体感音響研究所


ボディソニックの効果








音楽の機能など






ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究
ボディソニック効果の探求

 

  bodysonic laboratory


 

ボディソニックのリラクセーション効果

 

小松 明 ボディソニック株式会社 研究開発センター

 

はじめに

 ボディソニック(体感音響装置)は、日本バイオミュージック学会などで受容的音楽療法に応用された。心療内科領域老年医学領域末期医療人工透析成分献血外科領域ストーマケア歯科など、医療・音楽療法分野で多くの研究・臨床報告があり注目される。
 こうした学会レベルでの研究成果を反映して、ボディソニックを応用した心身の健康やリラクセーション効果が注目され、さまざまな所で応用されるようになった。

      
           

写真1 資生堂 ホロニックスタジアム・南青山  スポーツクラブでもエステティックサロンでもなく「動・遊・休の全体性を取り戻す空間」が基本コンセプト。エアロビクススタジオには床方式ボディソニック。リラクセーションルームにはボディソニック・リフレッシュ1を採用。都市生活者の心を癒す安らぎの空間を提供し、マインドリラクセーションにも重点を置いている。

エアロビクススタジオ







写真2 エアロビクススタジオ

 エアロビクススタジオには、フロアを音楽で振動駆動する“床方式”のボディソニックが導入され、音楽のリズム感、ライブ効果を盛り上げるともに、クールダウンにおいても、ボディソニックのリラクセーション効果が利用され、効果を上げている。


 

 わが国は'80年代に急激なOA化が進み、テクノストレスが社会問題になった。さらに'90年代になってバブル崩壊後は、リストラなどに伴うストレスを抱え込む人が増加した。ストレス社会は心身症や神経症、登校拒否児を増加させ、さらには過労死なども問題になった。
 こうした社会状況のニーズから、企業などでのリラクセーションルームや、スポーツクラブ・フィットネスクラブのリラクセーションルームなどにボディソニックが利用されている。

 美しくなるためには心身の健康が大切で、リラクセーションの重要性も指摘されており、エステティック用のボディソニックも開発されている。また、エアロビクススタジオには床方式のボディソニック・システムが導入され、ライブ効果とともにクールダウンにも効果的に利用された。こうした受容的音楽療法や、リラクセーションの効果を持つボディソニックについて紹介し、参考に供したい。

1.意識下に残る胎児期の記憶とリラクセーション効果
   − 情報を持つ体感音響振動こそが効果の正体である −

●人間は、お母さんのおなかの中で振動を伴った音を聴いている

 人間が聴く音の原点は、振動を伴った音を聴いている状態である。試みに手を胸に当てれば、ドキッ、ドキッという心臓の鼓動が振動として手に感じられるだろう。声を出せば声の振動が伝わってくる(自分でも分かるが他人に対して行なえばもっとよく確認できる)。
 人間の身体は70%ぐらいが水分である。水や骨は空気よりはるかに振動を良く伝える。このことから、胎児期、赤ちゃんは、お母さんの鼓動や声を、おなかの中で体感音響振動を伴った音として聴いていることが納得されるだろう。胎児は我々が想像する以上にこれらの音を識別し、いろいろな影響を受けているという。
 母親が健康で情緒が安定している時のリズミカルな鼓動は、胎児に安心感を与える音と振動であり、鼓動には1/fゆらぎがある。
 体感音響振動が人間に及ぼす効果の最も根源的なことが、こうした胎児期の記憶にある。胎児期の記憶につながることは、リラクセーション効果をもたらす。
 胎内音には母親の健康状態、精神状態など、心理的、生理的なさまざまな情報が含まれている。鼓動ひとつをとっても精神が安定しているとき、寝ているとき、不安なとき、驚いたとき、恐怖感におののいたときでは、早さも強さも、ゆらぎも異なる。声もまた同様である。胎児はこれを感じとっている。
 バイブレータのような単なる物理的な振動ではなく「情報を持つ体感音響振動」が心理的、生理的にさまざまな効果を及ぼすのである。
 生まれたばかりの赤ちゃんは胎児期の記憶が十分に残っていて、お母さんに抱かれて、母親の鼓動や声が振動を伴った音として伝わると安心する。この状態が人間にとって最も心安らぐ、リラクセーションの原点である。

