最初は一床だったのが、段々と増えていった。
 病気や医療には精神的、肉体的な苦痛や不快感を伴うことが多い。それを少しでも緩和することは、人間的に医療の質を高めることでもある。そしてそのことが好影響を及ぼして医療上、好ましい結果にもつながっている。

 

参考文献

 音楽療法最前線(1) 「大阪府立病院人工透析室での音楽利用」
 椿原美治:(大阪府立病院腎臓内科医長)  日本バイオミュージック研究会誌 1990,12.Vol.5 p40-43

 表 文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、下田俊文、春木谷マキ子、黒畑 功、
 豊中啓尹子:血液透析中における音楽療法の試み  大阪透析研究会会誌 1990,9月,8巻2号 p173-177

 篠田知璋:音楽療法 −慢性疾患、とくに透析患者への応用−
 日本心身医学会誌(心身医学) 1991.Vol.31 p10

 土屋みゆき、樋口正子、大岩孝誌、篠田知璋:慢性透析患者・透析中の音楽併用の試み
 日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, p106

 田口文人、村中一文、野村泰輔、青木茂美、峰岸俶子:人工透析例に対する音楽療法の鎮静効果
  −特に脳波トポログラフィを用いた治療効果の検討−  日本心身医学会誌(心身医学) 1991.Vol.31 p10

 篠田知璋:芸術療法  慢性透析患者への透析中の音楽療法の試み
 日本心身医学会誌(心身医学) 1992,2月 Vol.32 第2号, p108-113



 

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成分献血

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他



4.成分献血

 輸血用血液はたいへん重要である。また、血液を原料とする血液製剤を造るためにも血液が必要である。エイズ、B形肝炎などが問題になってから、献血を主体に行なわれるようになっが血液は不足している。
 特に問題なのは血液凝固因子製剤の原料としての血液である。血液製剤はかなりの部分を輸入にたよっていたが、これを国内自給するために成分献血普及の努力がされている。
 血液製剤に必要なのは血液の中の血漿と血小板である。その一方で赤血球は余ってしまう。そこで献血のとき、血漿と血小板を採血するのが成分献血である。
 最近は輸血といっても、病状に合わせて血液の成分は、調整されたものが輸血される場合があり、昭和天皇の病状が悪化したとき、成分輸血をされたとのマスコミ報道があり、血液の成分は病状に合わせて調整されたものが輸血されることが、一般的にも知られるようになった。血液の絶対量の不足は勿論なのだが、特に不足しているのが血漿と血小板で、赤血球は余って廃棄されているとも聞く。これはとても、もったいないことである。


4.1 成分献血とは
  

 成分献血とは血漿と血小板のみを採り、赤血球は採血しない採血方法である。普通の全血では一回の採血が二百t位いだが、成分献血の場合は全血換算で、千tに相当する血漿と血小板を採血できる。しかも、ドナー(献血者)の負担はたいへん軽く、二週間後には完全に回復し、次ぎの採血ができる、負担が少ない優れた採血方法である。こうした利点から日赤では成分献血に重点を置くようになった。貴重な赤血球を無駄にすることもなくなるし、ドナーの生理的負担も軽い。合理的な良い方法だけれども採血時間が長くなるのが欠点である。成分献血の場合、採血した血液を遠心分離して血漿と血小板を取り出し、赤血球をドナーに戻すので一時間ぐらい掛かる。


4.2 成分献血に音楽療法を採り入れる
  

 そうしたことから、大阪大学医学部講師で大阪府赤十字血液センター副所長の小林芳夫先生は、ドナーがリラックスして快適な一時間を過ごしてもらえるよう、パット式の採血ベッド用ボディソニックの応用を考えた。これにより、ドナーはリラックスして、楽しく献血ができて採血時間も短く感じられるようになった。


体感音響装置・ボディソニックを搭載した献血台
 日本赤十字社北大阪血液センター



 リラックスすることは採血をスムーズに行なう上でも重要なことである。オープン採血(学校や企業での出張採血)では、血液センターでの採血と異なり、採血環境の条件がよくない場合が多い。ドナーに対する精神的環境がよくない場合にVVRなどの発生が起こり易いが、ボディソニックを採用してからVVRの発生はゼロになったそうである。
 また、日赤北大阪血液センターの成分献血での成果は、大阪府立病院腎臓内科へも伝わり、音楽療法の人工透析への応用につながった。


             オープン採血用のボディソニック搭載献血台
                      
軽量、折り畳みの可搬形。


参考文献

 小林芳夫、松本一夫、大國典子:成分献血における振動を伴う音楽の心理学的効果
 日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, p84-87

