sy-cはちょっとした縁があって、WBの世界ではCMとしての役割も担っております。今回はそのCMについて書いてみたいと思います。
CMがどのようなことをしているのか、どんなことができるのか、そしてイベントがどのように運営されているのか、知られざる(?)CMの実態を紹介してみたいと思います。
CMってなに?
CMは"Campaign Manager"の略で、WBでイベントの開催をするための権限のことです。この権限はiMOLから与えられており、具体的にはSA(Special Event Arena)の設定の変更などを行うことができます。
CMは何をしているの?
CMのお仕事(そう、お仕事と言っても差し支えないでしょう)は、プレイヤーが楽しめる各種のイベントを開催して、WBというコミュニティを盛り上げることです。
海外のCMは定期的にScenario LiteやWeekend Warriorなどを開催しております。これはiMOLのスタッフが行っているものではなく、完全にCMスタッフによるボランティアです。
CMって何人くらいいるの?
欧米CMは20名くらいでしょうか。Scenario Liteなどを開催しているCMたちがいわゆるレギュラーCMと言われる人たちで、だいたい15名程度でしょうか。その他、tosグループや、一部の部隊リーダーがCM権限を持っています。彼らは自分たちのローカルな企画を実行するためにCM権限をもらっていて、ローカルCMと言う事ができます。私たち日本人CMもある意味ローカルCMと言えるでしょう。
日本人CMは現在5名おり、そのメンバーはリーダーのbatman氏をはじめ、roki氏、tsuyo氏、fafa氏、と私sy-cです。
CMはiMOLから何かもらってるの?
いえ、CMはひたすらボランティアです。少なくともsy-cはiMOLからは一銭も(1ドルも?)もらっておりません。ram1氏が来日したときに聞いたのですが、向こうのCMも完全にボランティアだそうです。
見返りが無いのにどうしてCMやってるの?
一応CMとiMOLは互いにメリットのある関係であると言えます。CMはSAを自由に設定できる権限をもらって、自分のやりたいイベントを運営し、WBの楽しみを増やすことができます。iMOLとしてはCMたちがイベントを運営してくれることで参加者を増やし、WBという世界をより魅力的なものにできるという目論見があります。
また、ICI(現iMOL)はAWのプレイヤーから発したという背景があるため、コミュニティはプレイヤーによって成り立つものという思想を強く持っているようです。そのため、WBの新バージョン開発においては、CMの意見も数多く取り入れられますし、また開発情報もCM-MLにおいてある程度知らせてくれます。
例えば2.00の時点でBf109EとSpit1などが追加されましたが、これはCMの間でBattle of Britainの大型イベントを実行する要望が受け入れられたものです。
このような、「WBというゲームを育てている」という実感がCMの見返りとも言えますね。
J's Eventの成り立ちは?
J's EventはもともとNiftyで有志が集まってTAを使って小人数でBoBをやっていたのが始まりでした。そのBoBにだんだん参加者が増えてきたとき、見かけた青文字の人(ICIのスタッフ)が、「それだったらCM権限あげるから、TAじゃなくてSAで遊んだら?」と呼びかけてくれたのがJ'sCMの始まりです。最初のCMはbat氏とtsu4氏でした。
その後、イベントの大型化に伴い、roki氏と私sy-cがCMに加わり、更にその後fafa氏もCMに加わり現在にいたっています。
CMになるにはどうすればいいの?
希望があればiMOLに紹介いたします。ただ、今となっては可能性は低いというのが実情です。というか、J'sCMはあまり発言力強くないんです。
例えばレギュラーCMたちの手によって、毎週週末にscenario liteが運営されておりますが、これは彼らが持ちまわりで設定と仕切りをやっています。この運営のための努力には感服するばかりですが、ときどき彼らもプライベートが忙しくて、持ちまわりに日程でお仕事ができないことがあります。そんなときは彼らもCM-MLで「誰か代わってくれないか」と持ちかけるわけですが、言葉の障壁がある我々はそれに協力することができず、心苦しい思いをしています。
他にも大型イベントや日米合同イベントの開催に関して意見を求められることもあるのですが、これまた言葉の障壁のため、今一つ積極的な貢献ができずにいます。
1997年の暮に、iMOLのスタッフによってCMスタッフの整理が行われ、そのときにCMの人数が半数以下に削減されました。J'sCMは幸いイベントの開催とプレイヤーの動員数では、ローカルCMとして他の追随を許さない実績を持っていたため、今までの実施実績のHP(tsuyo氏管理。感謝。)を示して現状維持を許されました。
そんな経緯もあって、iMOLは現在むやみにCMを増やしたくないみたいなんです。また、私個人が親しくてお世話になったPYRO氏はもうiMOL辞めちゃいましたし。(後任はMO氏)
ただ、我々はJ'sCMの地位向上のためにも、WBのコミュニティに少しでも貢献するための努力を日夜続けております。案外メールしたらあっさり"ahh, cc"と権限くれちゃうかもしれませんね。
J'sイベントはどのように企画されているの?
