体感音響研究所


ボディソニックと
振動トランスデューサ










ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究
第3章 ボディソニックシステムの応用施工例

         

  bodysonic laboratory


 

ボディソニックと
ボディソニックトランスデューサ
その応用製品例 & DVDチェアの試作

 

ボディソニックトランスデューサ とは、電気−機械振動変換器 を
 ボディソニック用に特化する技術開発によって完成したもので、
ボディソニック(体感音響装置)のキーデバイスである。

 

体感音響研究所 小松 明

 

Vp6外形図

1.ボディソニックの効果

 ボディソニック(体感音響装置)にはさまざまな効果があるが、代表的な効果として 「リラクセーション効果」と「臨場感再現効果」 を挙げることができる。
 ここでは、このふたつの効果の視点から「ボディソニックとボディソニックトランスデューサ、その応用製品例」について述べる。

振動トランスデューサ Vt7 (アクーヴ 社製)

1.1 人が聴く音の原点は体感振動を伴っている
    − 意識下に残る胎児期の記憶 −

 人が聴く音の原点は、体感音響振動を伴った音を聴いている状態である。試みに人の胸や背中に手を当てれば、ドキッドキッという心臓の鼓動が振動として手に感じられるだろう。この状態で声を出してもらえば驚くほど声の振動が手に伝わってくる。
 身体は約70%が水分である。水は空気より音響インピーダンスが高く、骨や水は空気よりはるかに振動を良く伝える。このことから胎児期、赤ちゃんは胎内で母親の声や鼓動などの胎内音を、体感音響振動を伴った音として聴いていることが理解される。
 産まれたばかりの赤ちゃんは、母親に抱かれて声や鼓動が振動とともに伝わると安心する。成人しても意識下には胎児期の記憶が残っており、似たような状態におかれると安心したりリラックスし、なにか生命の根源に働きかけるものがある。
 音楽聴取時、音とともに音楽振動(体感音響振動)を適切に付与すると、音楽の感動・陶酔感を高める効果や印象を深める効果、リラクセーションの効果などがある1)
 これらの効果からボディソニックは受容的音楽療法に応用され、心療内科領域2)3)、老年医学領域、末期医療、人工透析4)、成分献血、外科領域、ストーマケア、歯科、産科など、医学の領域で多くの研究・臨床報告があり注目される。

1.2 爆発音などの臨場感再現効果

 体感振動は音楽だけでなく、ドキュメンタリー音や効果音でも大きな効果を発揮する。電車やSLの走る音、トラクタや車のエンジン音、噴火や大砲などの爆発音、地震などによりビルなどが崩れる音etc…。これら広い周波数レンジと重低音域の成分を含む衝撃感や、振動感を伴なう音、時には地響きさえ伴なうようなドキュメンタリー音や効果音を体感音響装置で再生すると、スピーカやヘッドホンだけの再生ではとうてい再現することのできない、迫真の臨場感を再現する5)ことができる。また、特殊な効果音においては、不安感や恐怖感を倍加する。
 この効果を、映画などの映像メディアと組合わせることによって、圧倒的な劇的効果を高めることが可能である。今後はDVDへの応用が期待さる。

2.効果的な周波数帯域

 体感振動は椅子などの人体載置物を介して、触振動覚的に身体で受容されるため、20〜150Hzくらいを体感振動周波数帯域としている。これは周波数が高くなると、音として聴覚では聞き取れても、触振動覚としての効果は低下する「人間の感覚特性」に合わせたものであり、凡そ下記の様な意味合いを持っている。

2.1 音とのつながり、音のリアリティを補う帯域 50〜150Hz

 低音楽器のリアリティ、振動感を伴うようなドキュメンタリー音の臨場感の再現など、音の印象を深めたり、音と体感振動とのつながりを良くするのに必要な周波数帯域が、50〜150Hzである。50〜150Hzの帯域の再現は、従来技術で可能なレベルになっている。

