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振動器を構音訓練に用いた口蓋裂児の一症例  

 

口蓋裂 構音訓練 振動器 ヴェルボトナル法  

 


はじめに

 口蓋裂児の構音障害には、
 
   @ 機能的構音障害と異なる口蓋化傾向などがある
   A 語中の誤りが語頭より多く、年齢が増加しても誤りが減少しない
 
 という特徴が見られる(笹沼編 「ことばの遅れとその治療」)。 臨床現場でも、誤り音の改善しにくい構音障害を経験することが多い。今回、構音障害の固定化した口蓋裂児に振動器とヴェルボトナル法(以下VT法)を用いて訓練を行い、効果が見られたので報告する。
   

        写真1 言語リハビリテーション用 ボディソニック・システム JX-1 

症 例

 6歳男児。左唇顎口蓋裂術後。

 

手術歴:生後4ヶ月で口唇形成術、7ヶ月で口蓋形成するが縫合不全で11ヶ月で再手術。鼻咽腔閉鎖機能不全にて3歳4ヶ月で咽頭弁形成術を行った。

言語症状:口蓋初回手術後、開鼻声 (+)、/a, i, N, w, j, m/ の表出と声門破裂音のきざしが見られ、口蓋再手術後、開鼻声(±)、有声子音を /m/、無声子音を声門破裂音と鼻咽腔構音で表出。咽頭弁形成後、開鼻声と声門破裂音は消失し、奥舌音 /k, g/ が分化した。
 しかし、舌尖音の両唇化(p/t, ts, b/d, dz, r, n)、前舌音(t∫, d3, ∫)の口蓋化と軽度の閉鼻声が出現し、4歳8ヶ月には誤りの一貫性が強く見られるようになった。

その他:発達全般の遅れ(−)、滲出性中耳炎、肥厚性鼻炎、扁桃肥大を認める。 注意の持続が短い。

方 法

 VT法は、ことばの正しい聴き取りを重視し、
 
   @ 話しことばの音韻と韻律の両面を併せて学習させるわらべうたリズムと、
   A 構音運動を身体の動きで促す身体リズム運動を構音訓練に用いる。
 
 今回は写真1に示す、聴き取りの強化のために振動器(ボディソニック ・システム JX-1)を使い、創作わらべうたと身体リズム運動を併用して構音訓練を行った。

経 過

 5歳 4ヶ月(94年4月)より週一回訓練を開始した。振動器使用前は、/∫i, ηi, t∫i, / の口形より
/s, n, t/ を導いて、両唇を閉鎖しない音の形成を試みた。本児は発音が正しいかどうかの自己判断が難しく、単音・語頭音レベルまでは復唱で変化したが、口形や音の誤りを指摘しないと両唇化し、矯正の定着できない状態が続いた。
 訓練に集中できる時間は15分程で、落ちつきのなさが見られた。自由会話では、やりとりが成立しにくく、話しを聞かずに一人で一方的に喋ることが多かった。
 94年4月に振動器導入。初回はヘッドホーンと併用した。タ行の練習のために創作したわらべうたで、本児と訓練者が交互に相手の音声を聞き合いながら発音する練習をすると、本児は両者の構音を比較して自分の誤りを修正するようになった。
 2回目以降は振動器のみ使用。集中して聴き取ることができ、わらべうたと身体リズムを使った訓練は /t, ts, n, r/ と進んだ。次第に語中音や文章レベルでの構音の矯正も可能になり、日常会話でも習慣化が進んだ。計8回で訓練は終了した。

まとめ

 なかなか改善の進まない構音障害のある口蓋裂児に、振動器を用いて構音訓練を行った。振動器の活用は、聴き取りを強化し、集中力を増して音声をモ二夕ーする力を養うと思われた。今後も症例を増やして、検討を重ねたい。


参考文献

1)後藤慶子:振動器を高音訓練に用いた口蓋裂児の一症例
  日本聴能言語学会 第21回学術講演会予稿集 1995/6 P74

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