いちおうJ'sCM-MLというものが存在して、そこでイベントは企画されております。しかし、どのようなイベントを行うかは合議制による決定ではなく、だれだれがどういうイベントをやりたいというところからスタートします。
MLで話し合われるのはそのイベントを実行するにあたる各種ルールのすり合わせやアイデア出しであり、イベントの方向性はそのものは完全に「言い出しっぺ」のCMのものです。残りのメンバーはサポートを行いますが、あくまでも主催者の意図を尊重した方向でイベントは企画されます。
したがって、イベントそのものは主催者の趣味が強く反映されるものとなります。この辺がJ'sイベントの特長です。
ただ、皆好き勝手にイベント主催するとはいえ、ある程度カラーと役割分担が存在します。
bat氏はJ'sCMのリーダー的存在で、ヒストリカルな大型イベントを数多く運営してきました。また、最近のイベント紹介ページのセンスは秀逸で、iMOLからも注目されています。
tsu4氏はイベントのリザルトページを管理しています。また、J'sCM-MLもtsu4氏の協力で運営されています。彼の仕事がなければJ'sCMはとっくの昔に権限を失っていたかもしれませんね。
roki氏はかつてRoki's J's Arenaを運営してきました。彼によるログ解析ツールはJ'sイベントを大きく進歩させるものとなりました。皆さんもJ'sイベントの詳細なリザルトページ(roki氏のスコア計算スクリプトの出力)を見たことがあると思います。彼はその他にも数多くのCM用ツールを生み出し、イベント運営に貢献しています。
fafa氏は史実関係のデータに豊富な情報を持ってイベントに貢献しております。彼自身がマスターを勤めたレンネル沖や、最近のBoGでも彼の考証が企画に大きな影響力を持っています。
私sy-cが一番貢献してないかもしれませんね。一応私の得意分野はメコンや部隊トーナメントのような「ヒストリカルではない」状況のイベントです。史実からイベントを企画することの多い傾向に対し、私の企画はまず状況ありきで、それからそれらしい史実をあてはめるというのが特徴でしょうか。
ま、こんな面子でJ'sCMは運営されているわけです。
イベントの得点設定、バランス決めなどはどのようにしてるの?
スタッフとしては極力参加していただくプレイヤー全員に楽しんでいただくため、バランス面でもエキサイティングなイベントにすべくさまざまな努力をしております。
例えば空母戦であれば、実際にそのArena設定をしてみて、スタッフがSAで攻撃してログを取ったりしています。爆撃イベントであれば実際にB17でマップの端から端まで飛んで時間を計ったり、迎撃機が何分でどのくらいの高度まで上がれるか等まで測定して考慮します。
sy-cのように余り深く考えずにバランス決めをしてしまうマスターもいますが、だいたい2時間のイベントだったら、その10倍以上の時間をリサーチに費やしていると思ってください。リサーチに参加するメンバーは、CMスタッフ内部で済ます場合もあれば、関連部隊の部隊員に協力してもらって行うこともあります。意外と大変なんです。
ただ、このように緻密な準備期間をかけて運営されているイベントでも、マスターやスタッフの想像を超越した方向に実際の戦いが進んでしまうことがままあります。そのような場合はスタッフの力量不足になるわけですが、「戦争は予想不可能なものだ」ということで平にご容赦ください。
スタッフってたいへん?
たしかにやることは大変ですが、ボランティアでやる以上、我々も楽しんでやってます。ですから自分が楽しいと思うイベントをやろうと思うし、プレイヤーとして参加するときも楽しんでやってます。
プレイヤー全員で育ててきたコミュニティですから、この思想を大事に守って行きたいですね。
CMコマンドでどういうことができるの?
基本的にArenaの設定を変えることができます。アイコンの表示/非表示、距離表示のレンジ、機銃の威力、燃料消費率、レーダーレンジ、Ackの威力、建物の固さ、同士討ちのありなし、その他。
大型イベントではアイコン表示なし、あるいは非常に近距離でしか見えないようにする傾向があります。同士討ちありの設定と伴い、索敵などの面で非常に緊張した戦いを強いられます。
機銃の威力はあまりいじることはありませんが、燃料消費率設定は長時間イベントではかかせないものです。以前は紳士協定による燃料搭載量制限に頼っていたのですが、日本人プレイヤーは非常に紳士的でルールを破る人などいなかったのですが、それよりも設定でできるほうがスマートです。
2.0から導入されたdotレーダーのレンジ設定は現在のイベントの設定で大きなウェイトを占めるものです。この設定は敵味方異ならせることができます。例えば日本軍はレーダーが未発達で、米軍は優秀なレーダーを持つような設定が可能です。
CMコマンドで設定できるパラメータは、CMでなくとも.showコマンドで見ることができます。興味のある方はMAで.showして設定を見てみてください。
この他、基地の所属、出撃可能機体、命の数、Arenaの時間なども設定可能です。
CMの人の無線はどうなってるの?
