体感音響研究所


ボディソニックの
技術開発、製品例












ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究
第1章2節 体感音響振動の効果

         

  bodysonic laboratory


 

身体で聴く音響装置 
ボディソニック 

 

ボディソニック(株)研究開発部  小松 明 

 


1981年6月 日本オーディオ協会誌10)  

車用ボディソニック・クッション
パイオニア 車用ボディソニック・クッション  
BC-10 シートの上にクッションを置く方式

1.聴覚と体感音

 人間の聴覚器管が耳であることは、いうまでもないことだが、総合的な音響知覚が「耳」だけによるものでないことも、よく知られているところである。
 低音域音響エネルギーは、スピーカーシステムの箱鳴りに始り、床鳴り、壁鳴り…等々、囲りの物を振動させ、これを押えるのに苦労するのが、リスニングルームの音作りの一歩ともなっている。これを裏がえせば、低音域の音響エネルギーは、それがあたった面や物を振動させる性質が顕著であることの表れといえよう。
 大太鼓の音が腹に響くのは、低音域音響エネルギーが、人間の身体を振動させているのである。大太鼓は極端な例としても、このような性質を持つ音響エネルギーにさらされている人間は、当然この影響を受けることとなり、微妙をきわめる人間の感覚は、これを音響情報の重要な一部分としながら、総合的な音響知覚が行われる。このことは先に述べた大太鼓の例のように、それと意識されるものから、無意識のうちに感じとっているものまで多くのものがある。
 しかし、いずれも最終的には、耳からの情報と重って「音」として聴えるのであって、体で感じている情報の多くは、あまり意識されず、聴覚の「縁の下の力持ち」的役割を果たす。 この低音域音響エネルギーは、人間の体に「音圧」として感じられるだけでなく、しばしば床面等を伝ってくる振動を伴う。そして、この振動感さえも音の情報の一部となり、最終的に「音」として知覚される。
 これら音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面を伝って感じ取られる振動感を、それと意識されるものから、無意識のうちに感じとっているものまでを含めて 体感振動 と呼ぶことにする。

2.体感振動の音響・振動心理

 体感振動は、一般的に周波数が低くなる程、聴覚に及ぼす影響が大きくなり、数10Hz 以下では、耳で聴く部分より、体で感じ取る部分の方が大きくなるともいわれている。また、この体感振動は聴覚における「縁の下の力持ち」なるが由に、人間の本能的なものや、意識下にも影響を及ぼすような側面を持っている。
 体感振動がもたらす感じとして、例えば、それが音楽であれば重低音感、リズム感、エネルギー感、陶酔感、恍惚感などの心理的快感、生理的快感をもたらし、人間の官能にも訴える一方、ある種の音においては、不安感、緊迫感、恐怖感などを倍加する。
 耳から聴いている音の多くが、意識的、論理的な意識上の世界、左脳的であるのに対し、体感振動からは、右脳的、官能的、根源的、意識下の世界に影響を及ぼすような、好対照を示す。

3.体感振動の欠落した音響再生

 現在得られる電気−音響変換器として、過度特性、波形再現性、位相特性、周波数特性など、そのどれをとっても振動系の桁違いの軽さ、音源の一点性などから、ヘッドホンが最も優れた物理特性が得られるであろうと考えられるし、実際、非常に優れた性能のヘッドホンが製品化されている。
 ところが、この最も物理特性が優れているはずのヘッドホンの音を聴くと、音の良いことは解るのだけれども、妙に軽い超自然的な音がして、自然な音とはやや異質なものであることに気付く。特に低音域は、十分低い音まで再生されているにもかかわらず重低音感が少ない。
 また、自分で電予楽器などを演奏して、これをヘッドホンでモニターすると、まるで感じが出ない。その不自然さはレコード再生時等における比ではなく、どうしてもスピーカによるモニターの必要性を感じる。これは明らかに何か重要な音響情報が欠落していると考えられる。
 これは「耳」には音響エネルギーを与えながら、身体全体には音響エネルギーを与えていないことによる体感振動の欠落である。そこで後述するポディソニックシステムにより体感振動を付加すると、ヘッドホンの音が、ガラリと変わり、自然感や重低音感が出て、中音域の音まで生き生きとしてくる8)