 大国典子、小林芳夫、松本一夫、富田忠夫、小川敏彦:成分献血における音楽の心理的効果について
  −体感音響装置を使用して−  日本血液事業学会 第13回(熊本) 1989,10月, p75



 

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末期医療領域

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他



5.末期医療領域

 高齢化社会は、末期医療領域とも関連があるといえる。癌は依然解決されていない病であり、末期癌患者のターミナルケアは重要である。
 横浜市民病院、池田典次先生、岩谷房子先生の「ターミナルケアにおける音楽療法の試み」では、非常に興味深い効果が得られている。
 症例は53歳の男性、尿管腫瘍--肝転移末期。方法は医療用ベッド専用に作られた特製の、医療用・ボディソニック・ベッドパッドを使用して、音楽は患者の好む音楽のカセットテープによった。この患者は非麻薬性鎮痛剤ソセゴン(1アンプル中ペンタゾシン15r含有)を毎日1〜2アンプル使用し、排便が困難であったが、ボディソニック(体感音響装置)を使用した音楽療法をしたその日に多量の自然排便があり、以後鎮痛剤ソセゴンは3日に1度、1アンプル、つまり鎮痛剤の使用量が1/3の使用で済むようになった。



医療用・ボディソニック・ベッドパッド
 ベッドのマットレスの上に敷くだけで、ベッドが体感音響・ボディーソニックベッドになる。末期医療、外科領域の術前術後、人工透析など、さまざまな領域で使用されている。


 その他の患者でも、患者及び家族からの聞き取りアンケート調査では排便、排ガスが良好となったこと、痛みが緩和したこと、だるさに対して行なっていたマッサージの施行回数が減ったこと、褥瘡(床擦れ)ができにくくなったことなどが共通に認められた。
 末期癌患者の場合、エンドステイジに向けて鎮痛剤の使用は増加するのが通常であることを考えると、これは劇的なケースといえよう。この例では痛みが明らかに減り、最後までボディソニックを使用して、インドメサシン(非ステロイド性消炎鎮痛剤)座薬の使用も減って苦痛を訴えなかったという。ボディソニックが便秘に効果がある、褥瘡に良いとは他の先生からもいわれているが、これはそれらの好例でもある。

 ルネッサンス期の音楽療法の記録によると、坐骨神経痛の患者の患部の上で楽器を演奏させ、直接患部に音楽の「振動」を与え、疼痛を軽減させる治療が実際に行われたが、これは音楽が心理的な面だけでなく、生理的な面にも作用することを示唆している。ターミナルケアの症例は、これを現代のテクノロジーで再現したものである。音楽の体感音響振動が痛みを和らげる効果は末期医療領域の他、外科領域、歯科領域などでも実際に応用されている。

参考文献

 音楽療法最前線3 ターミナルケアにおける音楽療法の試み −横浜市立市民病院外科を尋ねて−
 池田典次、岩谷房子(横浜市立市民病院) 日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, P93-96

 岩谷房子、池田典次:末期患者に対する音楽療法の試み −特にボディソニックベッドパッドの応用−
 日本バイオミュージック学会誌 1994,6月 Vol.11, P29-P38



 

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外科領域

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他



6.外科領域

 外科関係では術前の不安感和と、局所麻酔の術中の不安の緩和とがある。

6.1 術前不安の緩和

 術前の例としては看護学会で発表された、広島大学医学部付属病院、岡光京子先生、千葉大学看護学部、佐藤禮子先生の 「子宮摘出術を受ける患者の術前不安の緩和」 − 体感音響システムによるリラクセーション効果の影響 − (その1)(その2)は、医療用ボディソニック・ベッドパッドを使用して、2年間にわたって同じテーマで発表されたものである。女性が子宮を摘出するのは、たいへんなショックと不安、精神的な葛藤、ストレスがあるが、その不安の緩和とリラクセーションの効果をあげている。こうしたケァは術後についても重要である。不安や緊張の緩和が、ただリラックスしたというだけでなく、患者の術後の経過にも好影響を与える。