2.2 臨場感、陶酔感、生理的快感などをもたらす帯域 20〜50Hz

 帯域を20〜50Hzまで広げることによって、重低音感の増強、振動感や衝撃感を伴うドキュメンタリー音などの、迫真の臨場感の再現などの効果を、より一層深めるのに重要な帯域である。さらに20〜50Hzの帯域は、心地良いと感じる生理的快感をもたらし、陶酔感を深め、リラクセーションを高める効果がある。
 このことから、20〜50Hzの帯域の再現が十分にできるか否かが機器の性能を大きく左右する重要な鍵を握っていることが理解されよう。
 20〜50Hzの再現は非常に重要であるが、従来の技術では40Hz以下の低い周波数帯域の再生は困難であった。

3.ボディソニック・トランスデューサ(振動トランスデューサ)

 電気信号を機械振動に変換する振動トランスデューサ(電気−機械振動変換器)を、ボディソニック用に特化・技術開発した ボディソニック・トランスデューサ は、ボディソニック のキーデバイスである。 【注】ボディソニック は登録商標

 

3.1 低域再現能力を改善したVt7とVp6

 ボディソニック・トランスデューサ Vt7Vp6 は、動電形ケース振動出力方式で、今まで再現が困難であった40Hz以下を十分に再現可能とした。これによって非常に重要な20〜50Hzの帯域を、十分に再生することが可能となった。
 また、Vt7は高性能なので、従来の振動トランスデューサに比べると、使用個数も駆動するアンプの電力も半分くらいですむようになった。下記にVt7とVp6の仕様と写真、外形寸法図を示す。


【Vt7仕様】

 インピーダンス  8Ω or 32Ω
 定格(最大)入力  10W (20W)
 外 形 寸 法  116W×116D×30.HH
 重     量  500g

 

振動トランスデューサ Vt7 

Vt7 トランスデューサ
      Vt7 外形寸法図

Vt7 外形寸法図


【Vp6仕様】

 インピーダンス  4Ω or 16Ω
 定格 (最大)入力  5W  (10W)
 外 形 寸 法  φ104×23.5H
 重     量  310g

Vp6 トランスデューサ

  振動トランスデューサ Vp6

        Vp6 外形寸法図

Vp6 外形寸法図

 


4.ボディソニックトランスデューサ
  Vt7 の応用製品例

 Vt7は椅子のフレームや床を駆動する場合に適した性能を有している。使用例としては、ソニーのオーディオチェアや、オムロン、リビングテクノロジー、アイ信などの、リラクセーションチェアに使用されている。
 また、リラクセーション・誘眠などの用途としてベッドのマットレス内に組み込んで、シモンズのベッドにも使用されている。このほか、アトラクションやアミューズメント、業務用などで床からの体感振動発生用に使用されている。以下に応用製品の例を示す。

 

 

Vt7   

 

Vt7 単独

Vt7

ソニー・アクティブソニックチェア

ソニー・アクティブソニックチェア ARV-PSC1

 肘掛け前方に取り付けられたニアフィールドスピーカは非常に音質がよく、音の定位も素晴らしい。まさにベストポジション。さすがソニー!と、音質の良さ、重厚なライブ感には誰もが目を見張る。
 振動効果も良く、高い臨場感が得られる。価格もリーズナブルで、コストパフォーマンスが高い。
 パーソナルなオーディオ・ビジュアル用として、音楽鑑賞用、TV,DVDとの組合せによる映画鑑賞やゲームとの組み合わせなどに好適。

松下電工・フィールビート

 地をはうような地響き、爆発の衝撃音など、身体で臨場感が味わえ、映画や音楽が見違えるほどの迫力で楽しめる。また、EP4200には、松下電工・フィールビート シートタイプパワーシネマモード、パワーライブモード、リラックス音楽モードと3っのビートモードがあり、最適な振動感が得られるようになっている。
 その他、振動音楽の原理を応用した、ウェーブコース、リズムコース、パルスコースの、リラクセーション振動音源を装備しているなど、多彩な機能が装備されている。