 人間は成長するにつれて、胎児期のことは忘れてしまうが、意識下には胎児期の記憶が残り続けている。だから何かの折に胎児期と同じような状態になると、安心したり快くなったりリラックスする。これが、体感音響振動を伝えるボディソニック・システム(体感音響装置)による効果の根源的な要素である。

 ボディソニックの体感音響振動の特徴は「完全に音に同期した可聴周波数帯域の、ある時は繊細を極め、ある時は心を揺さぶる力強いもの」で、バイブレータのような粗雑で強烈なだけの振動ではなく、歪みのないオーディオ的なものである。ボディソニックの体感音響振動には情報が含まれている。音楽であれば、その音楽の情報が含まれているので、陶酔感や感動を深いものにする。
 ボディソニックは、ただ振動を与えさえすればよいというような単純なものではない。その効果が十分に発揮されるためには、高度な技術が要求され、周到に設計された高いクォリティが要求される。振動しさえすればボディソニックと考えるような、粗雑な考え方は厳に排除されなければならない

●強すぎる振動は害がある

 同じ振動でも強過ぎるものは害がある。低周波公害振動(10Hz以下)がそれである。自然現象でも、地震、津波、山崩れなどから発生する地響き(振動)は、巨大なエネルギーの超低周波振動であり、公害振動と物理的性質が似ている。こうした危険を伴う自然現象は避けて身を護るように、生物の歴史始まって以来、何億年もの時間を掛けて遺伝子の中に書き込まれている。だから、そうした振動が安らぎをもたらすはずはないし、快いはずもない。地震などの振動でリラクセーションを得るようでは、その種は今日まで生き残らなかったであろう。
 かって、人類が原野に住んでいた頃、敵の襲撃や火山の爆発、地震といった生命にかかわる危険は地面に体と耳をつけてそれを察知した。振動を感じとり身体で聴くのである。それが文明の発達とともに耳で聞える音だけに頼るようになり、いまはそれが断たれてしまっている。しかし、自然界には地震や災害などが起こる前に、異常な動きや挙動を示す様々な動物の予知能力について、古来いろいろ伝えられている。中国ではこれらを組織的に利用して地震予知に応用しているというような話しを聞いたことがあった。これらは人間が感知できないレベルの前兆的な何かを感じとって、動物たちが身を守ろうとしているのだと考えられる。

●生命の根源に関わるサイエンス

 胎児期に赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で体感音響振動を伴った音を聴いている。母親のリズミカルな鼓動は、胎児に安心感を与える振動であり、この状態が人間にとって最も心やすらぐ状態の原点であろう。
 地震などの危険を察知するのも、やすらぎを得るのも生命に関わるもの、生命の根源に関わるものは振動と共に身体で聴いている。これは生命の根源に関わるサイエンスである。生命の根源に関わるが故に、眠りや性欲・性感などにも効果を及ぼす可能性がある。
 ボディソニックが人間の根源的なものに訴えかけるような効果を持つのはこのためである。

     
       

写真3  ロイヤルパシフィカ 「クラブA」 ストレスマネジメントを基本に予防医学、アクアテラピー、エステティック、
     マシンエクササイズなどを組み込んだ高級会員制フィットネスクラブ。リラクセーションルームにあるボディソニック・
     チェアで音楽を聴き、ストレスの緩和に役だっている。

