主催:市民政策バンド
1999年12月2日(木)、横浜市港北区の大倉山公園内にある大倉山記念館を舞台に、フリージャーナリストの戸田智弘氏(注)を迎えて、氏の著作『50歳からの「脱ニッポン」読本』(双葉社)を中心に1時間ほど話をしていただき、そのあとフロアからとディスカッションを行ないました。
(注)戸田智弘(とだともひろ) 1960年、愛知県名古屋市生まれ。北海道大学工学部を卒業。非鉄金属メーカー勤務のあと、法政大学社会学部の3年に編入学する。卒業後、NPOや出版社を経て、フリーのルポライターとなる。
「もう決めていますか、自分流の生き方」
日本はいま、システム疲労を引き起こし、私たちのさまざまな面において悪影響を及ぼしています。そうしたなかで、閉塞状況の日本を飛び出し、豊かな生きがいを求めて「海外暮らし」を実践している人たちがいます。
とりわけ定年後の「第二の人生」として「海外暮らし」を考える中高年の人たちが増えています。年金の支給額が減り、医療費の負担も増えるとあって、日本の老後は寒々としている。そのような日本に絶望して「海外暮らし」を試みる人たちが近年増加しています。介護が必要な高齢者は、フィリピンなどの発展途上国にあるホームで老後を過ごすことを選択する人も増えています。受入国側としても外貨獲得や雇用機会の創出の意味から積極的に受け入れ政策を進めています。
そうした人たちは、1.お金、2.介護、3.生きがいを求めて海外へ飛び出す。しかし換言すれば、それらはいまの日本にはないものといえます。当日コメンテーターを務めた、すとう信彦・市民政策バンド代表が述べたように、日本は「嫌老の国」になってしまったといえます。つまり、高齢者を忌み嫌う社会に変容してしまった。高齢者が安心して老後を暮らせない国、そして次代を担う若者が未来に展望をもてない国、そのような国がいまの日本の姿です。この国を魅力のあるダイナミックな国にするには、どうすればよいのでしょうか。
市民政策バンドは、みなさんとともに、この国のかたちを考えていきたいと思っています。
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