◇「著しい損失」と「著しい損失に「類する」事実」は違う
 もう一度、納税の猶予の要件をおさらいしましょう。









 「通常の場合」では、第1号から第5号までに別れており、それぞれについて国税庁は「納税の猶予等の取扱要領」(昭和51年) という通達の中で解説しています。その中で、第4号(著しい損失)の要件は、以下のように規定されています。

  「事業につき著しい損失を受けた」とは調査日(納税の猶予の始期の前日をいう。以下この節において同じ。)前1年間(以下この項において「調査期間」という。)の損益計算において、調査期間の直前の1年間(以下この項において「基準期間」という。)の利益金額の2分の1を超えて損失が生じていると認められる場合(基準期間において損失が生じている場合には、調査期間の損失金額が基準期間の損失金額を超えているとき。)をいうものとする。







 これによると、その当否はともかく、「著しい損失」とは利益金額が半減以上していないと認められないことになります。じゃあ「半減まではしていないけど払えない」という人はどうしたら救われるでしょうか?
  それが、第5号「著しい損失に類する事実」という要件です。「納税の猶予等の取扱要領」では、

 「事業の休廃止又は事業上の著しい損失に類する事実」とは、おおむね次に掲げる事実をいう(通則法基本通達第46条関係12の(2)参照)。

(イ)

 納税者の経営する事業に労働争議があり、事業を継続できなかったこと。

(ロ)

  事業は継続していたが、交通、運輸若しくは通信機関の労働争議又は道路工事若しくは区画整理等による通行路の変更等により、売上減少等の影響を受けたこと。

 

(ハ)

 下請企業である納税者が、親会社からの発注の減少等の影響を受けたこと、その他納税者が市場の悪化等その責めに帰すことができないやむを得ない事由により、従前に比べ事業の操業度の低下又は売上の減少等の影響を受けたこと。

 

(ニ)

 納税者がやむを得ない理由により著しい損失(事業に関するものを除く。)を受けたこと。

 

















 見てのとおり、第5号として例示された(イ)〜(ハ)では、「2分の1を超えて」という文言はありません。だから「第4号と第5号は、似てはいるけれど全く別の要件であることは明らかです。

◇津島税務署はいったい何を「審査」したのか??
 従って、「第5号に当てはまるから納税の猶予を認めて」という納税者に対しては、「著しい損失」があったかなかったかではなく、「著しい損失に類する事実(具体的には上の(イ)〜(ロ))」があったかなかったかで審査するべきです。それなのに、津島税務署の異議決定書では、そろいもそろって「著しい損失が生じた事実は認められない」と「別件理由」で納税の猶予を棄却しているのです。
  津島税務署は、第4号に基づいて審査したのか、第5号に基づいて審査したのか、そしてその審査内容を、「誠実な納税者」(津島税務署幹部)に対し明らかにすべきではないでしょうか。

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別件理由で納税の猶予を棄却