2.患者の好む曲をボディソニックで聴かせたら
  不安定高血圧症が治った

 「患者の好む曲をボディソニック(体感音響・システム)で聴かせたら、不安定高血圧症がなおった」。こんな音楽療法の臨床研究報告1)が行われ、「エッ?」と思うとともに、「やはり…」とも思った。日本バイオミュージック研究会(現在は日本バイオミュージック学会)が生まれた直後1986年始め頃のことである。
 「エッ?」と思ったのは「患者の好む曲を聴かせる」という、無造作とも思える程のシンプルさである。音楽療法に於て、どんな症状の患者にどんな曲を聴かせるか、その選曲基準については音楽心理学の立場からも、さまざまな研究を行なったポドルスキー、そしてポドルスキーらを批判したアンキーファー。我が国の音楽療法に大きな影響を及ぼしたアルトシューラー、ジュリエット・アルバンなどの有名な多くの文献がある一方、音楽の及ぼす効果は、その国の音楽風土、個人の音楽来歴や病態など個人差も大きく、音楽プログラム作成に当たっては、患者の音楽受容性テストを必要とするなど、高度に専門的なものとされていたからである。
 だから、あまりにも簡単に患者の好む曲を聴かせるという、一見、無造作とも思える程のシンプルな方法に「ほんとにそんなことでいいの?」と思ったのである。そして'70年代中頃、初めてポドルスキーの音楽処方の曲目リストを見たとき、日本の音楽風土、国民性などを考えると、その曲目リストを日本人にそのまま適用するのは難しいのではないか、という素朴な印象があったことを思いだしたりしていた。
 「やはり…」と思ったのは、ボディソニックが人間の根源的なものに訴えかけてくるような効果である。
 音楽には感動、陶酔感、恍惚感などの効果があるが、ボディソニックで音楽を聴くと、音楽の重低音感やリズム感が強調され、音楽にのってくる。そして音楽の持つ感動や陶酔感、恍惚感を一層深める。また低音振動の快さからリラクセーションの効果があることは、多くの経験の中からよく知っていた。スピーカによって、単に耳からだけで音楽を聴いているのに比べると、格段の効果の差が出てくるのである。
 音楽療法は音楽の機能を利用する心理療法で、音楽の持つ感動や陶酔感の効果を利用し、精神的、情動的作用を及ぼすことによって行なう。だから、音楽の効果を高めることができるボディソニックによって、思いがけないような効果も得られる可能性があると考えられたからである。

 「患者の好む曲をボディソニックで聴かせたら、不安定高血圧がなおった」という事実は、そのシンプルさと効果から、医学の立場からも、音楽療法の立場からも大きな驚きを与えた。そして、体感音響振動を付与することにより、そのような方法を可能とさせる、ボディソニックの効果と性能が注目された。
 音楽は耳だけで聴くものと考え、スピーカだけで音楽を聴かせる従来の音楽療法では見られなかったことである。
 ボディソニックによる音楽療法で「患者の好む曲を聴かせる」選曲と効果は、その後の学会などでの多くの研究報告例を見ても、一貫している底流のひとつとなっている。
 体感音響振動の効果が医学、音楽療法に驚きを与え注目を集めたことは、NHK総合テレビ 「クローズアップ 音楽療法・ストレスからの解放」 で、'87年6月23日に 30分間にわたり、体感音響振動の効果やストレス社会で悩む患者へのボディソニックによる音楽療法の様子などが、詳細に紹介、放送された。
 ボディソニックによる音楽療法やリラクセーションの効果は、日本のストレス社会のニーズも反映して、その後も新聞やテレビで、さまざまな形で紹介された。

     
 





写真4 日本IBM箱崎事業所  人間尊重の視点を重視し、アメニティとマインドリラクセーションを実現。テクノストレスをなくし、創造的で知的なオフィスづくりに工夫がなされている。専用フィットネスクラブがあり、リラクセーションルームにはボディソニック・チェアがあり、メンタルヘルスケァに役だっている。

3.ボディソニックとは

 糸川英夫博士のボーンコンダクション理論によれば『楽器を演奏する人は、耳で聴く音の他に楽器を持つ手、身体を通して直接振動が伝わり、聴覚系伝播されるが、音楽の中で聴く人に真の恍惚感を与えるのは、直接伝わる振動、ボーンコンダクションである』と、音楽の振動と恍惚感の関係を述べている。この指摘は音楽の直接的な「振動」が、人間の根源的なものに作用することを示唆している。
 恍惚感や陶酔感は高度な知的作業によって起こるものと言うよりは、どちらかと言えば根源的、本能的なものによってもたらされる要素が大きいであろう。これは、大脳生理学的に言えば、知的作業を司る脳の表面の新皮質よりは、もっと脳の内側の古皮質や旧皮質に作用することを物語っていることになる。
 古皮質や旧皮質は、生存本能、食欲、性欲、快感、恐怖など人間が生命を維持していく上で最もベーシックな部分を司っている。これら動物的、根源的なものにこそ、生物としての生命力の源泉があり、生命、健康にとって極めて重要な要素である。