4.体感振動を積極的に取り入れた音響再生、その開発の経緯

 聴覚に及ぼす体感振動の重要性はすでに述べたが、この重要性に着目した実験や研究は、かなり以前から行われており、ウーハによって床やソファーなどを振動させる試みなども行われていた1)2)
 筆者は、1960年代から70年代にかけて、壁、天井、床面など、振動可能な板面を直接振動させ、壁や天井全体から音響再生をする、エコニック・サウンドトランスデューサGTボ−ドスピーカなどを開発、製品化した3)4)。これは動電形の振動トランスデューサ(電気−機械振動変換器)であり、後にボディソニックの開発に当って重要な基本技術となった。
 こうした流れの中で、具体的にボディソニックを製品化する重要なきっかけとなったのは、1972年、糸川英夫博士より“現在のステレオには、ボーンコンダクションが欠けている”との提言5)による。

 

糸川英夫博士の提言

 

 楽器を演奏する人は、弦楽器でも、管楽器でも二つの音を聴いている。一つは空気中を伝わって来る「音波」である。ステレオはこの世界を追う。もう一つのチャンネルは、ボーンコンダクションとよばれ、楽器をもつ手、抱えている身体を通して、直接振動として伝わり、骨を通り聴覚系伝播されるものである。現代のオーディオ、ステレオ、すべてに欠けているのは、このもう一つの「音」のチャンネルなのである。
 音楽の中で聴く人に真の恍惚感を与えるのは、楽器から直接伝わる振動・ボーンコンダクションの方である。バイオリニストが顎に楽器を抱えて、陶然と自分の弾く音に浸っているのは、顎の骨にバイオリンの表裏板から直に伝わる振動音、ボーンコンダクションの音を聴いているためである。ピアニストの場合でも指先、足、腰から、ピアノの音をボーンコンダクションで聴いている。
 古典音楽がヨーロッパで発展したのは、貴族社会の中の小さい室内であって、チャンバーミュージック(室内楽)という名がつけられた通りである。部屋の大きさは、このボーンコンダクションの範囲でつくられていた。楽器の振動が床板を伝わり、椅子の足を通して椅子に座っている人の腰にまで減衰しないで伝達するゾーンである。
 音楽が大衆化して大ホールが現れたときに、こちらは棄てられた。空気中を伝わる「音波」だけの音楽になった。そしてエレクトロニクス、テクノロジーが発達し、レコード、オーディオが登場したときにも、「音波」だけの音楽になりきり、ボーンコンダクションは忘却の世界に置き去りにされた。
 ディスコやロックコンサートで物凄い音響を出し、ドラムがけた外れの音を出すようになったのは、若い人達が本能的にボーンコンダクションを現代に復活させようという、一つの試みである。
 ボーンコンダクションは、それに気がつけば、エレクトロニックスとテクノロジーを使って再現は可能である。このシステムを欠いている現代のオーディオは、どんなに高価なものであっても、「音楽」を聴く装置としては欠陥商品といえる。ボーンコンダクションをステレオに付けるべきである。


 この提言を受けてボディソニックを製品化する試みが数社で行われた6)。パイオニアの松本会長は、その最も強力な推進者となり、ボーンコンダクションを具現した製品「ボディソニック・ミュージックチェア」を世に送り出した。
 このボディソニック・ミュージックチェア(写真1)の優れていた点は、それまでの体感振動発生の試みが、スピーカユニット(ウーハ)によっていたのに対し、振動トランスデューサを使用した点であった7)
 

写真1 ボディソニック・ミュージツクチェア MC-1000

     “ボーンコンダクションを具現した最初の製品”
      専用駆動AMPは椅子の下に取り付けられている。


 体感振動発生器としてウーハを使うと、電気→音響(空気振動)変換した後、さらに音響(空気振動)→機械振動変換と、2重のエネルギー変換を行うため、エネルギーの変換効率もあまり良くなく、装置は大型化し、音漏れなど、いろいろな副作用もあり、これを防止するため装置は増々大がかりになり、製品化は成功しなかった。
 これにひきかえ、電気―機械振動トランスデューサを使用したボディソニック・ミュージックチェアは、エネルギー変換も、電気→機械振動の1回だけで直接体感振動を発生可能である。
 このため、変換効率も高く、スッキリとまとめることができ、製品化を可能にした。その後、ボディソニックはさらに改良を重ね、クッションやシートの形をとったもの(写真2.3)も生れた8)
 

