体感音響研究所


ボディソニックの
技術開発、製品例












ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究
第1章2節 体感音響振動の効果

 

  bodysonic laboratory


 

メンタルバイブレーション(感性振動波形)とは?  

 

鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号を電子的に合成して駆動すると、高い効果が得られる。  
単調で比較的ゆっくりした繰返しが快よく、誘眠、リラクセーションなどに大きな効果がある。   

 

 体感音響研究所 小松 明   イラスト 藤井敏明    

 

メンタルバイブレーションの効果 イラスト・藤井敏明   

      ↑ メンタルバイブレーション【砕波】を体感中のイメージイラスト


メンタルバイブレーション機能を搭載した
ボディソニック・プラス1

はじめに

 ボディソニック(体感音響装置)で、音楽を用いる代りに、鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号を、電子的に合成して駆動すると、非常に高い効果が得られることを見いだした。単調で比較的ゆっくりした繰返しが快よく「感性のバイブレーション」「心のバイブレーション」として、誘眠、リラクセーションなどに大きな効果が得られる1)。これを「メンタルバイブレーション(感性振動)」と呼ぶことにする。
 メンタルバイブレーション(感性振動)の信号波形は、自分の鼓動や呼吸を忘れてしまうような非常にゆっくりした周期の場合、リラクセーションや誘眠の効果が大きい。また信号波形の周期を早くし、自分の呼吸や鼓動を意識するようになると、落ち着かなくなったり緊迫感を与える効果がある。この中間的な周期を持つ信号波は、快活、快適などの心理的効果をもたらす性質があることなどの興味深い作用効果も見いだしてきた2-3)
 また、体感振動が、心地よさ、深い恍惚感や陶酔感をもたらす効果が特に高い周波数帯域は、凡そ25Hz〜50Hzであることも見いだした。

1.メンタルバイブレーション (感性振動波形4)

 ボディソニックで音楽を用いる代りに、鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号を、電子回路で合成して駆動すると、非常に高い効果が得られる。これは膨大な 試作・実験、試聴・体感、考察、の繰り返しの中から見出した経験知に基づく知見である。

1.1 胎児の鼓動と母親の鼓動の相互関係

 胎児が何時も聞き、感じている最も主要なものは母親のリズミカルな鼓動であろう。一方、鼓動は胎児にもある。胎児の鼓動は母親の鼓動に比べると早い。このことは胎児から見れば、母親の鼓動は大変ゆっくりしたものとして感じられる。自分(胎児)の鼓動よりゆっくりしていて安定している母親の鼓動は、自分(胎児)の鼓動を忘れさせ安心感をもたらしている。特に、母親が安心して眠っているときの母親の鼓動は最もゆっくりした穏やかなものであり、この効果も最も大きく、胎児も安心して眠っていることだろう。
 しかし母親に危険が迫って不安を感じたり驚いたりして、鼓動が激しくなり早くなると、自分(胎児)の鼓動に周期が近付いてきて自分(胎児)の鼓動を意識するようになる。これは胎児にとって危険が迫っていることを意味する。
 こうした胎児期の記憶は成人しても意識下に残っていて、心臓の音などをスピーカによって聞かされると、息苦しさを感じたり、不安を感じたりする場合が多い。それは、他人の鼓動も自分の鼓動も、同じ程度の早さであり、胎児期の状態でいえば母親の鼓動が早くなり危険が迫った状態に相当するからであろう。
 これは成人すれば自分の鼓動は胎児期に比べ遥かに遅くなるので、胎内にいた状態にするには、鼓動の相対速度を遅く換算する必要があり、リラクセーションを得ようとすれば、現実の母親の鼓動の周期より遥かにゆっくりしたもが必要である。

1.2 メンタルバイブレーションの信号波形の種類

 いろいろな波形と効果の研究が進むにつれて、多くの実験と経験の中から、次ぎのような振動心理的効果のあることが分かってきた。
 
  @メンタルバイブレーション用の波形は、自分の鼓動や呼吸を忘れてしまうような非常に
    ゆっくりした周期の場合、リラクセーションや誘眠の効果が大きい。
  A信号波形の周期を早くし、自分の呼吸や鼓動を意識するようになると、落ち着かなく
    なったり、緊迫感を与える効果がある。
  B上記の中間的な周期を持つ信号波は、快活、快適などの心理的効果をもたらす性質
    がある。
 