松下電工・フィールビート チェアタイプ

              松下電工・フィールビート      EP4000         EP4200

ファンソニック Sound Vibration Cushion  FS-01V

ファンソニック

 椅子の上に置く腰当クッションタイプのボディソニック。音楽用としても、ホームシアタ用としても、ゲーム用などにも使え、ローコストな簡易型ながら、トランスデューサ Vt7 の高性能振動特性が生きていて、なかなかの効果を発揮する。
 しかし、コスト低減のため、ヘッドホンアンプを積んでいないので、組み合わせる CDプレーアなどのPHONEOUTへの接続となるので、レベル設定などにやや注意を要する部分がある。

アイ信 光と音の研究所
  L VIbSIC (エル ヴァイジック)チェア

 明滅光により脳に働きかける幻想的なリラクセーション効果と、音楽によるリラクセーション効果が、完全に調和されたシステム。リラクセーション音楽とともに光制御信号が入っている専用CDも多数提供されている。アンプには光制御信号処理回路が内蔵され、光のゴーグルが付属している。
 体感振動性能は、振動音楽規格レベル1 を満たす非常に高い性能を持つ。椅子のフレーム構造、トランスデューサの位置、振動伝達構造を検討しつくし、理想的な体感振動分布を得ている。

アイ信・L VIbSICチェア
リビングテクノロジー・サウンドキュア

リビングテクノロジー
  サウンドキュア  LB-031

 全身的な体感振動の効果は非常に良くリラクセーション効果が高い。この椅子のベースはローラーマッサージ機で、リクライニングは電動式。高級感のあるしっかりした作りである。
 ローラーマッサージ機にボディソニック機能を搭載することは、その構造上困難であるが、この機種はマッサージ機に体感音響機能を搭載したものの中では最も高い振動性能を持っている。リラクセーション音楽を聴きなからマッサージをするのは想像以上に快適であった。

  

オムロン・リラクセーションチェア
  VILLA-RELAX HMR-100

 リラクセーション用であるが、耳元のスピーカにはサラウンド機能が搭載されているので、耳元のスピーカをサラウンドにして、オーディオ・ビジュアル用として、前方のスピーカと組み合わせて使用すると面白い効果が出せる。リクライニングは電動式。

オムロン・リラクセーションチェア

ストレスの緩和とボディソニック

  

 我が国は'80年代、ストレス社会に突入し、心身症、神経症、不登校児の増加、過労死など、ストレスに起因する病を多発させた。
 心療内科領域での受容的音楽療法の臨床例は、椅子形体感音響装置 R1うつ状態に音楽療法的接近を試みた一例、過敏性腸症候群に対する音楽療法、摂食障害患者の過食衝動に対する音楽の活用の試み、不登校症例に対する音楽療法の活用など、数多い臨床報告がある。方法としては、リラクセーション効果のある椅子形のボディソニックを使用している。こうしたことからリラクセーション用のボディソニックが使用されるようになった。

写真 心療内科領域で音楽療法用として使用された
     ボディソニック・リフレッシュ1


5.ボディソニックトランスデューサ Vp6 の応用製品例

 Vp6は小形で薄い形状であり、ベッドパットタイプの体感音響装置や、椅子などのクッション内に装着するのに適した形状に設計されている。フューテック社のアルファータ、音楽療法的な用途として、Visic社のベッドパット、シロキ工業の介護用ベッドやベッドパット、タチエス社の人工透析椅子、透析用ベッドパットなどに使用されている。
 Vp6は薄い形状で比較的、小形・軽量であることから、今後、個人用の機器などにも応用が進んでいくものと思われる。

Vp6  

Vp6 トランスデューサ 単独

Vp6

フューテック・サウンドバイブレーション アルファータ
  FM-111A(振動アンプ) FM-112P(振動ポーチ) FM-112S(振動シート)


フューテック・アンプ

 

振動アンプ FM-111A (左)

 

         振動ポーチ FM-112P (右)

  クッション

 

  振動シート FM112S (オプション)

 


 リラクセーション用として作られており、右図に示すようなさまざまな使い方がある。

 同社のα波測定器(FM-515)や、脳波電極付き光ゴーグル(FM 100A)、脳波解析コンピュータソフトとの組合せで、リラクセーションシステムを構成することも可能。

フューテック・アルファータの使い方

  