6.2 術中の不安の緩和

 横横浜市立大学病院形成外科科長、西条正城先生らの「局麻患者へのボディソニックの応用」および、済生会横浜市南部病院、梅垣いつみ先生らの「意識下で手術を受ける患者へのボディソニックの導入 −不安の軽減と安楽を考える− 」などの報告例は、手術時の不安や緊張を和らげ、少しでも快適にするため、手術台専用の特別製パットタイプのボディソニックを使用している。使用する音楽は患者の聴きたい曲である場合が多い。
 全身麻酔の場合はともかく、局所麻酔の場合は意識がはっきりしている分、緊張感も高まる。麻酔をかけているから痛くはないはずなのだが、術中の処置の器具の音や感触のようなものが伝わってきてひどく緊張したり、とても痛いような気がしする。そうした緊張を少しでも和らげることに効果を上げている。また、痛い痛くないに拘らず、手術を受けること自体が緊張と不安を伴うものである。緊張の緩和は、術後の経過にも効果がある。

   

 ボディソニックを搭載した外科手術台
     右上はボディソニックを搭載した外科手術台。
← 左はボディソニック搭載手術台による局麻術中写真。
           (済生会横浜市南部病院)

 以前、西条先生に手術にボディソニックを応用することの効果を伺ったとき「患者の緊張緩和とともに、執刀する我々スタッフも緊張を和らげられるのですよ」と言われたことがとても印象に残っている。緊張するのは患者だけではなく、執刀する医師たちも緊張するのだと、そのとき気づいた。言われてみればもっともだが、手術される側にしかなったことのない者としてはとても印象に残った言葉であった。


参考文献

 岡光京子、佐藤禮子:子宮摘出術を受ける患者の術前不安の緩和(その1)
 日本看護学会、第19回 成人看護(島根) 1988, P81-83

 岡光京子、佐藤禮子:子宮摘出術を受ける患者の術前不安の緩和(その2)」
 日本看護学会、第20回、成人看護(青森) 1989, P196-198

 大場とも子、西条、前川、青木、佐々木、岡部、菊地:局麻患者へのボディソニックの応用
 日本バイオミュージック研究会誌 1989,Vol.3, P49

 村山正子、小熊由美、梅垣いつみ:意識下で手術を受ける患者へのボディソニックの導入 −不安の軽減と安楽を考える− 
 日本看護学会、第20回、成人看護(青森) 1989, P199-202



 

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歯科

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他



7.歯 科

 歯の治療というだけで痛さを連想する程であり、処置中の痛みや緊張感という点では歯科領域はさらに身近であろう。大体は麻酔なしで処置するし、外科より歯科の方が治療を受けている人も多いし回数も多い。
 愛知学院大学齒学部・黒須一夫教授の小児歯科学会に於ける発表があるが、小児歯科の場合、患者が不安や恐怖心から泣きわめくなどして治療を拒むと、どれほど優れた医療技術もなす術を失ってしまう。だから不安や恐怖心を取り除き痛みを和らげることは切実、かつ重要な問題である。黒須教授はボディソニックを歯科診療台に取り入れて、この問題の解決をはかり好結果を得た。
 不安、恐怖心、痛みの緩和の必要性は小児に限らず大人も変わらない。そうしたことから、この発表を受けて、ボディソニックを搭載した歯科診療装置をモリタ製作所が量産し、多数の歯科医院で使用されている。使用する音楽は患者の好む曲を使用する場合が多く、患者自身が持参したテープを使用する例もある。
 その他、福岡先生らの日本歯科東洋医学会で発表された「音楽体感による心身のリラクセーション誘導による歯科治療時の緊張感の除去効果について」(福岡博史、小山悠子、畑真理子、福岡 明)や、歯科領域と心身医学領域にまたがる例として、小関英邦先生らによる「口腔心身症へのボディソニックの使用経験」などもある。


ボディソニックを搭載 した歯科診療装置 (モリタ製作所)



参考文献

 黒須一夫:歯科用体感音響装置の小児への応用効果
 第24回日本小児歯科学会 1986,5月

 土屋友幸、山田ゆかり、黒須一夫:歯科用体感音響装置の小児への応用効果(2) 内部行動変化
 第25回日本小児歯科学会 1987,6月

 黒須一夫:音楽療法最前線(2) 歯科治療と音楽療法
 日本バイオミュージック研究会誌 1990,12.Vol.5 P44-45

 黒須一夫、土屋友幸:体感音響(ボディソニック)の歯科領域への応用
 日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, p72-83

 川口哲郎、川口和子:不安と痛みをやわらげる音楽 −聴覚刺激を歯科診療時に応用するためにα波の状態を観察した研究
  レポート−  最新療法研究シリーズF  Image Booster No.173

 福岡博史、小山悠子、畑真理子、福岡 明:音楽体感による心身のリラクセーション誘導による歯科治療時の緊張感の除去
  効果について    日本歯科東洋医学会誌 1989,Vol.7, p80-81



 

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産科

 