 この効果は、先に述べた胎児の鼓動と母親の鼓動の関係と、同じ様な関係であることが分かる。こうしたことから意識下にある胎児期の記憶が、リラクセーション効果を与えたり、緊迫感を与えたりするのだと考えられる。また、このことは振動音響療法4)に於ける低周波音の脈動とも関連することだと思える。
 いろいろな波形と効果の研究が進むにつれて、リラクセーションや誘眠だけでなく、快活な気分の信号や、目覚まし、非常警報など、目を覚まし緊迫感を与える信号も開発された。表1〜3に、さまざまなメンタルバイブレーション信号波形の特長と効果を示す。
 メンタルバイブレーションを搭載した機種として ボディソニック・プラス1 などがある。

  

 機器搭載用 メンタルバイブレーション用アンプ  表1〜3 の感性振動波形を内蔵し、リモコンで操作できる

 

表1 〜 表3 メンタルバイブレーションの信号波形名と効果

表1 ゆっくりした周期のリラクセーションなどに適した信号波

 

波形名

波形の特徴・特性

波形の及ぼす効果と使用法など

二 鐘

二つの梵鐘が、ゆっくりと交互に鳴る様な波

心の疲れを癒し鎮める。リラクセーション、誘眠など。ストレス緩和の効果がある。

唸 鐘

唸りのある梵鐘がゆっくりと鳴る感じの波

心地よい心理的生理的刺激。リラクセーション。

交互波

うねるように揉みほぐすように穏やかに揺らぐ波

穏やかな心地よい心理的生理的刺激。誘眠、リラクセーションなど。疲れを癒し、心と体を揉みほぐすような効果。

砕 波
(サイハ 1)

浜に押し寄せ波が砕けるように高まりと解放をゆっくりと繰り返す

穏やかに緊張感を緩和する、リラクセーション。適度な緊張感のある波。(緊張感を緩和するには適度な緊張感のある波を体感した後、刺激の少ない波を体感すると効果が上がる)

泡 波
(サイハ 2)

泡立つ波がゆっくりとうねるように繰り返す

疲れを癒す、リラクセーション。泡立ちながら、ゆっくりとうねる波が、疲れを揉みほぐす。

緊 虚

緊張と虚脱。緊張感が最高潮に達したとき、突然空中になげ出されたような浮遊感と虚脱感が全身を浸す。

素晴らしく劇的な心理的生理的効果がある。心理的生理的刺激は大きい波。(心身の強い緊張感を緩和するには、まず刺激の大きい波を体感し順次、刺激の穏やかな波を体感すると効果的である。この波は刺激が大きい分、好みも分かれる)

揺 波

ゆっくりと穏やかに揺らぐ波

心と身体の鎮静。誘眠、リラクセーションなど。最も心理的刺激が穏やかで少ない波。誘眠、リラクセーションの仕上げに体感すると、高い効果が得られる。

 

 「揺波」「二鐘」「砕波」などの信号波は、自分の鼓動や呼吸を忘れるような非常にゆっくりした周期を持っている。母親が安心して眠っているときの最もゆっくりした穏やかな鼓動に相当するものであり、意識下に残る胎児期の記憶からリラクセーションや誘眠の効果がある。
 また、1/f ゆらぎ特性を持つとともに0.04〜0.06Hzに線スペクトルが現れるような構成になっている。このため全体的な感じは、1/f2 揺らぎに近い単調な印象を与え、弛緩を生じ、安堵と休眠に導く様な作用をもたらす。


表2 快適な速度の周期性を持つ、心身の活性化に適した信号波波形名

 

波形名

波形の特徴・特性

波形の及ぼす効果と使用法など

二 鐘
 チャイム

高→低、低→高の二種類の振動チャイムが周期的に繰り返される

快活な感じをもたらす適度な刺激感。

メロディ 
 チャイム

メロディとリズムを持った振動のチャイム

変化に富んだ、振動感と心理的効果。快活な感じをもたらす適度な刺激感。

鐘 風

適度な早さの周期性を持った快適な振動波(鐘のようで鐘とは違う…?)