バイジック・コーポレーション ベッドパッドシステム VBP-10S
    体感音響/バイブロ・ソニック シンフォニー

バイジック ベッドパッド 「シンフォニー」

 ベッドパッド VBP-10S をベッドのマットレスの上に敷くだけで、ベッドがボディソニックベッドになる。
 振動特性の良さとともに、専用スピーカが耳元に付けられるので音響効果もすぐれ、非常にリラクセーション効果が高い。

 不眠症の改善、介護、人工透析、医療用、その他さまざまな用途に使用されている。

  

パイオニア(株) 「体で聴こう音楽会」 ポータブル バイジック・システム

 クッション型の体感音響装置 「ポータブル バイジック・システム」は、椅子などの上に置いて使用できる四角いクッションと、手で持つ小型で円いポーチ形ハンドクッション、リモコン付きの Visic AMP で構成される。クッションは椅子などの上に置くだけで、簡単に椅子を体感音響システムにすることができる。また、ポーチ形のハンドクッションは、手で持つことにより高い振動弁別能力を可能にする。こうした特性が注目され、パイオニア(株)の 「聴覚障害者のための身体で聴こう音楽会」用に採用されている。

ポータブルバイジック

  

美洋(株) 体感音響振動装置(Vibroaudio)
  体感音響装置搭載ベッド

美洋(株)体感音響装置搭載ベッド

 CDプレーヤ、体感音響装置AMP、スピーカなど、全ての機能を内蔵した1体型になっているので設置も操作も簡単、操作はワイアレスリモコン。体感音響装置の搭載は、ベッドパッド、ベッド、ベッドソファ、業務用ベッド、椅子パッドなど。応用分野は、個人用は勿論、温浴、仮眠ルーム、温泉、クラブ、オフィス、美容業界、リハビリ、老人ホームなど。
 美洋(株)の体感音響装置は、日中友好病院・臨床医学研究所に採用され、魏育林教授によって音楽療法が行われている。

日中友好病院     

 日中友好病院(北京) 音楽療法室

  日中友好病院 音楽療法室

 医療用・体感音響ベッドは、日中友好病院・臨床医学研究所に採用され、魏育林教授とそのスタッフによって音楽療法が行われている。高度経済成長の続く中国では、その一方で激しいビジネス競争の中での、ストレスに起因する患者が増加しており、心身症など、ストレス症候群の患者に体感音響装置を応用した受容的音楽療法が行われている。
 日中友好病院(中国名:中日友好医院)は、北京でも屈指の高い医療技術、医療設備を誇る優れた病院として知られている。

 

 2003年3月14日には、日本音楽療法学会・小松 明 理事が、日中友好病院・臨床医学研究所で、「医療における体感音響装置を応用した受容的音楽療法」 の講演を行い、多数の新聞、専門誌にも掲載された。

魏育林教授(左側)   日中友好病院全景

 
← 並んで左側 魏育林教授    ↑日中友好病院全景


タチエス・体感音響装置を搭載した
 Getwell Vibro-Music System
 人工透析椅子

 人工透析用に開発されたボディソニックを搭載したチェア。この他に人工透析用のベッドパットシステムも発売されている。人工透析については下のコラムを参照されたい。

Getwell 人工透析椅子

人工透析とボディソニック

  

 大阪府立病院人工透析室の表らによる、血液透析中における音楽療法の試み4)によれば、透析中、愁訴の多い維持透析患者10例について、各患者に医療用ベッドパットタイプのボディソニック (写真) ベッドパットタイプの体感音響装置を使用した音楽療法を行い、精神的に安定することによって吐き気、嘔吐が少なくなり、血圧変動が軽減し、腹痛・倦怠感など愁訴が減少するなどの改善の効果がみられたと報告している。聖路加国際病院の人工透析室ではボディソニック搭載の透析椅子も使用されており音楽療法:慢性疾患、特に透析患者への応用が報告されている。

写真 ベッドパットタイプの医療用ボディソニック
 人工透析のほか、外科手術前後の不安や痛みの緩和、ターミナルケアなど、音楽療法用に使用された。褥瘡 (床ずれ) の回避、鎮痛剤の使用量の減少、便秘への効果なども指摘されている。