   写真2 オーディオクッション・ディスコタ−ボ MODEL-24

        座当て用大クツションと、背当て用小クッションがある。
        右下の専用AMPでクッション 2台まで駆動可能。





写真3 ボディソニツクシステム BSS-8(パイオニア製)

     座り心地の良いソフトなクツシ。ソと吸湿性の良い布地を
     採用して自然な振動を得ている、L状シートタイプ。
     専用AMP(プロセツサ)にはLED振動レベル表示がつい
     ている。


 このようにしてホームユースからカーステレオ用、さらに、業務用として音楽喫茶、ライブハウス、ポートピアにおけるような各種催物、映像と一体となった映画用にも応用がなされている。さらに特殊な例としては、教育用や医療の分野まで、非常に多様な拡がりを見せつつ今日に至っている。

 

図1 椅子用シート型、および、クッション型ボディソニツクの接続図

5.ボティソニツクの効果

 体感振動の音響・振動心理の項でも述べたような、いろいろな効果を持つが、ボディソニックシステムを音楽鑑賞用として使用する場合でも、音楽の分野が異なると求めている効果の期待点もだいぶ違っていることが分かってきた。

5.1 重低音感

 低音振動を体に与えるのであるから、重視されるべき効果であることは当然であり、すべての音楽に共通する効果であるが、主としてクラシック音楽などを聴いている人達が重視し、期待している面が強いようである。音楽の和声学的構成などからもうなずけるように思える。またシンセサイザなどを使用した音楽では、すばらしい重低音感の効果が得られる場合が多い。

5.2 リズム感

 ジャズ、それもモダンジャズなどを主として聴いている人達が最も重視し、その効果への期待感も強い。
 シソコペーティックなリズム、スリリングなリズムなど、リズムがジャズにおける重要な要素であるので当然といえよう。ベースの音、パーカッションの音等、直接体に振動として叩きこまれる感じもあり効果も大きい。この分野の音楽を聴いている人達はリズム感に、より多くの神経を集中しているせいか、重低音感には必ずしも関心を示していないようでもある。

5.3 エネルギー感

 ロックなどを主として聴いている人達が重視する効果である。あの圧倒的な大音響エネルギー感は、ロック音楽にとって重要な要素で、ロック音楽を小音量で静かに聴いたのではロックの良さは味わうべくもないであろう。体に強い衝撃感を与えるバスドラムや、強烈なエレキベースの音を体感振動として体に与えることにより、強烈なエネルギー感が再現され、ロック音楽の真髄に触れる感がある。
 この分野では、ボディソニックの効果を取り入れた、新しい音楽も生れつつある(後述)。

5.4 快さ、陶酔感

 これは、あらゆる分野の音楽に共通する効果であるがポピュラー音楽などにおいては、この面が多いように思える。特にエレキベースの音は何とも快く響き、快よいリズム感とともに、たいへんリラックスした気分になり、ストレス解消の効果も大きい。何か人間の根源的な官能に訴えるものがあるように思える。

 以上、音楽とボディソニックの効果について便宜的に、上記のような分類をしてみたが、実際には、これらは、いろいろな重なり合いを見せているし、上記以外の側面もいろいろあろう。
 前述のごとく、ポディソニックは精神的にリラックスさせる効果や、人間の意識下の世界にも作用するので、この面を利用して音楽療法など医学的応用や、語学教育の特殊な応用など(加速教育といわれている)教育面でも大きな効果を上げつつある。
 その他、業務音楽用の例として、ヘッドホンジュークボックス(ビクター)と組み合わせて好評を得ている例などもある。
 ボディソニックは音楽だけでなく、ドキュメンタリー音や効果音などにおいても大きな効果を発揮する。次にそれを述べる。

6.ドキュメンタリー音とボディソニックの効果

 電車やSLの走る音、トラクターや車のエンジン音、噴火や大砲などの爆発音、雪崩や山崩の音、地震などによりビルが崩れる音、etc…。 これら広い周波数レンジと重低音域の成分を多く含む衝撃感や振動感を伴う音、時には、地響きさえ伴うようなドキュメンタリー音や効果音を、ボディソニックシステムを使用して再生すると、スピーカやヘッドホンだけの再生ではとうてい再現することのできない、迫真の臨場感を再現することができる。また特殊な効果音においては、不安感や恐怖感を倍加することもできる。
 この効果をパノラマ等の展示物に応用すると大きな効果を上げることができ、映画やテレビなどに応用すると、圧倒的な劇的効果を高めることが可能である。
 展示物への応用としては、火山パノラマ、宇宙基地における巨大宇宙船が降下・上昇するパノラマ、地震体験館などの応用が既に行われている。
 映画への応用は数館のボディソニックシステム設置映画館ができている。また、神戸ポートビアにおけるマルチスクリーン方式の映像と組み合わせたものもあり、効果を上げた。

