体感音響研究所


ボディソニックの
技術開発、製品例












ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究
第1章2節 体感音響振動の効果

 

  bodysonic laboratory



カーステレオ用 ボディソニック  
ベンツ車シートへのボディソニック実装試作など  

 

 小松 明 ボディソニック(株)研究開発センター  

 

車載用ボディソニックのあれこれ

 1984年のある日、筆者の研究・実験室に、ベンツ車のドライバーシートとナビゲーターシートがワンセット運び込まれた。ボディソニックを搭載するための試作依頼である。
 車載用ボディソニックは、下の表に示すように、ホンダ、日産、トヨタ、ダイハツ、マツダ の各車用を開発し、OEM生産していた(カーステレオ用ボディソニック・トランスデューサ SCP-6018 は 1982年から生産を開始)。その外、アフターマーケット用としてサンデン向けも開発・生産された。

  

カーステレオ用 ボディソニック 

 メーカ

  車  種

 生産年

 ホンダ

 シティ

 '82年〜

 日 産

 フェアレディZ
 (北米向け)

 '83年〜

 トヨタ

 ターセル
 コルサ
 カローラ2

 '84年〜

 ダイハツ

 シャレード

 '84年〜

 マツダ

 ロードスター

 '85年〜


ベンツ車シートへの実装試作

(ドイツaudio誌)

 

     Link 体感サウンドシステム(ボディソニック)  富士通テン・トヨタ自動車(株)


 

   世界初のボディソニック仕様車登場  CITY ボディソニック仕様車

                     Link ホンダ CITY ボディソニック仕様車


 pioneer

車用ボディソニック・クッション

 アフターマーケット用の開発は割合早く、1978年に開発し、パイオニアからアメリカ向けに生産された。この製品は置きクッション形で、車のシートに置くだけでボデイソニック化でき、トランスデューサは腰部に2つ配挿されているが、振動は座部にも伝わる巧妙な設計になってい.る

パイオニア 車用ボディソニック・クッション

  BC-10  (シートの上にクッションを置くタイプ)

Pioneer's new Bodysonic. Car stereo you can feel.

●カーステレオ用ボディソニック、OEM 開発の一例

 車用ボディソニック開発の第1ステップは、車のメーカーから実際に生産されている車種のシートが支給される。体感音響装置用としての考慮はまったく為されていないシートなので、どのような方法でもよいから、とにかくより良い体感音響振動効果を出すことができるように試作・実装することが要求される。
 実験、試作、体感を繰返して、より良い効果が得られるように、必要に応じて椅子の改造もしながら、振動トランスデューサを実装して組み上げ、プロトタイプの「ボディソニック搭載シート」を完成させる。このシートをボディソニックAMPとセットにして車のメーカーに納入する。
 車のメーカーは、プロトタイプの「ボディソニック搭載シート」をさまざまに視点から評価・検討し、製品化が決まると開発は第2ステップに入る。

 第2ステップは、車のメーカーのシート設計技術者との共同開発設計を行う。如何に優れた車のシートであっても、ボディソニックとして振動駆動することには、どうにも向かないものも多分にある。一方、振動駆動には適した構造であっても、車用シートとして安全性その他の問題があれば話にならない。より良い体感音響振動効果を得ることと、車のシートとしての性能、安全性、コスト…、などなど、そこには、技術的に相いれない要素が多分にある。
 これらの最適解を求めて、共同で試作、検討を繰り返して設計する。

 その後、多くの信頼性試験、実車走行試験、生産のための検査規格、検査治具などなど…多くのことがあるが書ききれないので省略する。

●カーステレオ用ボディソニック AMP

 振動駆動するための信号処理は、単なるフィルタアンプだけでは十分な効果を得ることはできない。用途、目的に合った特殊な信号処理を必要とするが、振動信号処理、駆動アンプについては別稿を参照されたい。
    カーステレオ用ボディソニックアンプ各種
                カーステレオ用ボディソニックアンプ 各種         ベンツ

ベンツ車シートへのボディソニック実装試作

 車のシートは表だけから見ると同じような形に見えても、中身の構造は各社それぞれに異なる。それは長い経験に裏打ちされて磨き上げられた技術であり、大変興味深かった。いろいろなメーカーの開発をさせて頂き、さまざまなシートを見せて頂いて、各社それぞれの特徴のある技術思想に裏打ちされた多くのことを学ばせて頂いた。

 さて、冒頭に書いたベンツ車のシートである。カバーを外し、シート内部の構造を見たとき、「これがベンツの技術ポリシーか!」 と感じた。今まで見てきたどのシートとも異なる構造だった。昔、「ドイツ製品は優れているがゴツイ」 と聞かされていたイメージとは違い、生産性を十分に考慮されていると思わせる 「合理的で洗練された軽快さ、風格」 を感じさせるものだった。
 持ち込まれたシートの依頼は、前記した開発の第1ステップに相当するものだった。実験と試作を繰り返し、ボディソニックを搭載したプロトタイプを完成させて納入した。

