愛のバレルロール



 sy-cは巻き舌が苦手です。だから「Roll」を「RRRRRRRooll」と発音できません。嫁はそんな私を小馬鹿にして、よく「走れジョリィ」の歌を歌います。「走れ〜ジョリィ〜、RRRRRRRRRR」ってやつです。「悔しければ歌ってみろ」ってわけです(笑)

 その一方で息子がアンパンマンのビデオを見てます。これにはロールパンナってのが出てくるのですが、こいつが戦うときの掛け声は皆巻き舌で「RRRRRRRooooLLLLLLL」です。得意げに巻き舌を連発しているこの正義の味方を見ているとチョークスリーパーで息の根を止めてやりたくなります(^^;



空戦機動としてのバレルロール

 さて、そんなロールの嫌いな私ですが、空戦ではバレルロールが好きで多用しています。いや、愛していると言っても過言ではありません(過言だって(^^;)

 スティックを斜めに引くだけという単純な入力だけで、かくもダイナミックな動きができるバレルロールは、空戦機動の才能がない私には最適の技と言えます。いや、ホント(笑)

 そういうわけでsy-cは突っ込む時からから逃げる時まで、とにかくよくバレルロールを使います。今回はそんなバレルロールの技術について書いてみたいと思います。



バレルロールの特徴

 バレルロールは少ない入力でダイナミックな動きができます。そして、その最大の特徴は、その機動によるエネルギーロスが少ないと言う事です。

 たとえば自分の飛行経路の軸線をちょっと左にずらすためには、通常は左にバンクしてちょっと旋回してから、バンクを右に切り替えして向きを修正します。2回バンクを切らなければならないので速度も落ちるし、うまくやらないと高度も落ちてしまいます。

 しかし、バレルロールをうまく使えば、上記の動作は左へのバレルロール一発で終了します。軸をずらす量はスティックの引き加減と倒し加減でいくらでも調整できます。そして、機体のエネルギーはほとんど失われません。

#本当にエネルギーロスが少ないかどうかは不明で、これは完全にsy-cの経験論です(^^;いや、もしかしたら単に「そんな気がする」だけかも知れません(笑)

 それからもう一つ大きな特徴としては、機体にかかるGを常に(だいたい)一定にしておけるということです。これは機体のストレスに優しく(WBでは関係ないですが)、また普通の機体はマイナスGには弱いので(これまたWBでは関係ないですね)、動作終了までGの方向を一定にしておけることが良いとされています。

 しかし何よりもGを一定にできることのメリットは射撃です。一定のGは一定の見越し角を維持できることを意味し、射撃の命中率を高めることができるのです。

 つまり、バレルロールとは非常に簡単な機動なのに、非常に応用性が高く強力な技であるということです。

#本当かなー(^^;



バレルロールの応用(ダイブ編)

 ごくごく基本的な使い方として、ダイブの入り際にバレルロールを使用する方法があります。

 通常スティックを押して機首を下げるだけですが、軽いバレルロールで背面の時間を長めに取れば機首は下を向きます。

 Spit1などで−Gによるキャブレターの息つきを無くす目的もありますが、最大の理由は単なる機首下げよりもエネルギー損失が少ないことです。

 以前drum氏のFw190に付いていったとき、同じ高度からダイブしたのに彼のFwの方が速度が出ていてどんどん引き離されることからこれを発見しました。



バレルロールの応用(真上に占位した場合編)

 私の戦い方ではまず相手の真上に占位することが多いです。完全に相手の真上を押さえたら今度は降って行って攻撃をしかけるわけですが、その入りにもバレルロールを使います。

 相手の真上に位置したときは意外と相手が見えにくいものです。そこで1/4バレルを打っていったん横に倒れます。すると羽根の先に敵が見えるので、そこからさらにバレルをうち、スパイラルダイブぎみに相手に降って行きます。このとき、エンジンを切ることも多いです。

#sy-cはスロットル絞るよりも単純にEキーでエンジン切っちゃうことの方が多いです。これは指がq,wとフラップにかかっているから近いということと、もう一つはMS-3DProのスロットルが使いにくいことに起因してます(^^;