人工透析 ほか


4.成分献血

5.末期医療領域

6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他



8.産 科

 産科関係としては '84年に陣痛ベッド用ボディソニックを2台、特注試作して納入した。その後、分娩台用も研究開発し '88年に分娩台に装着するボディソニックを特別注文で作り設置したが、あまり注目されずに時間が経過した。
 しかし '90年に山梨県の秋山医院に分娩台用ボディソニックを設置して、同院院長秋山尚美医師が「音楽を全身で体感しながらお産を」として発表してから、たいへん注目されるに至った。新聞を始めNHKの教育テレビでも取り上げられた程である。現在までに約300名がこの体感音響分娩台で出産しているそうである。この分娩台での出産を望まなかったのは、今までにたった1人だけで予想以上の効果と評判である。
 秋山先生は自分のストレス解消のために、自室で数年前からボディソニック・リフレッシュ1で、心身の快さ、陶酔のひとときを楽しんでいた。そうした中で考えたのが「妊娠中期になれば胎児の聴覚は発達してきているので、妊婦さんにもリラクセーションと胎教を兼ねて、この心地よい気分を味わったもらおう」と、当初は外来で使用していた。また、4〜5年前から妊娠後期の妊婦検診の一環として産婦人科では必ず試みているNST(ノン・ストレステスト)装置とこれを併用し胎児の動き、心拍数、眠りの診断に利用し始めた。
 最近の若い母親はユーミン、サザンオールスターズ、竹内マリアなど、圧倒的にニューミュージックを好む。クラシックなどはあまり好きではない。そこで検査のはじめ30分ぐらいはクラシックを流し、途中でニューミュージックなど好きな曲に変える。すると胎児の心拍数が上がる。胎児は通常の心拍数が 140/min位ですが、180/min 近くの一過性頻脈を見ることも珍しくない。さらに胎児の動きを示すグラフも大きく振れて、母親が胎動を感じるのとも一致する。これは胎児の健常性を意味するのだそうである。
 こうしたお母さんの例では、ビバルディやモーツァルトのような静かなクラシックの場合、胎児は寝ている状態に入っていて、約30分後に母親の好むジャンルの曲に変えると、胎児は目覚めるのか胎動も心拍も活発になる。
 母親がクラシック好きの場合はクラシック音楽で胎児の心拍数も胎動も活発になる。これは初産婦、経産婦の区別なく起こり、連続的な繰返しでも、日数を置いての検査でも再現性があるそうである。
 母親の好む曲に、これほどはっきりと胎児が反応を示すことは、母親の心理状態が胎児に与える影響が、想像以上に大きいことを知らされる。胎教の重要性もあるし、人間の生命・生理と音楽との関係の深さに、サイエンスとしての驚きとともに、神の存在や深い神秘性さえ感じさると秋山先生は述べられている。
 こうした経験から分娩台にもボディソニックを取り付けることを考えられた。秋山先生は、この分娩台の利点として次ぎのことを上げている。

 @不安や恐怖心が薄れ、精神的にリラックスした状態になる。
 Aラマーズ法との併用で音楽に合わせてのいきみ、呼吸がスムーズになり分娩時間の
  短縮が期待できる。
 B腰、背中の振動がマッサージ効果となり和痛分娩の効果も大きい。
 C薬物によらないので副作用の心配がない。
 D胎児への好影響が期待できる。

 この分娩台導入後、お産の進行がスムーズになって、仮死状態の出産はほとんどなくなった。出産間際の激しい痛みに合わせて、秋山先生は意識的に強い振動に切り替え、産声が聞こえ、ほっとした瞬間に「今日は赤ちゃん」の曲を流す。すると我が子を抱いた母親は感激し、涙を流しながら一緒に歌い出すそうである。
 フロイトは出生に伴う快感と苦痛を「第1の感情」と呼んだ。出生時の記憶は一生を左右するといわれ、こうした明るい雰囲気での気持ちの良い出産は、赤ちゃんにも好影響を与えるであろう。


参考文献

 音楽療法最前線4 「音楽に満ちあふれた分娩室 −楽しくリラックスした出産を−」
 秋山尚美:(山梨県 秋山医院院長)  日本バイオミュージック学会誌 1992,5月 Vol.7, p65-67



 

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鍼灸、その他

 



人工透析 ほか


4.成分献血

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6.外科領域

7.歯 科

8.産 科

9.鍼灸領域、その他


 







