体感音響研究所


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「体感振動」「体感音響振動」の用語について   

「触振動覚 Vibrotactile sensation」との関連と相違点   

 

体感音響研究所 小松 明   

 

体感振動

 ボディソニック(体感音響装置)関係の分野では 「体感振動」 「体感音響振動」 の用語は普通に使われ、インターネットのキーワードとしても通用している。しかし、ボディソニックを開発した1970年代はもとより、1980年代初期までは、適当な用語がなく、全体の文脈の中で説明し、記述に不便を感じていた。
 こうした状況の中で、筆者は 1981年 「オーディオ協会誌 JAS journal」1) の執筆に当たり 『… これら音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面を伝って感じ取られる振動感を、それと意識されるものから、無意識の中に感じとっているものまでを含めて、
 これを 体感振動 と呼ぶことにする』 と、体感振動の用語を規定して原稿を書いた。

体感音響振動

 その後、「ボディソニック」に対応する一般名称は 「体感音響装置」 と呼ばれるようになり、これを受けて、筆者は 1987年. 「日本バイオミュージック研究会誌」2) の執筆に当たり 『これら音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面や大地を伝って感じとられる振動感を、それと意識されるものから、無意識の中に感じとっているものまで含めて、
 これを 体感音響振動 と呼ぶことにする』 と、体感音響振動の用語を規定して原稿を書いた。体感振動よりも、体感音響振動の方が振動の内容を、より明確に表していると考えたからである。

情報を持つ体感音響振動

 振動を発生するものとして、身近なものにバイブレータがある。バイブレータは物理的な振動を発生し、常にバイブレータの振動しか発生できない。これに対してボディソニックが画期的なのは、振動信号としてオーディオ信号を使用していることである。オーディオ信号によって体感音響装置が発生する体感振動には音の情報が含まれている。
 音楽の場合であれば、音の高低、楽器の音色、リズム、音の強弱のダイナミズムなど、音楽の情報を持った振動を発生する。この為、音楽を聴きながらその音楽の体感音響振動を体感すると、音楽の感動や陶酔感を深めることなどができる。
 ドキュメンタリー音、例えば、エンジン音ではエンジン音の情報が含まれているので、エンジンそのものの振動を発生し、爆発音では爆発そのものの衝撃感、体感振動を発生する。この為、ボディソニックは振動感や衝撃感を伴う音や効果音を再生すると、迫真の臨場感を再現することができる。
 ボディソニックが発生する体感振動は情報を持つ体感音響振動である。これがバイブレータなどの、単なる物理的な振動とは根本的に異なる点であり、迫真の臨場感を再現できる秘密がここにある。

 振動を物理学とし捉える研究は長い歴史を持ち、工学的にもさまざまな応用がなされてきた。また、工業化社会となってから低周波振動公害などの研究も数多い。公害関係の研究が多いことから、振動は有害なものとしてばかり捉えられている面がある。
 こうしたことから、情報を持つ体感音響振動の概念を体系的に捉えることは、あまりなされてこなかった。情報を持つ体感音響振動の概念が一般化されていないことから、特許などの文献の記述においても障害を来していた。文献3) を参照されたい。

触振動覚 (Vibrotactile sensation)

 歴史的には、人が感じる振動感覚は“触振動覚 (Vibrotactile sensation)”として捉えられてきた。聴覚障害児(者) の音声言語リハビリテーションなどでは、聴覚の補助手段として音声振動を使用するが、音声の振動は言葉を識別するために左脳で処理される。この場合は話し言葉の振動を、手、指先などに付与するのが、最も振動の言語的弁別能力が高く知覚の感度も高い。
 こうしたことから、指や手以外の身体に振動を付与することはあまり関心が持たれていなかった。しかし、弁別能力は高いが、この方法では、体感音響振動 のようなリラクセーションや陶酔感、生理的な効果は得られない。
 “体感音響振動” は身体全体に振動を付与し、リラクセーションを得るなどを目的としている。これは右脳的ないし生理的なもので、触振動覚とは目的も作用も異なるものである。こうしたことから筆者は触振動覚と体感音響振動は区別されるべきものであるとの立場を取っており、体感音響振動 という新たな用語の規定を必要とした。

 触振動覚と体感音響振動の意味や区別については、2003年に人間と歴史社から出版された 「振動音響療法」 の、訳者あとがき4) の中でもふれた。
 今日、体感振動、体感音響振動 の用語が、ネット上でも普通に使われている。 用語の定義を必要としたなどということが嘘のようで、今昔の感に堪えない。

(2003年)     

参考文献

1)小松 明:身体で聴く音響装置、ボディソニック・システム
  日本オーディオ協会誌 (JAS JOURNAL) 1981,Vol,21 No.6, P54-60
2)小松 明:ボディソニック・システム
  日本バイオミュージック研究会誌 1987, Vol.1, P93-104
3)小松 明:ボディソニックの振動と 低周波振動公害による振動との相違について
  −情報を持つ体感音響振動の有用性についての概念を体系的に捉えるための考察試論−
  日本バイオミュージック学会誌,13:48-55,1995
4)Tony Wigram, Cheryl Dileo(編著)、小松 明(訳著):
  振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ   人間と歴史社 刊 2003,3,31



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 05.8.7


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