 このやり方だと、

・Gをかけているので速度が出過ぎない
・一定のGをかけつづけているので見越し射撃がやりやすい
・ダイナミックな動きなので相手に読まれにくい

というメリットがあります。



バレルロールの応用(射撃の合わせ編)

 私の空戦スタイルでは見越し射撃を多用します。そして、見越し射撃を当てるためには、自機の進行方向と敵機の進行方向との角度(AOA: Angle Of Attack, ここでは機体の対気流角度ではなく、射撃の角度)を極力小さくする必要があります。これをうまく調整するのが「合わせ」の技術であり、機動で敵を圧倒することのできない格闘下手な私には必須の技術です(^^;

 例えば自分の目の前を横一文字に右から左へ通り過ぎて行く敵機があったとしましょう。敵の速度はそう速くありませんが、こちらは300mph以上出ています。

#私は図面を描く才能がないので、自分で紙に状況を書いていただけると理解しやすくなると思います(^^;

 まっすぐ飛んで射撃すると角度が90度になってしまうのでまず射撃は当たりません。それに多少速度が出過ぎており、まっすぐ行くと相手の目の前を通りすぎる可能性もあります。多少なりとも減速すれば当てやすくなりますが、敵の近くで速度は落としたくありません。

 こんなとき、速度を落とさず合わせるためには自機の機動を修正します。具体的には軽く右側に振ってやって、相手の真横ではなく、斜め後方から追いかける形にして射撃します。

 で、多くの場合、機体をいったん右に振って、それから左に切り返して射撃するのですが、切り返しの動作に時間がかかることと、エネルギーをロスしてしまうことが欠点です。特に切り返しの遅い機体だと合わせるどころかそのままあらぬ方向に通りすぎてしまう可能性もあります。

 で、この場合バレルロールを使うと一発ではまります。スティックをちょっと強めに引いて右へのバレルロールを打ちます。うまくロールできればちょうど3/4ロールをかけたあたりでちょうど相手の斜め後方につけることができます。そして、一定のGがかかっているので見越し射撃もやりやすいです。

 速度もほとんど失われないので、一撃した後はもう5/4ロールをかけてやれば元の方向にそのままトンズラできます。:-)

#私はこのような攻撃方法を「行きがけの駄賃ショット」と呼んでいます(^^;


 別にこのやり方だけに限りませんが、あらゆる状況で射撃のための姿勢作りにバレルロールは利用できます。うまくこれを使えれば一撃するときに「合わせ」が画期的に楽になるでしょう。



バレルロールの応用(HOの回避編)

 K/Dやstreakを狙っているとヘッドオンはあまりにもリスクが高く、怖くてできなくなります。こちらの火力が上まっていれば撃墜を取れる可能性は高いのですが、相手のまぐれ当たりショットが自分のコクピット直撃するかもしれません。そこまで行かなくてもVer.2.0から導入されたエンジンのダメージモデルの影響で、水冷エンジン機だと煙吹いただけでもう帰還は不可能になります。

#P51Dで敵基地上空奥深くまで進出して、まぐれ当たりのFrakにエンジンケムケムにされると、それだけでstreak途切れが確定して涙が出てきます(苦笑)

 それだけではありません。WBのMAの世界では相手は死を恐れるとは限りません。例えHOで衝突しても、衝突の瞬間まで20mmを乱射して来るかもしれません。

 さらにあなたは誰かの個人的な恨みを買われているかも知れません(^^; そんな場合は彼は例えぶつけても撃ってくる可能性があります。

#プレイスタイル批判ではなく、MAでは生き延びるためにはあらゆる事態を想定しなければならないということです。念のため。

 そんなわけでHOは危険です。しかし、戦いの途中で期せずしてHOの形になってしまうことがあります。そんな場合、私はバレルロールでこれを回避する傾向があります。

 この時のバレルロールは、スティックの引き入力を極力大きく取り、樽(バレル)の直径をなるべく大きく取るようにしています。ただのエルロンロールだとバラ撒かれた場合に数発食らってしまう可能性があります。まぐれ当たりを完全に防ぐのは不可能ですが、少しでも確率を減らすため大きなバレルを打ちます。

