J's部隊トーナメント デザイナーズ・ノート


 皆様、ご無沙汰しております。sy-cです。

 開催していた第2回J's部隊トーナメントも無事終了しました。正直疲れたです(^^;

 ま、せっかくの機会ですので、主催者の企画の意図なんかを紹介してみたいと思います。



イベントの起源、単純BoB

 思えばWBにおいてイベントというものが始めて行われたのは、Niftyserveの集まりによって開催されたNifty-BoBでした。BoBとは「Battle of Britain」の略で、その名のとおりBf109vsSpitの戦いでした。これを2陣営に分かれて全滅戦を行うわけです。始めはBfvsSpitが基本でしたが、その後に様々な機体セットが使われるようになりました。しかしこれらは全てBoBという総称で呼ばれています。その後、イベントが複雑化していくにつれ、このような単純な複数人数による全滅戦を「単純BoB」と呼ぶようになってきました。

 WBでの各種イベントはどんどん大型化してゆき、動員人数も100名を越すようになってきました。そんな大型イベント隆盛になっていく流れの中で、「単純BoB」をやりたいという要望も少なからず出ていたのです。



部隊の活性化

 その頃、J'sCMの中では、部隊をもっと活性化して、部隊ぐるみでイベントにどんどん参加してもらえるようにしたいという構想がありました。その中でまず各部隊をイベントに自然に引き込めるようなモノをやろう。そして、sy-cの持っていた部隊トーナメント構想が持ち出されました。これでまずトーナメントを開催して、後々開くJ'sCMイベントに巻き込もうという発想です。



ルールの問題

 把握している各部隊にアンケートのメールを出しましたが、その反応は上々でした。そこでさっそくルールをつめなければいけないわけですが、各部隊の人数も違えば、カラーも違います。果たして、どのようにすれば全ての部隊に対してイーブンとなるルールになるか。そこがポイントになりました。

 まず最初に考えたのが爆撃の問題です。部隊の中には戦闘機よりも爆撃機を主体にしている人たちもいます。しかし、爆撃を対抗試合に組み込むと得てして複雑となり、運用も難しくなります。一度iMOLが開催した「お互いの基地を先にCaptureした方が勝ち」ルールも、実際にやってみたところではあまり評判は芳しくありませんでした。

 いろいろ考えたのですが、まず爆撃は切り捨てることにしました。もちろん爆撃部隊の存在はWBにとって無くてはならないものですが、ここで無理に両立しようとさせるのも無茶がある、爆撃部隊は爆撃に関するイベントで活躍してもらおう、あるいはそういうイベントを誰かが作ってくれるに違いないと、他力本願の結論でした(^^;



単純BoBルール、そしてホーム&アウェー方式

 そんなわけで、戦闘機戦闘だけの試合を考えるとなると簡単です。単純BoBという前例があるからです。同人数、同機種、同高度。ここまではルールが確立されております。D30まで高度制限で、con(IDを確認)すると同時に高度制限解除。これも古くから慣れ親しまれた手法です。とりあえず問題ありません。時間制限には燃料制限ルールが有効。そしてfueloutの時点で時間切れにすれば、プレイヤー同士の相互チェックにもなり、燃料少積載の不正防止にもなります。

 しかしながらそこで問題になるのは機種です。異機種対戦では技量の勝負よりも機体の差が出てしまいます。そこで同機種対決が基本となるわけですが、各部隊にはそれぞれ得意な機体があり、機体選択が部隊の有利不利につながることになってしまいます。

 そこで出てきたのがホーム&アウェー方式です。これはサッカーのワールドカップを見ていたmaks氏が提案したアイデアなのですが、自分の得意機体でまず1戦(ホーム)、そして相手の得意機体でまた1戦(アウェー)というルールです。なるほどこれなら各部隊の得意不得意を吸収できます。しかも、条件イーブンという原則は保たれます。

 しかしながら勝敗を決めるためには奇数の数だけ戦わなければなりません。最後の1戦の機体決定がやはり難問になります。ラウンド1とラウンド2の得失点差で決めればという意見もありましたが、やはり勝敗は数字ではなくて戦いの結果で決めたい。それにKi43での6-0とMe262の6-0では戦いの結果として比較できるのか?そういう考えがありました。

 一番自然なのは3ラウンドは機体を自由にすることです。しかし、機体自由というのは実は機体を限定する結果になってしまいます。つまり、有利を狙うためにはどうしてもRPS後期の機体が選ばれることになることが予想され、RPS前期の機体を得意とする部隊にはおもしろくないことになります。

#それでもKi43で戦うという意気込みは尊敬に値するのですが。

 事前に課題機体として、クジで決めておけば練習もできて良いかなと思ったのですが、やっぱりどれかの機体に決まるというのはどこかが有利or不利になるということであり、機体を決めておくというのは必ずどこかで問題が出るのです。

 そこでここは一つ運を天に任せてその場ごとのクジ引きにしてみました。これならあとくされもないでしょうし、負けても「運が無かった」で済むような気がします(^^;

