体感音響研究所


日本における
音楽振動の利用状況








ボディソニックの技術開発
ボディソニックの研究


         

  bodysonic laboratory



 日本における音楽振動の利用状況  序 章  第1章  第2章  第3章  第4章


序章 振動音響療法 Vibroacoustic therapy について 

欧米で行なわれている Vibroacoustic therapy の紹介  

 

体感音響研究所 小松 明   

 


 序章で、まず 欧米で行なわれている“振動音響療法 Vibroacoustic therapy”を紹介し、欧米における音楽振動の位置付け、視点を示す。その視点をふまえて、第1章〜第4章まで、日本における音楽振動利用状況を概観する。それによって、世界の中での 「日本における音楽振動の利用状況」 の位置付けの検討を試みた。


はじめに

 音楽が病む人の心を癒すことは古くから知られており、音楽療法の歴史は、音楽を「魂の薬」と考えた古代エジプト時代まで遡る。また、ダビデの奏でるハープの調べが、ユダヤ王・サウルの精神の錯乱を治したことが旧約聖書に記されている。これらは音楽の心理的効果を示すものであろう。古代、中世、近世と各時代にわたって、音楽がさまざまな病を癒した記述は数多い。
 音楽療法には、心理学的、行動科学的、生理学的側面などがあるが、今日の音楽療法の主流は、行動科学に基づく行動療法的側面に最も重点が置かれているように見える。

 ルネッサンス期の音楽療法の記録によれば、坐骨神経痛の患者の患部の上でアウロスを演奏させ、直接患部に曲の振動を与えて疼痛を軽減させる治療が行われたという。これは音楽の振動が生理的効果を及ぼすことを示している。
 今日、音楽の振動が痛みを和らげる効果は、ボディソニック(体感音響装置)による臨床例がみられる。これから述べる振動音響療法・Vibroacoustic therapy も、音・音楽の振動の生理的効果に重点が置かれている療法である。
 この章では、欧米で行なわれている振動音響療法・Vibroacoustic therapy を紹介する。そして、欧米における音楽振動の位置付け、視点を示す。その視点をふまえて、第1章〜第4章で、日本における音楽振動利用状況を概観し、世界の中での「日本における音楽振動の利用状況」の位置付けの資料としたい。

1.振動音響療法 Vibroacoustic Therapy

 音楽療法士と医師は、さまざまな疾患に対する治療としての音楽の応用を、過去半世紀にわたって進めてきた。振動音響療法・Vibroacoustic therapy(VA療法)は、こうした、治療として音楽の適用を進める流れの中から生まれてきたもので、振動音響療法では音、振動の生理的効果に重点が置かれている。
 振動音響療法の開発に関わる主要な1人に、ノルウェーの教育家、療法家Olav Skille博士がいる。彼はノルウェーの教育施設で重度の身体的、知的障害を持つ子供たちを対象に仕事をしていた際、バッグチェアに取り付けた大きなスピーカを通じて再生される音楽の使用を進めはじめた。子供たちは、高い筋緊張と、それによって引きおこされる痙攣(痛みを伴う不快なもの)による大きな困難を抱えており、日常生活に支障をきたしていた。Olav Skille博士は、子供たちが横たわるバッグチェアを介して伝わる音の振動が、筋緊張を和らげ、子供たちをリラックスさせるために役立たせる為の研究を行った。