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9.鍼灸、その他

 鍼灸では患者がリラックスして、体がや柔らかになっていないと針が打てないが、鍼灸治療台専用のボディソニックベッドパッドを使用すると針がたいへん打ちやすくなり、多数使用されている。
 人間ドックでは、最近ボディソニックチェアを使用したリラクセーションルームを設ける例がふえている。また、ボディソニックの音楽療法に於ける効果メカニズムについても論じられるようになった。
 言調聴覚論に基づく語学教育にも語学学習用ボディソニックが応用されている。

 最近は音楽振動を付与したワインの醸造に成功し、日本酒の醸造、焼酎の熟成にも応用され実用化されている。酒類、食品への応用とともに植物やバイオ関係での可能性も考えられる。


鍼灸治療台用の ボディソニックベッドパッド




 

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謝辞

謝 辞

 文献を引用させて頂きました下記の先生方に深くお礼申し上げます。
・大阪府立病院腎臓内科医長・椿原美治先生。大阪府立病院人工透析室、表文恵先生、
 田島佳代先生、吉永徳江先生、浦出節子先生、原田美恵子先生、西村明子先生、
 尾副節子先生、下田俊文先生、春木谷マキ子先生、黒畑功先生。
 大阪府立病院精神科、豊中啓尹子先生。
・横浜市民病院外科部長・池田典次先生、岩谷房子先生、榎澤美紀先生。
・横横浜市立大学病院形成外科科長、西条正城先生、千島康稔先生。
・広島大学医学部付属病院・岡光京子先生。千葉大学看護学部・佐藤禮子先生。
・済生会横浜市南部病院・梅垣いつみ先生。
・愛知学院大学歯学部教授・黒須一夫先生、土屋友幸先生。
・大阪府赤十字血液センター副所長・小林芳夫先生。
・立教大学教授・篠田知璋先生。
・聖路加国際病院透析室・土屋みゆき先生、樋口正子先生、大岩孝誌先生。
・秋山医院院長・秋山尚美先生。
 また、多くの先生方の文献を参照させて頂きました。お礼申し上げます。




参考文献

 河内 明、角崎憲一、篠原理恵、井上琢磨、岩浅 正、豊田佳江、北出利勝、兵頭正義:音楽リズム振動ベッド(BODYSONIC   PAD)を 併用した低周波置鍼療法効果について  全日本鍼灸学会誌 40巻1号 1990, p100

 河内 明、角崎憲一、篠原理恵、井上琢磨、豊田住江、北出利勝、兵頭正義:音楽リズム振動ベッド(BODYSONICPAD)を
 併用した低周波置鍼療法の効果について  東洋医学とペインクリニック 1992,4月 Vol.22 No.1.2,P29-33

 荒井純子、田中ネリ、日野原重明、篠田知璋:健常者におけるボディソニックの影響 −生体反応観察と自己報告による体験印象−
 日本バイオミュージック研究会誌 1989,Vol.3, p24-30

 小松 明、田中正道:音楽に於ける1/fゆらぎ分析の理解
 日本バイオミュージック研究会誌 1991,8.Vol.6, P17-28

 小松 明:体感音響振動の効果メカニズム試論 −ボディソニックによる音楽療法の効果は何故起こるのか−
 日本バイオミュージック学会誌 1992,5月 Vol.7, P28-36

 増田喜治、小松 明:リズム教育を重視したLLシステムの設計と実践
 語学ラボラトリー学会、第29回(筑波) 1989, P29-31
 
 増田喜治、小松 明:Enhanced Perception of Rhythm Through Vibrotactile Sensations: Body Sonic Apparatus for
   Learning   Prosody. 9th World Congress of Applied Linguistics AILA 90 GREECE Apr.1990,Vol.5,p541

 小松 明:音、音楽を科学する  −音楽振動を付与したワインの醸造から−
 日本バイオミュージック研究会誌 1990,12.Vol.5 P46-54

 小松 明:音楽振動の食品分野への利用の可能性を探る
 食品と開発 1991年1月号 P44-49

 小松 明:音楽振動の酒類への利用 〈アメニティ時代の飲酒形態〉
 日本醸造協会誌 1991年10月号 (Vol.86 No10) P745-750

 小松 明:《最近の技術》 音楽振動の食品分野への利用の可能性  −音楽振動を付与したワインの醸造から−
 日本食品機械研究会誌「食品加工技術」 1991,Vol.11 ,NO.4,p179-189

 小松 明:特集 ニューウォーターテクノロジー 《可聴周波振動処理》 音楽振動を付与したワインの醸造
 月刊「フードケミカル」 1992,4月号 P71-76


 

第2章 ボディソニックはなぜ音楽療法に効果があるのだろう?

 

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