まず良く使う神様モードの青文字無線ですが、これは.radio 201です。以前は201をオープンすると全ての国の無線が聞こえるようになっていました。(このおかげでメコンをプレイヤーとして参加できなくなったのですが)
現在ではmodesetコマンドで、各国の無線とレーダーの傍受を設定します。青無線だけでは無線傍受モードになりません。このモードをオンにするとシステムメッセージで全てのプレイヤーに、xxxxは各国の無線を傍受可能というような通知が行きます。BoGの時に見かけた人もいると思います。
現状では見えるのは国無線だけで、1〜99のプライベート無線、個人無線、部隊無線は傍受できません。
CMコマンドでできないことは?
よく誤解されるのですが、自機だけ無敵にするとかワープするとか、そういうことはできません。CMコマンドはArenaを設定するための権限であり、裏技ではありません。
イベント運営のため、さまざまな機能を要求されているCMコマンドですが、実際にはできないこともたくさんあります。例えばCVの操縦なんかもその一つです。CVがある程度意のままに動かせないと成り立たないイベントなどがあります。それから中立基地のACKをDISABLEにすることもできません。したがって中立基地に着陸しようとすると撃たれます。
ただ、CMコマンドは現在も拡張を受けており、CMの要望に従って新しいコマンドセットもどんどん増えています。プレイヤーが空母を自由に動かせる日が来るのもそう遠くないでしょう。
部隊トーナメントのとき話題になったCM-EYEって何?
CM-EYEはCM権限を持っている人がSAでだけ使える必殺技(嘘)です。もともと、Scenario Liteのスタッフの、「2時間ぼーっとマップ見て監視してるだけじゃつまらん」という要望から追加された機能です。WB Ver.2.5からインプリメントされています。
CM-EYEは一言で言うと「千里眼モード」です。Arena上の好きな位置にカメラを持っていって戦いを見ることができます。イベントではある位置の空戦模様を監視したり、爆撃目標の被害状況を肉眼で確認したりするのに使用します。
部隊トーナメントの時はこの機能を使って空戦域のど真ん中にカメラを持っていって観戦することができました。また、出撃時には基地上空にカメラを持って行き、出撃機体のチェックを行いました。これのおかげで乱入者を未然に防ぐことができました。
この機能はFEにインプリメントされていて、サーバからのフラグで使用可能になります。ですからいつか将来、皆様のFEでもCM-EYEが使えるようになる日がくると思います。
イベントの企画に参加したいんだけど?
大歓迎です。すでにJ'sイベント準備室と言うBBSが稼動しており、数多くの意見が交換されております。こんなイベントをやってみたいとか、今までのイベントでここが良かったとか、こういうルールはどうだろうかとか、意見などございましたらぜひ書きこんでください。
また、大型イベントで司令官を経験した人には、J'sCM-MLに参加していただいて、今後のイベント運営に関して貴重な意見をいただいております。現在はtuki氏を始めとする歴代司令官ズにイベント運営を協力いただいております。司令官はイベントの華ですので、ぜひ経験してみてください。
J'sイベントの今後は?
最近のBoGでは過去最大の参加人数を数え、参加プレイヤーが100の大台に乗る日も近いと思います。
J'sイベントの特徴は、日本人ならではの「濃い」感情移入と、プレイヤーの高いモラル意識にあると思います。
「濃さ」の面では、司令部HPができたり、部隊構成ができたり、熱の入った作戦会議が行われたりという点が海外のイベントとは一線を画しています。海外のイベントでも作戦や部隊割はあるのですが、もっとあっさりしたものです。
また、日本人プレイヤーのエチケットの良さは海外の比較になりません。たとえば今までのイベントではしばしば紳士協定による燃料制限ルールが行われましたが、これなどは海外のイベントではありえない話です。再出撃可能回数や、スパイ禁止条項など、海外のイベントでこれを紳士協定に頼っていたら、ゲームをぶち壊す輩が大量に出てきてしまいます。何しろCMコマンドに特定のIDをはじき出すコマンドがあるくらいです。
そんな理由から、日本人プレイヤーはある意味もっとも恵まれた環境でイベントを体験できていると思います。環境的な面ばかりでなく、bat氏の企画するイベントの緻密さや、fafa氏の考証の鋭さ、そしてroki氏による多種多様な解析ツールにより、J'sイベントのレベルは世界一であるといって過言ではないと思います。
これからのJ'sイベントはこの長所を生かして、大型イベントはこの良い意味で「濃い」方向性に進むことが一つの柱になると思います。
その一方で初心者や一般参加の合口を広げるため、自由参加のお気楽なイベントを企画して行こうとも思っております。現在企画中のPacific War Nightなどは、外人の飛び入り参加をも歓迎した初の試みで、J'sイベントのローカル性からの脱却にも挑戦して行きます。
最後に「部隊」の存在意義をより高めるようなイベントをも企画しています。例えば先のPacific War Nightでは、個別の飛び入り参加が可能ですが、部隊で参加して作戦を組むとより楽しめるように企画されております。また、部隊トーナメントなどの部隊色を強めたイベントなども再び企画されることでしょう。
「大型イベントの高度化」「お気軽イベントのグローバル化」「部隊で楽しめるイベント」、この3つの方向性を柱に今後のJ'sイベントは進んで行く予定です。
皆様、今後もJ'sイベントをよろしくお引き立てくださいね。
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