6.DVDチェア

 DVD による5.1chが素晴らしい効果を持つことは言をまたないが、日本の家屋事情では 5.1ch を十分に再生することが難しい場合が多いといわれている。
 ここに示す DVD チェアは、椅子のみで それが実現可能である。右肘掛けにはオーディオアンプと振動アンプが内蔵されており、左肘掛けには DVD プレーアが取り付けられている。
 右の写真に、試作品の DVD チェアを示す。

             写真 DVDチェア(試作品)  →

 肘掛け前方にスピーカ、左肘掛けにDVDプレーア、右肘掛けにアンプ類が取り付けられている。振動トランスデューサVt7 は腰部に取り付けられており、椅子の振動構造が理論的に合理的で振動性能が高い。

DVDチェア

6.1 スピーカ

 肘掛けの前方にスピーカが取り付けられており、音は前方に定位する。椅子に装着したスピーカのみを鳴らしているのだが、この椅子に座って試聴した人は大概、前方のオーディオシステムのスピーカが鳴っているものと錯覚する。その秘密は体感振動にある。

6.2 体感振動と低音再生

 ボディソニックとしての体感振動の発生は、トランスデューサVt7の高性能と特殊な駆動方法により、低い周波数帯域の音響再生をも行う。このため、前方のスピーカでは再生できない低音域を補う。つまり一種のスーパーウーハの効果を果たしている。また、低音域の体感音響振動は重低音感を一層高める。
 このことが椅子に装着された小形スピーカの音とは思えないような、広い周波数帯域の再生を可能とし、前方のオーディオ装置のスピーカシステムが鳴っているものと錯覚させる程の効果を可能にしている。この効果は振動ボリュームを絞り、振動を止めてみるとよく分かる。

6.3 振動系(椅子の振動構造)

 椅子は長い歴史を持ち、振動駆動することとはまったく無関係な構造にできている。このため、振動系の構造としては相反するような不合理なものとなっている。世の中には振動構造を理解する椅子のデザイナーもおらず、こうした椅子を振動駆動する場合、さまざまなノウハウを駆使して、それなりの性能に追い込むが、それは所詮ごまかしであり振動性能上は問題を残したものとなってしまう。
 こうした問題を避けるために、椅子の振動構造を理論的に合理化して、振動性能、振動効率を高めた。これにより、トランスデューサVt7の高性能化と相俟って、従来は30〜50Wを必要としていたく動電力は10〜20Wで十分になった。この振動構造は単に効率がよければよいというものではなく、振動感のリアリティが高く、且つ人間の官能特性に合った心地よいものでなければならない。
 筆者は1960年代から70年代にかけて、壁、天井、床面など振動可能な板面を直接振動させ、壁や天井全体から音響再生をする、エコニック・サウンドトランスデューサ6)、GTボ−ドスピーカ7)などを開発し、その技術を基にボディソニックを開発5)8)した。
 以来、音楽療法その他への応用・研究を進める中で得た、人間の聴覚、触振動覚の感覚特性と付与する振動分布、クオリティなど、椅子などの振動構造と駆動方法などについては、振動駆動に適した椅子のフレーム構造のファイルを参照されたい。

6.4 5.1ch再生

 写真 に示した試作品の DVD チェアは、スピーカが前にしか付いていないが、椅子の背もたれの耳元近くにもスピーカを付け、少し信号処理に工夫を凝らすことにより、擬似的に 5.1ch の再生が可能になる。センターの音は前方の L.R のスピーカに割り振る。サブウーハch は主として振動トランスデューサに入れる。こうすることによりこの椅子のみで DVD 5.1ch が再生可能になる。
 スピーカがリスナーの直ぐ近くにあるので、それほど大きな音を出さなくても、十分な効果が得られる。これはわが国の住宅事情からは大変有利といえる。そして爆発シーンなどでは迫真の臨場感を再現する。


ドキュメンタリー音の臨場感再現効果と応用例

  