 ボディソニック は、糸川英夫博士のボーンコンダクション理論に基づき、音楽の主として低音成分を振動トランスデューサ(電気―機械振動変換器)によって体感音響振動に変えて、身体に体感させながら音楽を(耳で)聴くリスニングシステムである。
 体感音響振動を伴った音が印象を強め、音楽の感動や陶酔感を深める。また、胎児期の記憶につながることは、リラクセーション効果をもたらす。体感音響振動が生命の根源に訴えかけるのである。
 こうした効果2)から、ボディソニックは近年、音楽療法に応用され、心身症、うつ病、不眠症3)不登校児摂食障害などの心療内科領域4-7)老人痴呆8)末期医療9)人工透析10)11)成分献血12)歯科13)外科領域14)15)ストーマケア16)など、医学分野で多くの臨床報告があり注目されている。

 ボディソニックは、椅子方式(写真1,3,4)の他、下記の写真に示す ベッドパッド方式(写真5)、ベッドドライバ、クッション、床駆動方式(写真4)などさまざなものがある。更に医療用として外科手術台用(写真6)、分娩台用、人工透析椅子用(写真7)、献血台用(写真8)、歯科診療装置用(写真9)、医療ベッド用などもある。
 音楽療法は生命の根源に働きかけるものなので、体で聴く要素を取り入れた方が効果が高い。音楽療法に於て、スピーカによって単に音だけを聴かせるのと、ボディソニックによって音と同時に体感音響振動を付加するのとでは、大きな効果の違いがあるのはこのためである。



写真5 医療用ボディソニック・ベッドパッド

 マットレスの上にボディソニックベッドパッドを敷くとボディソニック・ベッドになる。枕の部分に専用スピーカがセットされている。人工透析、外科手術前後の不安や痛みの緩和、ターミナルケァ、ストーマケァなど、多くの領域で音楽療法用に使用されている。








写真6 ボディソニックを搭載した外科手術台

 ボディソニックを搭載した外科手術台での術中写真。局所麻酔手術の場合、意識がハッキリしているので緊張や不安がつのるが、ボディソニックによって不安や緊張を緩和する。右側の台の上にボディソニックAMPが見える。写真は、済生会横浜市南部病院・手術室。







写真7 人工透析椅子専用・ボディソニックパッド

 人工透析は4〜5時間掛かり、週2〜3回行なう。ボディソニックを使用することによって、QOLの向上、不快感の緩和、スムーズな透析などの効果がある。写真は、聖路加国際病院・人工透析室。






写真8 ボディソニックを搭載した献血台

 献血者への負担の軽い合理的な、成分献血が行なわれるようになったが、採血時間が1時間ほど掛かる。献血者がより快適に献血できるようボディソニックが搭載されている。ボディソニックを採用してからスムーズに採血できるだけでなくVVRもゼロとなった。写真は日本赤十字社北大阪血液センター。









写真9 ボディソニックを搭載した歯科診療装置

 歯科と言うと痛みを思い出す人が多い。ボディソニックにより、痛み、緊張、不安などを緩和して快適な治療が受けられる。モリタ製作所製。


4.ボディソニックの便秘への効果など

 音楽療法は「音楽の機能を利用した心理療法」といわれているが、ボディソニックを使用した場合、心理的なものに留まらず、便秘への効果9)16) や、褥瘡(床擦れ)の予防効果9)など、直接、生理的効果を及ぼしていると考えられるものがある。
 横浜市立市民病院の池田先生、岩谷先生等の臨床報告の文献9)16) では、ボディソニック・ベッドパッド(写真5)による音楽療法によって、消化管機能の改善、便秘への効果が認められ注目されると指摘されている。
 筆者自身、大腸回盲部に4センチほどの大きな腫瘍ができ、腫瘍摘出のため、'94年に東京女子医大病院・消化器病センター(逸見さんが入院して話題になった)に入院し、大腸を15センチほど切除する手術を受けたが、小形のボディソニック・MX-1の使用によって、排ガス、排便がスムーズであったことを経験している。
 消化管の術後は、排ガス、排便がスムーズに行なわれることが重要で、盲腸の手術のような小さな手術でも、このことは指摘され、よく知られているところである。胃や腸を切除する大きな手術にあっては、重要且つ切実な問題である。筆者は術前に「術後4〜5日目に排ガスがなければならない。そのためにはよく身体を動かすこと(病棟内を歩く)」と注意指導を受けていた。入院時、秘かに小形のボディソニック・MX-1(写真10)と CDを 30枚ほどを持ち込み、ボディソニックを使用して音楽を聴いていた。そうしたら術後3日目の朝には排ガスがあり、その日のうちに排便もみた。たいへん早い消化管機能の回復といえよう。
 消化管の手術を受けた後の排ガス排便はたいへん困難で、多くの患者が術後の痛みに耐えながら病棟内の廊下を歩き、それでも便秘に悩んでいる患者の多い中にあって、筆者は便秘の心配は全くせずに済んだ。
 手術直後の痛みの中ではボディソニックの振動は傷の痛みにこたえて悪いだろうと思っていたが、これは全く逆で、手術直後ほど振動は強いものの方が痛みが緩和され気持ち良かった。これは意外な効果であり、実際に体験しなければ分からないことであった。
 ボディソニックの便秘への効果の作用機序については、まだ充分に説明されているとはいえない。しかし、消化管の手術というような病気ではなくても、便秘に悩む女性は多いと聞く。こうしたことに貢献できればと期待しているものである。
 褥瘡や便秘への効果は、心理療法といわれる音楽療法の枠を越えるものでり、音楽振動が細胞レベル、水の分子レベルでも効果を及ぼしているとも考えられる。音楽振動を付与した酒類・食品17) などの分野への応用が進み、好結果を得ていることがそれを窺わせる。