 これらの応用における注意点としては、ドキュメンタリー音や効果音においては、圧倒的な効果が得られる反面、ナレーションや会話(台詞)などの人声で振動を発生すると、不自然感が起こり映画用ボディソニック・システムがちなことである。
 そこで映画やテレビのドラマ等への応用においては、人声をリアルタイムで識別し、これをカットする必要が生じる。この目的のために、人声をリアルタイムで識別処理する非常に特殊なアナログコンピュータが開発され、ボディソニックシステム設置映画館にはこれが使用されている(写真4)。
 ドキュメンタリー音的な特殊応用として、警視庁や防衛庁その他で使用される自動車シミュレータ、航空機シミュレータなどに応用されて効果を上げている。
 

写真4 映画用ホディソニツクシステム

  上段:人声識別アナログコソピュータ(プロセッサ) TT-130
      時間遅れ回路なども内蔵されている。
  下段:ポディソニツクバワーAMP群)

7.ボティソニツクのハードウェア

 ボディソニックシステムは、入力されるオーディオ信号からボディソニック用の信号を作り出す 「プロセッサ」、駆動に必要な電力を得る 「パワーAMP」、電気信号から機械振動を得る 「トランスデューサ」 と、これを有効に体感振動として人体に伝達させる椅子やクッション、シート、その他の 「振動系(人体載置物)」 などから構成される。
 ここで注意を要することは、ボディソニックだけについていえば上記の通りであるが、音楽の場合、音を伴わずに体感振動のみを加えても奇異な感じになりやすい。
 通常の音楽においては、ボディソニックは必ず音とともに用いて、はじめて効果を発揮する。そして、その音は良い音である程、良い効果が得られる。従って、ポディソニックは、性能の良いオーディオシステムとともに用いられ、その意味で音源(ソフト)のクオリティは特に重要である。

7.1 ボディソニック・プロセッサ

 ボディソニック・プロセッサは、オーディオ信号から ボディソニック用の振動信号を作り出す 信号処理系である。この信号処理のためには、音楽の種類によって低音域成分のレベルが大きく異なる問題に対処した信号処理が必要である。また、ヒトの 「聴覚心理特性」 と 「振動心理特性」 を踏まえ、そこに生じる問題に対処した信号処理も必要である。

 図2は、信号処理の基本原理を説明するための回路図である。LINE の入力信号から fc 150Hz 程度のローパスフィルタで低音成分を取り出し、レベル調整をして、振動信号増幅器で必要な振動信号電力を得る。この信号を振動トランスデューサで体感音響振動に変換し、適切に設計された振動伝達系で振動付与すれば、一応はボディソニックを構成することができる。しかし、図2の回路のみでは下記のような問題が生じる。

 LINE の信号レベルは 20〜20KHz の全周波数帯域で、規定の信号レベルになるように設定されている。この信号からローパスフィルタで低音成分のみを取り出すと、音楽のジャンル、録音状態 その他の違いにより、出力される信号に大きなレベル差が生じる。
 例えば、ロック系の音楽では、バスドラムやエレキベースが多用され、電気的な信号処理によって基本波成分の多いオーディオ信号得ている。このため、ローパスフィルタを通しても強力な低音信号が高レベルで出力される。
 一方、クラシック音楽などでは、弦楽器、管楽器などのアコースティック楽器が使われている。高次の倍音成分を多く含むが、楽器のサイズの問題などから、波長の長い低音の基本波成分はレベルが低くなる。このため、ローパスフィルタを通して得られる低音信号は、低レベルになってしまう。
 こうした事情から、ローパスフィルタを通して得られるボディソニック信号は、音楽ジャンルの違い、楽曲の違い、楽器編成の違い、録音状態の違い等などにより、大きなレベル差を生じてしまい、ロック系の音楽では振動が強すぎる一方で、クラシック系の音楽などでは、ボリュームを上げても振動が弱くて実用性能が得られないなどの問題が生じる。ポピュラー系の音楽でも程度の差はあっても同様の問題が生じる。
     図2 図3 図4 ボディソニック・プロセッサ回路
  