 さまざまな音楽で実験を行った上でOlav Skille博士は、低い周波数と、ゆっくりとしてリラックスさせる音楽が、重度の身体的、知的障害を持つ子供たちをリラックスさせることに効果があると考えた。
 このような実験結果に基づき、彼は「ミュージックバス」と名付けたユニットを製作した。「ミュージックバス」としたのは、被験者を音に浸しているように感じたからである。
 この研究と、他の理学療法士、教師、看護師の仕事を通じて集めた事例報告から、彼は、子供たちをリラックスさせるのに“ミュージックバス”が、かなり成功していることを見出した。音楽に含まれる低周波が大きな効果を持つと想定し、リラックスさせる音楽に重ねて、テープに録音した脈動する低周波音の要素を採り入れた。脈動とは低周波音が徐々に大きくなり徐々に小さくなるのを繰り返すことである。
 Olav Skille博士は1982年、International Society for Music and Medicine(音楽と医学国際学会)の第1回シンポジウムで、振動音響療法の原則と方法を規定するとともに、それらに関する説明を行った。彼は、振動音響療法の手法を「30〜120Hzの正弦波の低周波音圧を、治療目的に使用する音楽に、混ぜて使用すること」とした。振動と音楽の要素を取り入れた為、Olav Skille博士は当初「低周波音マッサージ」と定義した。しかしその後、彼はそれを、振動音響療法・Vibroacoustic Therapy、略して「VA療法」と呼ぶようになった。
 この治療的介入の基本的手順には、多くのスピーカが組み込まれたベッド、または椅子に患者を横たわらせることが含まれる。音は、音波を直接伝導するマットレスその他の媒体を通じて、身体に伝えられる。
 Olav Skille博士の研究は広がりを見せ、彼がVA療法に合うだろうと考えた他の疾患をも対象に含むようになった。彼は種々異なる問題に対処するうえで効果的であるような、さまざまなプログラムのテープ録音を進めていった。
 VA療法は、ヨーロッパの他の地域へも広がりを見せ始めるとともに、アメリカにおける時を同じくした発展に基づく、新らたな知識が明らかになっていった。

2.振動音響療法の専門書“MUSIC VIBRATION”

 1997年にはアメリカで“MUSIC VIBRATION”と題された音楽振動の治療の可能性、振動音響療法に関する、世界最初の専門書が出版された。編者で主執筆者でもあるTony Wigram, PhDはWFMT(世界音楽療法連盟)前会長であり、もう1人の編者で執筆者でもあるCheryl Dileo, PhDはWFMT元会長である。執筆陣にはヨーロッパ、アメリカの研究者、臨床家などが名を連ねている。
 日本ではこの本を筆者が翻訳し、2003年に“振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ (Tony Wigram, Cheryl Dileo編著、小松 明 訳)”として人間と歴史社から出版された。
 下記に“振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ”の目次を示す。

振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ

 序文

第1部 振動音響療法の基礎 1

 第1章 振動音響療法(Vibroacoustic therapy)の発展
     Tony Wigram
 第1章 音響学と普遍的な運動
     Miguel Fernandez
 第3章 音楽と医学の状況
     Cheryl Dileo
 第4章 振動音響療法の可能性ある応用例
     Olav Skille

第2部 研究、臨床・事例報告

 第5章 高い筋緊張と痙性を伴う複合障害者に対するVA療法の効果
       Tony Wigram
 第6章 高い筋緊張と痙性の複合障害患者への、音楽と運動に 基づく理学療法と比較した
     振動音響療法の効果
       Tony Wigram
 第7章 健常被験者の振動音響療法に対する気分と生理的反応の測定
       Tony Wigram
 第8章 55歳以上の人工膝関節患者を対象にした、理学療法中の疼痛軽減のための
     Physioacoustic 療法の使用
       Martha Burke, Kathy Thomas
 第9章 術後婦人科患者の疼痛管理に対する Physioacoustic による介入の効果
       Martha Burke
 第10章 特発性パーキンソン病への振動音響の利用
      Patxi del Campo San Vincente,  Inaki Fernandez de Manchola.,
      Esperanza Torres Serna
 第11章 振動音響(VA)療法の中で、刺激として用いられる脈動正弦波低周波音の振幅変調の効果
      Tony Wigram
 第12章 障害をもつ自閉症青年の振動音響療法
      Jan Persoons. Jos De Backer
 第13章 レット症候群の治療における振動音響療法
      Tony Wigram
 第14章 重度学習障害をもつ成人患者の振動音響療法
      Tony Wigram,  Jenny McNaught,  June Cain & Lyn Weekes
 第15章 学習障害のあるクライエントの、不安の問題に関する治療への SOMATRON の使用
      Jeff Hooper. Bill Lindsay
 第16章 気管支肺異形成未熟児のストレス反応に対する聴覚と振動刺激の比較
      Martha Burke, Jenny Walsh, Jerri Oehler, Jeanine Gingras
 第17章 入院小児に対する振動音響
      Laura Jones
 第18章 心臓外科患者に対するPhysioacoustic(体感振動)療法
      Charles Butler, Penelope Johnson Butler
 第19章 振動音響療法における2つの事例研究
      Olav Skille
 第20章 Physioacoustic(体感振動)メソッド
      Petri Lehikoinen
 第21章 一般医学領域における振動音響療法
      Riina Raudsik