 うまくすり抜けることができたら、私はそのまま一目散にまっすぐ飛び去ります。バレルをうまくやればtuki先生の指摘する「ツバメ返し」のような状況に持って行けることもありますが、私は腕に自信がないので、自分の機体の機動力と燃料と回りの状況を見てから判断します(^^;

 まぁ大体まっすぐ逃げ去るのが一番安全です。相手の飛行機にとって、もっともエネルギーを失うのは来た方向に戻る(180度ターン)ことですから。



バレルロールの応用(直線離脱編)

 高速機に乗っているとき、一番安全な逃げ方は速度にものを言わせて直線離脱してしまうことです。しかし、こちらの速度がまだ乗っていないときに6時d5くらい(敵のFEにはd4程度に見えることが多い)に敵をつけてしまうと、速度がついて振り切れるまでのしばらくの間敵の攻撃を受けてしまうことがあります。しかし、それを回避するためにあまり派手なジンキングしたりシザースかけたりすると、かえって速度が落ちてしまうので、ここではバレルロールを使ってなるべく速度を落とさずに回避する方法を紹介します。

 普通のバレルロールではスティックを引くのですが、ここでは逆にスティックを軽く押してゆるやかにロールさせます。同時にスティックを倒した方向と逆にラダーも少し入れます。このようにすると普通のバレルロールとは逆方向にロールを打つことになります。

#ブルーエンジェルスとかのアクロバットで、ダイアモンドフォーメーションのままバレルを打つ編隊飛行を思い浮かべてください。その外側の機体は普通のバレルロールですが、内側の機体は逆バレルになっていることがわかると思います。

 ここではなるべく「ゆるやかに」ロールを打つのがポイントです。6時につけたパイロットはだいたい本能的に相手が動いていると、その機体の上の方向(+Gのかかる方向)に軽く見越しをして射撃をする傾向があります。機体がゆっくり動いて照準ができればなおさら本能でそこを狙ってしまいます。しかし、この起動では−Gの方向に機体が進むので、一見ほとんど動いていないのに弾がどんどんすり抜けて行く感じになります。

 だいたいこれからダイブして加速しようというときはトリムも低速側になっているので、スティック中立よりも少し押した方が速度がでます。照準の十字線をうまく利用して、なるべく一点に機首を向けたままの状態を維持してロールします。逆ラダーは進行方向を維持するのに入れます。するとエネルギー損失も少なく、相手が見越しを誤っているうちに速度が増して距離も開いてきます。

#この方法は見越し射撃の技術を持った中級者以上にのみ有効で、ひたすらばら撒く初心者には通用しません(^^;



バレルロールの応用(機動殺し狙い編)

 高速でロールが遅くなる機体(F6F,Ki84,Bf109Kなど)をdragしている場合、相手を海や地面に叩きつけることを狙う方法です。P51DやFw190などの高速でもロールが良く効く機体で有効な技です。

 まず、6につかれた敵をdragしたままダイブします。角度は30〜45度くらいが良いでしょう。あまり急激にダイブするのはよくありません。

 d6-8くらいで、相手にとって射撃が当てられそうで当てられないあたりを引っ張るのがコツです。遠すぎたら無理してこないし、近すぎたら撃たれてしまいます。

 ダイブをしながらゆるやかに逆Gバレルロールをうちます。これは相手の射撃をかわす目的と、相手をひきつける目的があります。6についたパイロットは射撃のため、相手の機体の傾きに自分の機体の傾きを合わせようとする習性があります。これを利用するわけです。

 ゆるやかなロールのため、相手もロールして合わせようとします。高速になってロールが遅くなりますが、こちらのロールが遅いため相手は気づきません。

 そして速度が十分出て(350mph以上)高度もかなり低くなってきたとき、機体の向きが上向きになったタイミングで突然ロールの速度を増します。それまでゆっくりロールしていたのを、スティックを思い切り倒して一気に地面の方に機体を引き起こします。つまり45度でダイブしていたら、135度引き起こして反対方向に進むわけです。

 うまく射撃できそうな位置に相手をひきつけていたなら、相手も追従しようとロールします。しかしロールが遅くなっているので引き起こしのタイミングがかなり遅れてしまいます。すると海や地面に激突してしまうわけです。