 「そしたら色々乗れる部隊の方が有利だ」という意見もありますが、いろいろ乗りこなせる技量は実力として評価に値するものであり、決して有利不利に関係することではありません。

 それでも勝負を運に任せたくないという人のために(自分も運では勝負を決めたくない)、交渉の余地を残すことにしました。双方の納得行く機体であればそれで勝負すると。決定の権利を各リーダーに残しておくわけです。これなら相手が承認しそうな機体を事前に練習しておくこともでき、かけひきにもなります。なんらかの妥協が必要なわけで、どうしても妥協したくないということであればクジ引きになっても致し方ないでしょう。逆に勝ち目が無さそうだから、クジ引きで自分の得意機体が出る方に賭けるという方法もあります。

 それに、クジで苦手な機種になったと言っても、それで即勝敗が決まったというわけではありません。勝敗はあくまでも戦いで決まるのです。「戦って見なきゃわからない」、こう思ったとき、クジ引きによる機体決定も悪くないと思いました。

 そんなわけで機体選択方法は決定しました。



最低人数ルール

 次に出たのが人数の問題です。基本的には同人数でということになります。すると多い方が少ないほうに合わせると言うことになります。ここでは人数の多い方は参加できない人がでてくるということになります。

 しかしながら、あまりにも人数が少ないと多い方がワリを食います。例えば11人vs3人で、3対3になるのは出れない8名があまりにも可哀想です。

 そこで最低人数の制限をつけることになります。すなわち、これより人数がそろわなかった場合、参加資格が無いとまでは言わないけど、少ない人数で戦ってもらうと。この人数に関しては、アンケートの結果より6名と決定しました。

 2回目のトーナメントを開催したときは部隊の分散化などもあり、6名では辛いという意見もあったのですが、やはり大人数部隊がいることを考えると最低人数を減らすということには抵抗がありました。

 将来のことを考えても、なるべく最低人数は減らさない方向でやっていきたいと思っています。

 助っ人に関しては特に問題なしとしました。いずれにせよ、MAでの部隊加入は特に制限が無いので、自由に部隊を移れるとなれば助っ人も当然OKでしょうということです。ただ、やっぱりどこも自分の部隊で勝利を掴みたいでしょうから、人数不足以外で積極的に助っ人を獲得することは無いだろうと思いました。将来、ガンガン外人助っ人を導入する部隊とかあったら外人枠規制とか考えなければいけないかも知れません(^^;



その他のルール

 地味ですが、その他の部分でも極力双方の条件がイーブンとなるように気を配ってルール設定しています。

 昼のまま、真上で動かない太陽。打ち上げてこないAckとFrak(1回目では失敗しました(--;)。動かないCV。乱入者を防止するための基地クローズ。後、機数確認や戦況確認には新兵器のCM-EYEが大活躍しました。

 基地間の距離と高度制限は、むしろ運営時間短縮のために設定しました。高度制限ルールはプレイヤーに負担を強いることになりますが、実際この距離ではほとんど高度制限に引っかかる前に会敵してしまうはずです。



開催結果を振り返って

 評判は上々でした。日が進むにつれどんどん参加部隊が抜け落ちていく(当然ですね。最後に優勝できるのは1チームだけなんですから)ので、日ごとに盛り下がっていくという問題点はありましたが、とりあえず当初の目的である部隊を活性化させるという目的は果たすことができたようです。

 1回目と2回目を比較すると、昨年は「対戦に際して緊張の少なかった方が勝つ」という傾向があったようです。これは技量云々の問題よりも、リラックスして実力を出せるかどうか。負けた部隊は実力よりもむしろ緊張により自滅したという傾向があったと思います。
 2年目は一年目に比して全体のレベルが上がっており、やはりきっちり練習したチームが勝ちあがってくるように感じました。またRoger Wilcoなどの新兵器は、今後の部隊戦シーンにも大きな影響を与えていくことでしょう。

 今後レベルはどんどん上がってゆき、最終的には技量、精神面、作戦、全てを備えたチームで無いと勝てない時代がやってくると思います。そのためにも、単純BoBというシンプルなルールは、極力変更せずに運営してゆきたいと考えています。



最後に

 このような部隊同士の戦いは、看板をしょっているだけに「気楽に参加」とはいかないようです。どうしてもプライドを賭けた真剣勝負になります。

 私はこのような真剣勝負のドキドキ感が大好きです(^^; というより、日常生活の中でそう簡単にはできない「真剣勝負」をWBという環境で再現できるのがうれしいんですね。

 CMの行うイベントにはこのような勝負主体のものと、戦史再現などの雰囲気主体のものがありますが、sy-cの役割は割とこのような勝負主体のイベントを開催することかなと思っております。

 もちろん参加して「こんなイベントつまらん、やってられん」と思った方もいるとは思いますが、少しでも「真剣勝負」の緊張感を味わっていただければ… そして「すごいドキドキして、胃に悪かったけど面白かった」と言ってもらえれば、これほどCM冥利に尽きることはありません。

 ということで、これからもCMの企画するイベントと部隊トーナメントをよろしくお願いしますね。

#来年、WBがどうなっているかは知る由もありませんが(^^;




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