第3部 臨床および専門家としての問題

 第22章 臨床と倫理の検討
     Tony Wigram, Cheryl Dileo
 第23章 振動音響療法のための音楽制作
      Olav Skille
 第24章 振動音響療法と体感振動療法用の装置
      Tony Wigram
     ●Somasonics
     ●Vibroacoustics A/S
     ●Physioacoustic(振動変換器により振動を発生する体感振動方式)
     ●Music Vibration Table
     ●Quantum Rest
     ●ボディソニック(振動変換器により振動を発生する体感振動方式)
     ●Thor of Genesis

日本における音楽振動の利用状況 小松 明

 第 I 章 体感音響装置による受容的音楽療法
 第 II章 振動音楽と感性振動
     −振動音楽(Vibromusic)は、ボディソニックによる受容的音楽療法や、
             リラクセーションなどで最大の効果を発揮することができる−
 第III章 ボディソニックの振動と低周波振動公害との相違について
     −情報を持つ体感音響振動の有用性についての概念を体系的に捉えるための考察試論−
 
 執筆者
 参考文献
 索 引
 訳者あとがき

3.振動音響療法の適用領域

 この項から以降の記述では、適宜、上記した振動音響療法の“目次”を参照されたい。
 手元にある98年の資料によれば、振動音響療法が有効なものとして、腹痛、喘息、失語症、自閉症、褥瘡、脳卒中、脳性麻痺、循環系の問題、疝痛、昏睡、衰弱、嚢胞性線維症、糖尿病、月経困難、気腫、筋痛症、二日酔い、頭痛、不眠症、背痛、腰痛、生理痛、偏頭痛、ベヒテレフ病、筋痙攣、肩こり、便秘、パーキンソン病、関節炎、術後のケア、生理前の緊張・不安、レット症候群、リューマチ、スポーツ傷害、ストレスなどがあげられている。
 第22章で“振動音響療法は音楽療法か?”との設問があるが、音楽療法の定義から厳密にいうと難しい要素をもつが、大雑把にいえば受容的音楽療法の一種と見ることもできるだろう。音楽療法の適用領域は、主として 障害児、高齢者、精神科 などの領域であるが、音楽療法の適用領域という視点から見れば、上記の振動音響療法が有効な疾患・症状は、その範囲が医学領域に大幅に拡がっており、振動音響療法が生理的効果の高いことを物語っている。
 わが国では、この領域は “ボディソニックを利用した受容的音楽療法”として捉えられているが、その研究・臨床報告は、心療内科領域、老年医学領域、末期医療領域、人工透析、成分献血、外科領域、ストーマ、歯科、産科 など、医学の広い分野に及んでいる。これは振動音響療法の場合と同じく、医学の広い領域にわたるもので、生理的効果の高いことを示している。

 音楽療法について考えるとき、音楽の心理学的、行動科学的な面ばかりでなく、音楽や音を、振動の面からも捉えることにより、音楽療法のブレークスルーを見出す方法の1つを示唆しているように見える。音楽というある意味ではとらえどころのないものを扱う音楽療法は、それを科学的にすることの困難性を痛感することが多い。音楽や音を振動の面から捉えると、それをサイエンスの土俵に乗せる糸口の1つが見出せる可能性を感じさせる。
 筆者はこの視点に立って酒類の発酵・熟成に音楽振動の応用を試み、興味深い結果を得ている。