●ドイツ 「audio」 誌 1984年11月号 の試聴体感リポート

 ボディソニックを搭載したベンツシートのプロトタイプを納めてから半年ほどした頃だったろうか。ドイツのオーディオ誌にベンツ車ボディソニックの試聴体感リポートが掲載され、そのコピーが筆者の手元に届いた。
 写真には筆者が試作した紛う方なきプロトタイプのシートが映っている。一部分だが日本語に訳したものを紹介し、参考に供したい。

   ドイツのオーディオ誌に掲載された「ベンツ車・ボディソニック」の試聴体感リポート。

………
 この日本の会社は今までとられていた方法、即ち補助的なサブウーハーユニットとして通常の低音シャシを提供する方法をとっていない。同社はドライバと同乗者が低い振動まで肌で感じることが出来るように、車の座席に特別な振動トランスデューサを据え付けている。低音部の聞こえなど、ヨーロッパで初のハイファイ誌としての「Audio」誌はその機能を十分に試すことが出来た。
 ボディソニック(ドイツ語で“Korperschall”ケルパーシャル)と名付けられたこのシステムの値段は、ドイツでは約1500マルクとなる模様である。※


      ※販売はシュポルトセルビス・ローリンザー(所在地 クライネ・ロューテ 1,7050 ワイブリンゲン)が行う。



 あくまで低音を追及するユーザは、150Hz以下のあらゆる音楽信号からモノラルの低音信号を作り出すクロスオーバーネットワークをこの価格で入手することが出来る。それから13W の性能を2つ持つ増幅器が、それぞれ切離した音楽信号を4つのトランスデューサに流すのである。
 このトランスデューサはスピーカのようには全く見えず、むしろ前方座席の寄り掛かり部分及び座席面の合成樹脂版の上に取り付けられているプルモールのたばこ缶のようである。これは低音の周波を直接聴き手に伝達し、振動はクッションを通していくらか和らげられるに過ぎない。
 日本や米国のドライバは既にボディソニックの仕掛けを楽しむことが出来るようになっている。例えばホンダシティや日産フェアレディー、ダイハツシャレードのような車種がそうである。ヨーロッパではまだ試験の段階である。
 その為、ダイムラーベンツは、まず Sクラスモデルの前方座席2つを、トランスデューサの最適組み込み位置を確認させる為に、日本に送った。後を追って上品で高価なボディを専門とするシュヴァーベンの会社・ローリンザーが、メルセデス 380SE の中に音響(振動)効果のある座席を取り付けた。「Audio」誌は、これを試聴する為に乗り込んだのである。
 今後の量産装備とは異なって、此処では取り付けられているベルテックラジオに直にクロスオーバーネットワークが統合されていた。carチューナを取り入れた為、座席のトランスデューサ用のエンドアンプ(ボディソニックAMP)が物入れに移された。トランクからはケンウッド社の KAC-801 が 70W出力2つを後部座席スピーカ、B&W の LM1 に送り、また、計器盤に、ローリンザー社ではマックオーディオ社の2ウエイ方式 ML103B を取り付けていた。
 ハイファイ試験者は、大きな音にもひるむことなく、停止状態での最初の試聴テストは真に感銘深いものとなった。BASFカセット、クロムダイオキサイド・スーパーUに録音されたナカミチ・ドラゴンによるオーディオCDの“スタッカート”のティンパニーの力強い響きは、体が振動する程衝撃的なものであった。また、その響きは空席の背もたれからどっしりと胸にこたえ、聴くというよりむしろ体で感じるものであった。
 さらに慎重に調整すると、ボディソニックはもちろん、あたらしい音響の広がりを与えてくれる。“スタッカート”のヘリコプターは、内部であまりにもリアルに響きわたる為、試験者は本能的に開いたスライド式ルーフを通してそれを見ようとしたほどであった。また、雷鳴は空間内で真に迫った響きを与え、蒸気機関車はレールの上をさながら本物のようにゴトゴト音を立てて走る為、踏切だけが、そこに欠けているかの様に思われたほどであった。
 さらにバッハのトッカータのはかり知れぬほど深い低音を、ボディソニックは勇壮に生み出した。このシステムと非常にダイナミックな自動車用DC装置とを組み合わせることによって初めて一層のスペクタクルをかもし出せると言って良い。……

 ……… 以下略


参考文献

1)小松 明:身体で聴く音響装置、ボディソニック・システム
  日本オーディオ協会誌 (JAS JOURNAL) 1981,Vol,21 No.6, P54-60
2)松島正秀:エレクトロニクス・シートの概要と動向
  自動車技術 1984,Vol.38,No.2, P202-209
3)Wolfgang Feld:wer horen will, muβ fuhlen. Flaue Basse im Auto?
    Bodysonic sorgt furmachtigen Druk.“Audio”Novenber 1984, P48-49

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 06.9.8


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