 仮に激突しなかったとしても、地面の近くで自分のロールを収拾させようとかなり混乱させることができます。そして相手が地面への激突を回避したとしても、飛んでいく先は自分の180度反対方向ですので、その後逃げるのに有利になります。

 特定の条件が揃わないと使えない技ですが、過去数例、これで機動殺しを取れたことがあります。うまく行くととてもうれしいです(^^;



バレルロールの応用(ブレークからの逆転狙い編)

 わりと格闘性能が良い機体で、ブレークからバレルロールを使って反撃する技です。

 高速な敵機に上空から6時に突っ込まれた場合、急激なブレークでまずこれを回避します。相手がすぐ上昇してエネルギー保存した場合はこちらとしては手も足も出ないのですが、突入時の速度が不充分だったり、こちらのブレークに少し追従しようとしてエネルギー消費した後あきらめたような場合、こちらに一瞬の逆転のチャンスが出てきます。

 ブレークから逆方向(例えば左にブレークしてたら、右方向)に強い大きなバレルロールを行います。背面時に相手の頭上にぶつけるようなつもりでバレルを入れると、360度ロールしたときはちょうど相手が通りすぎて、運が良ければD3〜4あたりに6時につけます。

 相手のほうが速度が速いので射撃チャンスは1秒くらいしかありません。それ以上無理してついて行こうとすると今度は逆に釣り天井食らってやられてしまいます。しかし、この1秒の間に有効弾を送りこめれば、相手を撃墜できないまでも与える心理的ショックは小さくありません。

 この技を成功させるには、一瞬で照準できる射撃能力と、なによりも相手との位置どりを完全に把握して思ったように機体を動かせる操縦能力が必要になります。

 私はP40に乗るときにこの技を使うことがあるのですが、はっきり言ってすげーヘタクソです(^^; 私なんかよりもこの技を華麗に使いこなす人はたくさんいるのですが、今まで私がやられた(この技を食らった)中では、言わずもがなのgarner氏、pigsのvila氏、それからHornet-JPのmosmaq氏などがうまいなぁと感心した記憶があります。



バレルロールの応用(Collision狙い編)

 ええと、わりかし邪道なCollsion狙い技です(^^; 敵に追っかけられてニッチもサッチも行かなくなったとき、最後の手段として相手にCollisionさせるのを狙います。MAの時間が早朝か夕暮れ時でないと使えません(爆笑)

 まず太陽(朝日または夕日)に逃げ込みます。なるべくまっすぐ飛んで、完全に太陽の中に隠れます。太陽と自機と相手が完全に一直線になるように心がけます。

 次にすかさずエンジンを切って、−Gのバレルロールをスティック最大入力で入れます。ラダーはフルラダーです。照準のクロスラインに注目し、どんなに激しい動きをしても決して太陽を外さないように注意します。このような機動をすると急激にエネルギーロスし、機速も急激に落ちます。可能であればフラップも足も出します。

 このようにすると相手は自分が減速していることに気づかず、いきなりCollして死んでくれることがあります(^^; もちろん相手が適当に射撃してきた場合はこちらも無傷では済みませんが....

#WBではネットワークディレイのため、相手が自分の後方にいる場合は、自分から見た相手の距離よりも、相手から見た自分への距離の方が近いということを利用した技です。また、WBではCollisionはFEで判定し、必ずしも両方死ぬわけではない(この場合こちらから見たらまだぶつかっていない)ことも利用しています。したがって、この技はWBでしか通用しません(^^;

 過去2例ほどこの技のおかげで命拾いしたことがあります。無駄なあがきはしてみるものです(^^;



考察

 うーん、まとめてみると、意外と6につかれた後の技が多いですね。「空戦論」で「6時につかれたらもう遅い」とか言ってる割には、もう逃げてばっかりですね(苦笑)

 ええ、やっぱり空戦は最後まであきらめてはいけません。危険な状態にならないように努力するのはもちろんだけど、ヤバいことになっても最後の最後まであがいてみようということではないでしょうか。

 ってな感じですかね。まとめになってます?(^^;

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