4.経済性、合理性を満たすほどの効果

 第2部の研究、臨床・事例報告には、こうした興味深い報告が多数見られる。療法としての効果のみならず、経済性、合理性の面から振動音響療法、体感振動療法の適用が検討されているものもあり、それは高い生理的効果があるからこそ可能なことなのであろう。
 第6章「高い筋緊張と痙性の複合障害患者への、音楽と運動に基づく理学療法と比較した振動音響療法の効果」では“脳性麻痺を伴う小児と成人に対する治療では、理学療法が効果的介入であるとされるが、このような治療は非常に労働集約的である。さらに、筋肉活動と関節の運動の双方での、運動の不足と拘縮の増大の結果生ずる、固定した屈曲変形の発現を防ぐためには、患者は毎日1回ないし2回のセッションを必要とする。現在このような治療を利用できる財源は、週1回ないし2回以上のセッションを行うことが可能とするものは希れである”として、経済性、合理性の面からも振動音響療法の適用を研究している。
 第18章「心臓外科患者に対するPhysioacoustic(体感振動)療法」では“治療のコストと質という相矛盾する問題が、現代のヘルスケアの実践にはつきまとっている。政府は年々厳しさを増す国家予算に直面している。来世紀に向けて、成功する臨床家とは、治癒を速め、病気に掛かるコストを減らすような新しい技術を応用することができる者となるであろう”とした上で、“我々はより作用時間の短かい麻酔薬へ切り換えることができた。鎮痛および鎮静薬の使用が減少し、患者はより早期に可動化された。人工呼吸器を使用する時間の平均は17時間から7時間へと減少した。心臓外科手術室の滞在時間は平均36時間から18時間へと減少した。入院日数は、平均9日から5日へと減少した。これら全てが、我々の病院の心臓手術患者に関する経費の削減を素晴らしく促進した”と、Physioacoustic(体感振動)療法の注目すべき効果を報告している。

5.振動音響療法用の装置

 第24章の「振動音響療法と体感振動療法用の装置」では、欧米の機器と並んで、日本の「ボディソニック」もとり挙げられている。書き出しの部分を引用すると「ボディソニック(Bodysonic)は日本で開発されたシステムである。椅子、ベッドパット、さらにはパネル、および低衝撃フロアシステムを含めた、数多くの製品が製造されている。健康に加えて、この技術の応用範囲は、リラクセーション、コミュニケーション、エンターテイメントを含めた非常に幅の広いものである………」などと紹介されている。

 第24章にあげられている振動音響用機器では、Somasonics、Vibroacoustics A/S、Music Vibration Table、Quantum Rest、Thor of Genesisが低音振動発生要素としてスピーカを使用している。
 それらの1例として1998年の資料によるThor of Genesis社のベッド型とチェア型の例を写真に示す。ベッドの下側には低音振動発生用の大型スピーカユニットが4個付けられており、上部にも4個のスピーカボックスが取り付けられているのが見える。チェアは上部に2個のスピーカボックスが取り付けられているのが見えるが、低音振動用発生用の大型スピーカユニットは写真では見えない。
  

       Thor of Genesis の 装置  左がベッド、     右がチェア。

 

 ボディソニックは振動発生要素として、振動トランスデューサ(電気−機械振動変換器)を使用している。振動トランスデューサを使用している ボディソニックの例を写真に示す。左下のベッドパッド型のボディソニックは、ベッドパッドの中に小形の振動トランスデューサが多数埋め込まれており、これをベッドのマットレスの上に敷くだけで、ベッドがボディソニックになる。人工透析、外科領域の術前術後、末期医療など、さまざまな領域で利用されている。右はカプセルチェアのボディソニック・リフレッシュ1。
 

    ベッドパッドタイプの医療用・ボディソニック      ボディソニック・リフレッシュ1

 

 最近の傾向としては、低音振動発生用のスピーカは、振動発生用に特化した特殊構造のスピーカ、もしくは振動トランスデューサを使用するものに移行が進んでいるようである。通常の低音用スピーカを使用するよりは、振動トランスデューサを使用する方が機器をコンパクトに作れるし、振動エネルギーの使用効率が高く、従って振動音の漏れが少なくなるなどの利点があるためである。