 図3は、上記の問題を解決する為にレベル圧縮回路を入れ、ローパスフィルタの出力から得た制御信号をフィードバックし、レベル圧縮回路の圧縮度を制御している。ロック系の音楽で信号出力が大きいと圧縮信号も大きくなり、出力レベルが抑えられる。クラシック系の音楽では圧縮信号が低くなり、出力レベルを上げる。こうして音楽の種類などの違いで生じる出力レベル差を少なくすることが可能になる。
 しかし音楽の種類などの違いで生じる出力レベル差を少なくし過ぎると、ボディソニックとして 音と振動のつながりに不自然さがでやすい。

 図4は、上記を改善するもので、レベル圧縮回路の前にプリイコライジング回路EQ を設け、その後にレベル圧縮回路を挿入している。EQ はゆるやかなローパスフィルタで、一例をあげれば fc 72Hz, oct -6dB である。
 入力された音楽信号は EQ により音楽の種類などの違いで、出力レベル差を生じるが、図2の場合に比べるとレベル差は少ない。これを次のレベル圧縮回路によってレベル差を少なくし、ボディソニックとして自然な感じの音と振動のつながり感を得ている。
 プリイコライジング回路の特性は、ボディソニックとして心地よい振動感を得る効果をも併せ持っている重要な回路である。

 以上のほかに、実際の回路は更にいくつかの回路要素を必要とする。ヒトの 「聴覚心理特性」 と 「振動心理特性」 の違いの問題を述べ、その対処技術について説明しなければならないが、別の機会に譲る。

   

  写真5 業務用ボディソニツクプロセツサ P65

   ボディソニツク用パワーAMP M200を10台まで
   接続可能。 さらに、スーパーウーハ用フィルタ
   AMP を内蔵し、直接ウーハを駆勤できる。
 

 写真6 業務用ボディソニツクパワーAMP M200

  業務用ボディソニツクチェアを45脚まで駆動可能。
  多数の椅子を並列接続するので、負荷ショートなど
  に対する保護回路は四重にして万全を期している。
 

7.2 振動トランスデューサ

 体感振動を得る最も重要な部分である。写真7に振動トランスデューサの例を示す。小さいものから大きいものまで各種あり、用途によって使い分けられる。

 
            写真7 振動トランスデューサ 各種
 

7.3 振動系(人体載置物)

 クッシ∃ン、シート、チェアなどによるものが商品化されているが、チェアにおいては椅子の構造体そのものを駆動する方式と、表面のクッションを振動体にする2方式がある。前者は、構造を振動的によほど注意して作らないと、構造体のいろいろな部分で強い共振が現れ、振動にクセが出やすい。
 比較的小型のトランスデューサを数多く並べて、全面駆動的にすると、よりリアルな振動が得られやすい。一般的な音楽ファンは、より「快よい振動」を求めるが、HiFiファンは、より「リアルな振動」を求める煩向が見られる。

車用ボディソニック BC-10 BC-11

   写真8 業務用ホディソニツク チエア
       HBS―001 ホウトク製。

        業務用椅子は種類も多く、
        これはその1例。

 写真9 車用ボディソニック BC-10、BC-11
     パイオニア製。

      シートの上に置く置形クツションタイプ。
      専用AMP(プロセツサ)1台でクッションを
      2台まで駆動可能。
      アメリカ発売。 (国内未発売)