 エンジン音や爆発音などの振動感や衝撃感のあるドキュメンタリー音をボディソニックで再生すると、迫真の臨場感を再現することができる。映画などの映像メディアと組合わせることにより、圧倒的な劇的効果を高める。
 これらの効果から、神戸ポートピア・川鉄地球館、つくば科学万博85・NEC館映像ホールなどに大規模な体感音響システムが使用された。その他、浅草花屋敷の“ゴーストの館”などの3D音響と体感振動を組み合わせた遊園地施設など、様々な応用がなされてきた。今後はDVDへの応用が期待される。

 敷物形のボディソニック


7.ボディソニックの今後 体感音響システムから振動効果システムへ

 身体へ振動を付与するテクノロジーの第1世代は“バイブレータ”で、単なる物理的な振動であり、振動には特別な情報は含まれていない。
 第2世代は“体感音響システム”で、信号としてオーディオ信号の低音成分を使用し、振動に “音の情報”が含まれるようになり表現力が画期的に進化した。音楽の場合は、リズム感、音の高低、強弱などが体感され、音楽の陶酔感や感動を深め、爆発音などのドキュメンタリー音では、迫真の臨場感を再現することができるようになった。
 しかし期待に反するような不都合も多々生じる。例えばレーシングカーは消音器(マフラー)は付けない状態に近く、かん高い音がする。レーシングカーの場面で激しい振動感を期待するのに、かん高く低音成分の少ない音であるために、あまり振動せず期待する効果が得られない。その半面、人の声で振動してしまうような不自然なことも起る。これは、本来はスピーカによって音として再生するべきオーディオ信号を、仮に振動信号として代用していることによる。
 第3世代は“振動効果システム”で、本来の振動信号を使用する。例えば、マイクによる空気振動の“収音”ではなく、振動ピックアップによって振動信号を“収振”し、体感振動を発生する。この他、電子的に合成された信号や、振動効果の高いオーディオ信号も使用して、編集、プログラムすることにより完全な振動効果を得る。
 音と振動は関連性をもつが、音と振動は発生や伝達経路が異なる場合も多く、音響信号と振動信号は区別されなければならない。振動効果システムについては、このサイト内にある下記のファイルを参照されたい。

  第1章 体感音響装置による効果音、ドキュメンタリー音などの臨場感再現効果
  第2章 振動効果装置に至る体感振動の概念と技術の変遷
  第3章 振動効果装置 − 振動感、衝撃感など、劇的な臨場感を再現する為のシステム −
  ボディソニックプロセッサ 映画DVD用信号処理回路 編

参考文献

 1)小松 明:体感音響振動の効果メカニズム試論、ボディソニックによる音楽療法の効果は何故起こるのか
   日本バイオミュージック学会誌 Vol.7, P28-36, 1992.
 2)牧野真理子、坪井康次、中野弘二、筒井末春:うつ状態に音楽療法的接近を試みた一例
   日本バイオミュージック研究会誌 Vol.1, P61-66, 1987.
 3)村林信行、坪井康次、中野弘一、筒井末春:過敏性腸症候群に対する音楽療法
   日本バイオミュージック学会誌 Vol.9, P39-42, 1993.
 4)表 文恵、ほか:血液透析中における音楽療法の試み
   大阪透析研究会誌 1990,9月, 8巻2号 P173-177
 5)小松 明:身体で聴く音響装置、ボディソニック・システム
   日本オーディオ協会誌1981,Vol.21, No.6, P54-60
 6)小松 明:壁全体が音源となる新しいSP、エコニック・サウンドトランスデューサー
   無線と実験誌 1970,1月号, P136-139
 7)小松 明:音づくりの新しい可能性を示す 全面的に改良されたGTボードスピーカ
   「ラジオ技術」 1971年3月号 P265-269
 8)糸川英夫:ボーンコンダクションと音楽療法
   「音楽療法最前線」(小松明、佐々木久夫編)、人間と歴史社刊、1994, P155-180
 9)体感音響装置と振動トランスデューサ Vt7, Vp6 体感音響装置VISICによる5.1ch再生DVDチェア
   日本オーディオ協会誌 JAS journal 2002年 Vol.42, No.3, P9-13


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  03.5.18


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藤井敏明 イラストの作者 ボディソニックの臨場感再現効果 敷物型のボディソニック