写真10 筆者が入院時に使用した

      小形のボディソニック・MX-1


5.ボディソニック MX-1

 前項で書いた大腸腫瘍摘出手術を受けた際使用したもので、個人用として好適な小形の「ボディソニック・MX-1」(写真10)が 製品化された。 心の癒し、リラクセーションを目的としたヒーリングミュージックの作曲者として知られる宮下冨美夫氏は、ボディソニック・MX-1を使用したワークショップ、コンサートなど、注目される活動をして、リラクセーションに高い効果を上げている。 そして、MX-1を使用するヒーリングミュージック「地球瞑想」もCD化された。

6.エステティック用ボディソニック・システム

 美しくなるためには、体の表面の施術だけでなく、心身の健康が大切であり、内部から健康で美しくならねばならないといわれ、リラクセーションの重要性も指摘されている。こうしたことから、美容関係にもボディソニックは導入されている。
 写真11はエステティック用ボディソニックで、エステティックベッドにボディソニックパッドを装着したものである。フェイシャル、ボディなど、女性が裸の状態で長時間、施術を受けるので、その構造、トランスデューサの配置には、特別の配慮が要求される。
 この開発に当たっては筆者自身、美顔術を受けながら実際にこのシステムを使用して実験し、多数の試作とサロンでの実試用を繰返しエステティシャンの助言と監修を経て完成したものである。
 エステティックに於いては、施術と施術の間、薬品の効果の進行などを待ち、長時間じっとしていなければならないことが多いので、ボディソニックは好評で、ここち良いため寝てしまうお客さんも多い。使用感の心地よさは「夢見心地」という評を得ることができた。
 この製品はタカラベルモント社からも製品化されている。


写真11 エステティック用
     ボディソニック・システム

 エステティックベッドにボディソニックパッドを装着する
 タイプ。タカラベルモント社からも製品化されている。


 この開発の依頼を受けたとき、大きな困難にぶつかった。エステではさまざまな薬品、石膏、泥などが使用されるであろうから、機器には防水性や耐薬品性などが必要だろう。耳元に付けるスピーカ周りの処理では、防水性と作業性の両方から相当な配慮が必要のはずである。しかしエステの現場など見たこともないので、説明を聞いても開発・設計に必要な情報や知識は分からない。事情を説明してエステの現場を見せてもらえないかと、恐る恐るお願いしたら「男子は禁制です」と にべもなく断られた。
 困り果て途方にくれたが何とかしなければならないので、エスティックのにわか勉強をした。美容・エステのショーなども見て回り、つてを頼って筆者自身が美顔術を受けるなどして、エステ用機器の開発に必要な知識を得た。「この開発に当たっては筆者自身、美顔術を受けながら実際にこのシステムを使用して実験し、多数の試作とサロンでの実試用を繰返しエステティシャンの助言と監修を経て完成したものである」と上記したとおりである。
 この苦労は無駄にはならなかった。この時に得た知識やノウハウは、その後、成分献血用人工透析用外科手術台用など、医療・音楽療法用の機器の開発に当たって、多いに役だったのである。