さわやかな風が吹いたような、一服の清涼剤にも似た、爽快な気分や、快活な気分を誘う効果。気分を活性、快活にする。仕上げに体感すると高い効果が得られる。

交 断

交互断続波。高い音と低い音の振動波が、交互に断続する

疲れた体を揉みほぐすような生理的に心地よい刺激感が得られる。心身を活性化する効果。

揺交断

周期に揺らぎのある交互断続波

1/f ゆらぎとは少し違うかな?。不思議な刺激感が心地よく、心身を活性化させる効果。

 

 二鐘チャイム、鐘風などの信号波は、“表2 ゆっくりした周期のリラクセーションなどに適した信号波”と“表3 速い周期を持ち緊迫感をもたらす、目覚ましや非常警報に適した信号波”の中間的な周期を持つ信号波で、快活、快適、覚醒状態で精神の安定が得られる状態などの、心理的効果をもたらす性質がある。
 以上の表2と表3の信号波を機能的に組み合せた「オートモード」により、「誘眠」「リラクセーション」「心身の活性化」など、より高い効果を得ることもできる。

 

      

表3 速い周期を持ち 緊迫感をもたらす、目覚ましや 非常警報 に適した信号波

 

波形名 波形の特徴・特性 波形の及ぼす効果と使用法など
目覚し
 ソフト
全体的にソフトでこころよい目覚し信号 はじめは、ソフトに静かにゆっくりと…、最後は「鐘風」で心地よく心身を活性化させる。
目覚し
 ハード
目覚めの悪い人でも必ず目が覚める はじめはソフトに、それでも起きないとガンガンやる。最後は快活になる振動で仕上げ。
非 常 1 心理的に緊迫感を与える少しザラザラした感じの特徴ある振動波 非常信号でもはじめはソフトに、そして速やかに強い振動になって非常を知らせる(非常でも、いきなりビックリさせない配慮がなされている)。
非 常 2
 (緊急)
心理的に緊迫感を与える速い周期の振動波 はじめはソフトに、そして速やかに強くて速い周期の緊迫感を与える振動に。
 (非常でもいきなりビックリさせない配慮がなされている)。

 

目覚し の信号波は、周期が早くなり、自分の鼓動や呼吸を意識する。このため意識下に残る胎児期の記憶から、落ち着かなくなるような心理的効果がある。
 また、1/f ゆらぎ特性を持ちながら 5Hz付近に線スペクトルが現れる様な構成になっている。このため全体的な感じは、1/f0 ゆらぎに少し近い様な感じの、やや刺激の強いものとなり目覚しに適した効果を持つ。

 

非常 の信号波は、自分の鼓動や呼吸を意識する様な早い周期と激しさが有り、意識下に残る胎児期の記憶から、危険が迫っていることを察知する心理的効果を及ぼす。
 また、1/f ゆらぎ特性を持ちながら1Hzと5Hz付近に線スペクトルが現れる様な構成になっている。このため、全体的な感じは、1/f0 ゆらぎに近い様な感じを与え 目覚し よりも更に刺激の強い緊迫感を与えて目覚めさせ、非常事態を知らせる。


     【注】以上の表2 〜 表4 のメンタルバイブレーション(感性振動)波形は筆者が著作権を所有する。

2.メンタルバイブレーションの応用例

2.1 聴覚障害者への応用 「聾学校宿舎用の非常放送システム

 聾学校の宿舎に、このメンタルバイブレーションを応用し、耳の聞こえない生徒達に、火災などの「非常」を知らせるシステムが導入され、よろこばれている(聾学校では普通の非常放送設備だけでは聴覚に障害があるので役にたたない)。
 このシステムには「非常」だけでなく、日常的な「起床」の他に「食事」「学習」「点呼」「風呂」「就寝」などの信号も搭載されている(体感振動は生徒の部屋のベッドに設置されているボディソニック・ベッドパットによって伝達される)。


聾学校宿舎用に設置されているボディソニック・ベッドパッド。これに「非常」「起床」などの信号が送られる。

      

         入口から見た宿舎室内           「非常」「起床」などの信号送出システム

2.2 健常者用 快眠快醒・非常システム

 このシステムは聴覚障害者だけでなく、健常者にとっても有用である。リラクセーション、誘眠などの信号で快く眠りにつき、起床信号とボディソニックによって快い目覚めの音楽とともに起きる。更に非常信号によって火災、防犯などにもそなえる。
 従来、ベッドは快く眠ることには意が注がれていたが、快醒、非常までは手がまわらなかった。こうしたことを考慮した快眠、快醒、非常システムが出来始めている。