8.ボティソックによる新しい音楽

 電気楽器、電子楽器、各種イフェクタやPA装置9)の出現が、新しい音楽の誕生を促したともいえる。昨今のポップスと呼ばれる1群の音楽は、これらエレクトロニクスを使った楽器やPA装置なしでは成立たない程になっている。ロック音楽などは、高性能PA装置によるエネルギー感がなければ成立たない。
 ボディソニックシステムは、その効果によって音楽に新しい可能性を付与しつつある。かつて、電子・電気楽器やPA装置などのエレクトロニクスが、新しい音楽の誕生を促したように、ボディソニックシステムという新しいエレクトロニクスが、新しい音楽の誕生を促しはじめている。
 最近発売されたアルファレコード(社長・村井邦彦)の「タキオン」というレコードは、ボディソニックシステムを使って聴くことを前提に作られた新しいロック音楽である(レコードのジャケットにボディソニックとともに聴くよう書かれている)。この新しい音楽を推進しているプロデューサは、ロック界で著名なミッキー・カーチス氏である。彼はレコードだけでなく、ライブコンサートにもボディソニックを使用し(客席をボディソニックチェアにする)、新しい音楽の表現を追求している。新しい音楽と新しい音楽用エレクトロニクスの誕生である。
 ボディソニックチェアを全席、設置したライブハウス「BOSS」(東京渋谷)の誕生などとも合わせて、今後の音楽、ひいてはその再生装置たるオーディオ装置にも少なからぬ変化をもたらす兆しのようにも見える。

9.ポディソニック・ミュージックシステム
  −ボディソニックを取り入れた新しいオーディオシステム−

 最近のオーディオAMPは LR両ch合わせれば、100Wを超える程の大電力が普通になっている。
 1960年以前であれば、せいぜい20〜30W程のAMPで大運動会が行われていた。スピーカの能率が違うので、同列にはできないにしても、大運動場に十分な音量を出力する以上の大出力AMPが一般家庭の一室に持ち込まれているのである。
 その電力も、ある必然をもって計算されているのであり、現在のオーディオ装置は、それを必要とするシステムなのである。しかし都市はますます過密となり、騒音公害による殺人事件さえ起こっている現実もある。

 適当な形状のボディソニックチェアに、小電力で良いから、十分、音の良いスピーカを取り付ける。取り付位置は、リスナーの比較的、耳に近い所が好ましい。スピーカの位置が耳に近い程、エンクロージュアは小さくても低音再生ができるとともに、小電力でもリスナーは十分な音量で音楽を楽しめる。小電力であるから騒音公害の心配もない。
 スピーカが耳に近づくと、ヘッドホンリスニングに近い状態となり、体感振動の欠落を生ずるが、それはボディソニックによって十分に補われる。
 音楽による快い体感振動により、快いリズム感、十分な重低音感とともに音楽にひたり陶酔する。心は安らぎストレスも緩和する。騒音公害の心配など、まったくない。他人への迷惑など気にする必要もなく、リスナは十分な音量で心ゆくまで音楽の鑑賞ができる。
 オーディオはビデオとも結びつき、アクションドラマを体感振動による迫真の臨場感で楽しむ、圧倒する劇的効果…。こんなボディソニック・ミュージックシステムが新しいオーディオのひとつの姿ではないだろうか?。こんなパーソナルなオーディオ装置の研究開発が進み、製品化されようとしている。
(1981年5月現在)

追 記 (2017年4月)

 上記の「ボディソニック・ミュージックシステム」は、後に「ボディソニック・リフレッシュ1」として世に送り出された。1980年代半ば頃のことである。下記に「ボディソニック・リフレッシュ1」の写真を示す。3枚の写真は撮影アングルが異なるので、異なる機種のようにも見えるかも知れないが、すべて「ボディソニック・リフレッシュ1」である。
 音楽療法用として心療内科領域での臨床例が多い。リラクセーション用としても使用されている。写真をクリックすると、写真が掲載されているページにジャンプし、大きな写真が表示される。

 

      ボディソニック・リフレッシュ1  Bodysonic R1  BSR-1

謝 辞

 資料提供をしていただいた パイオニア・板垣 正氏、ホウトク・徳広氏、野口氏に お礼を申し上げる。

【参考文献】

1)五十嵐一郎:ラジオ技術、1963年4月、p60〜65。
2)永見勝:特公昭、44一21697.
3)小松 明:無線と実験、1970年1月、p.136〜139. l971年3月、P123〜l28.
       ラジオ技術、l970年4月、p.251〜254。 1971年3月、p265〜269.
4)三文字誠:無線と実験、1970年5月、p158〜163.
5)糸川英夫:公開特公昭、48-90515.
6)板垣 正:特公昭、53-44818。
7)山田恭太:特公昭、52-3281.
8)小松 明:ラジオ技術、l978年4月、p268〜270。
       無線と実験:l978年4月、グラビア。
9)則安治男、鶴渕徹:JAS Journal、Vol.21、No.2、P3〜14.
10)小松 明:日本オーディオ協会誌 JAS Journal、1981年6月、P54-60


 

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