おわりに

 近年のわが国では、医師、看護婦などの医療関係者が音楽療法の研究に取り組み、医学的裏付けを重視した臨床報告が行われ、メディカル・ミュージックセラピーとも呼ぶべき新しい音楽療法の領域を形成しつつある。ストレスに起因する心身症などの領域では、東邦大学心療内科で着実な成果を得ていることが注目される。そして、これらの臨床例では、ボディソニックが使用されている。
 ストレス時代の現在、予防医学・健康科学的視点から音楽療法の活用が期待され、メディカル・ミュージックセラピーの研究成果を心身の健康に活かすことは、ビューティサロン、エステティックサロンにおいても重要なことであろう。そうしたことに、この一文が、いくばくかの参考になることを願うものである。

参考文献

1)永田勝太郎、片山蘭子、日野原重明:音楽療法の研究(第1報)
  −不安定高血圧治療におけるボディソニック・システムの効果− 心身医学26 1986.6
2)小松 明:体感音響振動の効果メカニズム試論 −ボディソニックによる音楽療法の効果は何故
  起こるのか− 日本バイオミュージック学会誌 1992年5月 Vol.7, P28-36
3)筒井末春:心身症・内科的疾患と不眠 日本医師会雑誌 第105巻.第11号 1991,6 FC16-FC18
4)牧野真理子、坪井康次、中野弘二、筒井末春:うつ状態に音楽療法的接近を試みた1例
  日本バイオミュージック研究会誌 1987,Vol.1, P61-66
5)山本晴義:不登校症に対する音楽療法の活用
  日本バイオミュージック研究会誌 1990,Vol.4, P29-33
6)牧野真理子、坪井康次、中野弘一、筒井末春:摂食障害患者の過食衝動に対する音楽の活用の試み
  日本バイオミュージック研究会誌 1990,12. Vol.5 P15-18
7)村林信行、坪井康次、中野弘一、筒井末春:過敏性腸症候群に対する音楽療法
  日本バイオミュージック学会誌 1993,5月 Vol.9, P39-42
8)田中多聞:老人痴呆の映像・音響療法、ボディソニック・ルーム・テラピー
  CURRENT THERAPY  1987,Vol.5,No.10, P107-111
9)岩谷房子、池田典次:末期患者に対する音楽療法の試み
  −特にボディソニックベッドパッドの応用−
  日本バイオミュージック学会誌 1994,6月 Vol.11, P29-38
10)表 文恵、田島佳代、吉永徳江、浦出節子、原田美恵子、西村明子、尾副節子、下田俊文、
  春木谷マキ子、黒畑 功、豊中啓尹子:血液透析中における音楽療法の試み
  大阪透析研究会誌 1990,9月,8巻2号 P173-177
11)篠田知璋:音楽療法 −慢性疾患、特に透析患者への応用− 心身医学 1991. Vol.31 P10
12)小林芳夫、松本一夫、大國典子:成分献血における振動を伴う音楽の心理学的効果
  日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, P84-87
13)黒須一夫、土屋友幸:体感音響装置(ボディソニック)の歯科領域への応用
  日本バイオミュージック研究会誌 1991,8月 Vol.6, P72-83
14)村山正子、小熊由美、梅垣いつみ:意識下で手術を受ける患者へのボディソニックの導入
  −不安の軽減と安楽を考える− 日本看護学会、第20回 成人看護(青森) 1989, P199-202
15)千島康稔、西条正城、吉田豊一、清水文彦、佐々木恵一、清水調、沢村承子、松崎昭一:
  形成外科手術患者に対する音楽療法 −サーモグラフィーを用いた皮膚温測定による評価−
  日本バイオミュージック学会誌 1994,6月 Vol.11, P20-28
16)榎澤美紀、角川佳子、岩谷房子、近藤ヨウ子、宮崎加奈子:人工肛門造設患者の術前・術後におけ
  る精神的、肉体的慰撫の試み −体感音響システムの活用−
  日本ストーマ学会誌 Vol.9,No.2, 1993.Dec P11-17
17)小松 明:《最近の技術》音楽振動の食品分野への利用の可能性 −音楽振動を付与したワインの
  醸造から− 日本食品機械研究会誌「食品加工技術」1991,Vol.11,NO.4,P179-P189
18)小松 明:リラクセーションなどに効果がある ボディソニック・システム
  クレアボー No.1, 1995 P58-65

 

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  03.6.8 


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