S80マシン(RS125車体+CR80エンジン)


  サーキットでの練習用にゲットしました。純レーサーRS125の車体に、モトクロッサーCR80のエンジンを積んでいます。いわゆるS80クラスのレギュレーションに適合したS8(えすはち)マシンです。

「軽いバイクの方がトランポの積み下ろしが楽だな」という甘い考えで取得したのですが、これが実にとんでもないシロモノでした。
  RS125は93年式(NF4)のモデルです。今見るといろいろ古い部分もありますが、純レーサーだけあって侮れないパフォーマンスを発揮します。でもさすがに90年代のカウルは古臭いので、02年式RSの今風なカウルを無理矢理つけています。尖ったシートカウルがなかなかかっこいいです。

エンジンはCR80のものなのですが、これは80ccしかないくせに25馬力を発揮するというとんでもないエンジンです。専用のチャンバーとフラットバルブキャブでさらにチューンされてます。これで装備重量(乾燥重量ではない)わずか70kgちょっと。NSR50より軽いのにパワーは3倍以上ってことです。純レーサー恐るべしです。
  正面上から見たカット。小さめのスクリーンが今風です。レースに出るわけじゃないので、ゼッケンは適当に振っています。
  スポンジが一枚貼ってあるだけのシート。個人的にはこのシートカウルの形状が好きです。どこにもメーカーの名前が書いてないといちいち車種を聞かれるので、シートの上にホンダのロゴを貼ってみました(笑)
  強烈なグリップを発揮するスリックタイヤ。数箇所開いている穴で減り具合を確認できるようになっています。ホイールはマグネシウムです。
  こちらはリアタイヤ。同じように数箇所穴が開いています。このタイヤはダンロップのBコンパウンド(一番柔らかいコンパウンド)なのですが、絶対的馬力が少ないので思ったほど減りません。新品なら10時間くらい乗れそう。練習目的にはありがたいです。
  フロントブレーキはブレンボの4ポット。ディスクもブレンボの鋳鉄フローティングです。本物のフローティングは手で動かすとカチャカチャ動きます。鋳鉄ディスクなのでパッドも専用のブレンボレーシング。強力です。人差し指だけでジャックナイフできます。注意しないとロックせずにバイクに背負い投げくらったりします。危険です(笑)

フロントは正立フォークですが、ちゃんと伸び側縮み側の減衰調整できます。さすがレーサーです。
  リアセクション。スイングアームもアルミ。チェーンはレース専用の415チェーンです。街乗りバイクに慣れてると「こんな細いチェーンで大丈夫なのか」という気分になります。スプロケはフロントもリアも簡単に交換できるようになってます。
  タンクを外したところ。横置きタイプのリアサスがレトロですが、とても剛性の高そうなアルミフレームです。これ見たあとにDE耐マシンのフレーム(APEレーサー、フレーム加工不可)を見るとため息が出ます。
  フレームの中に鎮座するCR80のパワーユニット。小さいですねー。スカスカです。整備も楽そう。そのままではRS125のマウントとあわないので、ところどころ削ったり、シムをかませたりして載せています。
  ラジェーターもアルミ。RS125用の縦型ラジェーターをそのまま使ってます。ガムテープを貼ったりはがしたりして、水温を55〜65度に保つ必要があります。これでも真夏では水温が保ないとか。すごい発熱量です。

ちなみにレーサーの冷却水は普通の水道水です。走行ごとに抜きます。
  キャブは京浜のPWK28。プラスドライバーでネジを一本緩めるだけで横からすぐ取り出すことができます。17mmのレンチで底を開けるだけで簡単にメインジェットが交換できます。ニードルも蝶ネジ二つ外せば交換できます。

ガソリンはもちろん混合。走行前に必要な分だけ作ります。
  CR80のエンジンをそのまま載せるとキックの部分がフレームに当たるので、これを切り落として溶接してあります。するとギアオイル入れる部分がなくなってしまうので適当な口を作ってもらいました。もちろんワイヤリングで緩め防止をします。

ワイヤリングの先についているフレーム側の小さいボルトがオイルキャッチタンクのドレンボルトです。RSはフレーム自体がオイルキャッチタンクになっています。ここをあけるとブリーザーから吹いたオイルがドボドボ出てきます。練習ごとに抜いてお掃除が必要です。
  タコメーターと水温計だけのシンプルなメーター周り。タコは反応のすばやい電動式です。もちろんエンジンは発電なんかしないので、メーターも乾電池で動かす必要があります。メーターの下側、ステーの裏にちらっと単三x8のバッテリーボックスが見えます。

メータースケールは15000まで刻んでありますが、実際に回るのは14000くらいまでかな。下は3000から目盛りがありますが、9000以上でないとまともに走りません。加速しないどころか、上り坂で失速してしまうくらい。実質使えるのは10000〜13000の超ピーキーなエンジンです。
  左ハンドルの横についている黒いボタンがキルスイッチです。押すと点火しなくなります。メインスイッチやメインキーなどというものは存在しません。バイク押せばエンジンかかっちゃいます。
  ステアリングダンパーがついています。今のところこれが必要な状況を感じていないので、ダンパーは最弱設定にして使っています。

でも上り坂でパワーバンドに入れると80ccのくせにポンポンとフロントが浮いたりするので、着地のふられを防ぐために必要なのでしょう。
  一番感動したのはレーサーの整備性の良さですね。カウルはほとんどがベータピン止めになっており、工具を使うことなくピンを数箇所抜くだけでごっそり取り外すことができます。こことか、
  こことか。

ベータピンは外した後無くならないように、ワイヤリングで止めてあります。このため、また取り付けるときも簡単です。
  タンクもこのベータピンを一本抜くだけでガコっと外れます。また、アルミのタンクが軽い!初めて外したときびっくりしました。
  で、いろんなサーキットをピヨピヨ走らせているわけですが…

このバイクは例えて言えば日本刀の真剣ですね。乗るのに尋常ではない集中力が必要です。同じコース走らせてもGSX-R750の三倍疲れます。

全てがピンポイントでピーキーです。バイクなりに走らせると信じられないくらい遅いタイムしか出ません。その代わり集中して、そのピーキーなポイントで加速、減速、曲がらせてやるとすごいパフォーマンスを発揮します。でも強烈なGにより、わずか10分で人間がヘロヘロになります。30分走ったらゲロ吐くことでしょう(^^;

まだまだ全然乗りこなせているとは言えない状態ですが、じっくりと腰をすえて付き合って行きたいと思ってます。

EXIT