6.欧米研究者のポテンシャリティ

 振動音響療法における体感振動の発生はスピーカによっている。スピーカで音楽によって十分な体感振動の発生を得ようとすると、実用的ではないような過大な音量となってしまう問題が起こる。fc130Hz位の低域通過フィルタによって低音域のみを取り出し振動発生することによりこの問題はある程度軽減されるが、130Hz前後の周波数の音が耳につきやすく、オーディオ全体としての周波数特性バランスを著しく崩してしまう問題が起こる。
 こうしたハードウエア上の欠点を克服する手段として“正弦波の低周波音圧を、治療目的に使用する音楽に混ぜて使用する”方法を見いだした。低周波音と音楽との違和感を緩和したり、効果を高めるために低周波音を脈動化する方法も見いだした。
 特定の症状に対し特定の周波数の低周波音を使用することによる、高い治療効果を見いだしていった。ハードウエアの欠点を逆手にとり、特定の症状と特定の周波数の関係を研究したことにより振動音響療法を完成させた。これらのことは第1章に記されている。
 音楽とは異質な低周波音と音楽の融合を図る振動音響療法用音楽の制作方法が第23章に書かれている。第22章には、治療方法の指針、手順、禁忌リストも示されている。副作用のひとつとして吐き気についてふれられている。そして振動音響療法を行う者の資格制度さえも視野に入れている。
 筆者は、こうしたOlav Skille博士、Tony Wigram博士ら、欧米の研究者たちのポテンシャリティの高さと、システマチックなものの考え方に圧倒され、打ちのめさるような強い衝撃を受けた。

7.わが国の場合は

 一方、わが国のボディソニックは、高性能な動電形のトランスデューサ(電気−機械振動変換器)の使用と適切な振動分布、高度な信号処理技術によって、音楽のみで効果的な体感振動を発生可能な性能を有している。この為、音楽とは異質な低周波音を混ぜる必要がなかった。音楽の多様な周波数成分による振動と、吐き気などを催すことのない適切な振動分布によって、通常の音楽聴取と同じように、任意の時間聴取することが可能である。
 音楽振動は、音楽の旋律、リズム、和声、ダイナミックスなどの音楽の情報を持っており、音楽の1/fゆらぎによる快い体感振動である。ゆらぎ波による自然感、快さが、音楽による体感振動を伴った音が音楽の印象を強め、音楽の感動や陶酔感を深める。
 こうした効果による音楽の癒しが、医療のさまざまな場面における心身の不安や苦痛の緩和に役立ち、症状の改善にも良い効果をもたらしている。こうしたことが、わが国では、振動音響療法、体感振動療法とは言わずに“ボディソニックによる受容的音楽療法”と捉えられている理由でもあると考えられる。

 技術の立場から言えば、体感振動の効果は感覚的にどの周波数が効果的(快い、心地よい)であると感じるかは、ハードウエアの振動特性に大きく左右されることを筆者は多くの研究・実験の中で経験してきた。結論的にいえば低域再生特性の性能向上とともにその周波数は下がってきている。最近の特性の良くなった装置を使用すると、30Hz付近の周波数帯を心地よいとする者が多い。

 ハードウエアであるボディソニックの開発はわが国の方が早かったと思うが、音楽振動の音楽療法的な利用は欧米の方が1歩先行した。そして欧米と日本では歴史的に全く別の道を辿ってきたにも拘わらず、欧米と日本でほぼ同じ時期に医学領域での適用が行なわれ、リラクセーション効果が高いこと、生理的効果が高いことなど、共通することが多いことに深い興味を覚える。
 今後わが国は、今までの研究に加え、振動音響療法の「特定の症状に特定の周波数を使用する」要素を採り入れ、海外との研究交流を深めていくことが望まれる。“振動音響療法”の出版が、その契機になることを願うものである。

おわりに

 振動音響療法(Vibroacoustic therapy)についての紹介を試みたが、この短いリポートで振動音響療法について記述することは不可能である。詳細は、人間と歴史社刊 “振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ”(Tony Wigram, Cheryl Dileo編著、小松 明 訳)を参照されたい。

謝 辞

 この章をまとめるにあたっては、人間と歴史社代表・佐々木久夫氏のご厚意により「振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ」の本から、その一部分を引用させて頂くことが出来た。深くお礼申し上げる。

参考文献

1)Tony Wigram, Cheryl Dileo(編著)、小松 明(訳著):
   振動音響療法 音楽療法への医用工学的アプローチ   人間と歴史社 刊 2003, 3, 31


 

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