2.3 メンタルバイブレーションの音楽療法への応用

 音楽は好き嫌いがある。音楽を聴くことを好まない人もいる。こうした人達に対してメンタルバイブレーションは音楽療法と同じ様に、リラクセーション、ペインコントロールなどの効果をもたらすことが出来る。
 こうしたことから成分献血、人工透析、末期医療領域などでメンタルバイブレーションが応用されている。


メンタルバイブレーションが搭載され、音楽療法に使用されている 医療用ボディソニック・ベッドパッドシステム

 音楽は好き嫌いがある。音楽を聴くことを好まない人もいる。こうした人達に対してメンタルバイブレーションは音楽療法と同じ様に、リラクセーション、ペインコントロールなどの効果をもたらすことが可能である。

3.メンタルバイブレーションから振動音楽へ

 筆者は、体感振動の研究と経験の中から得た「聴覚振動心理・生理とその効果」を応用すると、体感振動によって、音楽とは異なるが、ある意味で音楽のような表現の可能性があることを見出してきた。こうして新たな表現の可能性を求めて、体感振動を必須の要素とする「振動音楽 Vibromusic = Vibsic ヴァイジック」を提唱するに至った。
 メンタルバイブレーションや振動音楽5) が持つ、もう1つの重要性は、聴覚障害者もこれを等しく享受できる可能性が存在することである。

 

 メンタルバイブレーションを使用していると、次々と新たなメンタルバイブレーション波形の必要を感じてくる。それは古来、次々と新たな音楽の作品が作り続けられている事実にも似ているのだろう。
 メンタルバイブレーションによつていろいろな心理的生理的効果を得られることが分かり、これをさらに押し進めていくと、振動音楽に行き着く。信号波の周波数、エンベロープ、周期、リズムなどをさらに効果的に組み合せていくと体感振動によって、音楽にも似た表現力の可能性が開けてきた。こうした新たな振動波形の作品を作り利用するためには、特殊な発信回路によって実現するメンタルバイブレーションでは対応しきれない。
 音楽などと同じように作品としてソフト化し、内容も一層高度なものとして、CDなどのメディアにより、あるいはディジタルデータとして供給される振動音楽へと発展させる必要があるだろう。振動音楽については下記のファイルを参照されたい。

     振動音楽 体感音響振動による新しい音楽の概念   聴覚障害者からの感銘深い手紙

おわりに

 ヒトは大脳が発達し知能が高聴覚も発達している。「音」を有効な情報の伝達手段として、言語を発達させた。また、音による美的表現芸術として音楽をも発達させた。
 このため、20〜20000Hzの可聴周波数帯域の信号を「音」として扱うことが当然のようになっている。音と振動は密接な関係にあるが、振動については見落とされている。しかし、無意識のうちにも体感振動からは非常に多くの影響を受けており、リラクセーション、誘眠、性感、恍惚感、陶酔感、危険の察知などなど、体感振動はヒトの根源的なものに働きかける。それは エンターテイメント、療法、セキュリティ などなど迄にも及ぶ可能性を秘めている。

参考文献

1)小松 明:ボディソニック・システム
  日本バイオミュージック研究会誌 1988 Vol.2, P76-82
2)小松 明:体感音響振動の効果メカニズム試論  −ボディソニックによる音楽療法の
  効果は何故起こるのか− 日本バイオミュージック学会誌 1992, Vol.7, P28-36
3)小松 明:音・音楽・振動と眠り −情報を持つ体感音響振動の誘眠効果考察試論−
  「睡眠と環境」日本睡眠環境学会誌 第3巻、第1号 1995.12, P108-116
4)小松 明:感性振動装置 特許公報 平6-18599
5)
Tony Wigram, Chryl Dileo(編著)、小松 明(訳著):振動音響療法 第2章 振動音楽と感性振動
   人間と歴史社刊 2003. 3,  P290-308


ページの先頭に戻る ページの先頭に戻る      

 



Copyright (C) 2003-2018 Bodysonic Laboratory, All rights reserved.