| 緊急企画!これは語尾上げではない Part2 |
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(*語尾上げ検定を受けていない方は、先に検定を修了されることをお勧めします。)
今回は、私がなぜ、語尾上げでないものを語尾上げだと誤解することの危険性に執着するのか、その点について少し掘り下げて検証してみたい。 最初に下のブツを見てほしい。ある掲示板の書き込みから抜粋したものだ。これははっきり言っておもしろすぎる。覚悟して読んでほしい。 ![]() 実は「語尾上げでないものを語尾上げだと誤解することの危険性」に関しては、このおもしろい書き込みだけですべて言い尽くせている。したがって、もうこれ以上説明する必要もないのだが、おもしろくなかった人がいるといけないので、念のためどこがそんなにおもしろいのか簡単に補足しておきたい。 まず注目したいのは、イイカンジ(語尾上げ(死語?))の部分だ。これは次のように2つのパートに分解することができる。 1.イイカンジ(語尾上げ) 2.語尾上げ(死語?) 前半の1の部分では、「イイカンジ」のことを指して語尾上げだと言っている。しかし、この「イイカンジ」は語尾上げではなく単なるアクセント抜き発音である。 なぜそう言えるかというと、真に語尾上げならば、「イイカンジ?」、若しくは「イイカンジ↑」のように、語尾が上がっていることがそれと分かるように表記されるはずだからだ。しかしそうはなっていない。そして、「イイカンジ」がしばしばアクセント抜きで発音されることを鑑みれば、やはりこの場合は、アクセント抜き発音のことを語尾上げと誤解しているのだと考えるのが妥当なのである。 次に2の部分である。単なるアクセント抜き発音に(語尾上げ)という注釈を入れる的外れのツッコミをかました直後、今度はその「語尾上げ」という言葉に対して(死語?)という注釈を入れている。 もちろん語尾上げが死語であるはずもないのだが、今ここで問題なのは、語尾上げが死語かどうか、ではない。 もう一度図をよく見てほしい。 本文は半角で書かれているためやや分かりにくいが、しかし死語という言葉のあとにはっきりと「?」がつけられているのである。 死語?…。一体誰に尋ねているのか。もちろん誰に何を尋ねているわけでもない。これが結論である。つまり、なんのことはない、この(死語?)こそが語尾上げなのだっ! 3.照れ放題?なもので... そして駄目押しである。「照れ放題?なもので...」の部分をよく見ていただきたい。 普通に「照れ放題なもので...」と書けばいいところを、突然なんの脈絡もなく「?」が挿入されている。 照れ放題?…。一体誰に尋ねているのか。もちろん誰に何を尋ねているわけでもない。なんのことはない、この「照れ放題?」もまた語尾上げなのだっ!! わずか3行の間に2回も語尾上げが登場しているのである。 (語尾上げ)というツッコミを入れるのであれば、まさにこの(死語?)や、照れ放題?こそツッコマれて然るべきなのだ。 しかし(語尾上げ)と書かれているのはエセ語尾上げである「イイカンジ」の箇所だけで、(死語?)や照れ放題?という本物の語尾上げの箇所には何も書かれていない。要するに、本物の語尾上げで書いている時は完全に素なのである。 まとめるとこういうことだ。 「イイカンジ」というアクセント抜き発音に対して(語尾上げ)という誤った注釈を入れている一方で、(死語?)や照れ放題?など本物の語尾上げはそれと知らずに大真面目に書いている。 語尾上げに死語だとツッコミを入れたその口が語尾上げだったのである。この書き込みのおもしろさがおわかりいただけただろうか。 前にも書いたが(語尾上げ)という注釈にはおそらく、俺は語尾上げだと知っててわざと書いてるんだよ、というある種の自嘲、揶揄の意味が込められているのだろう。 ところが今回のように語尾上げの意味をはき違えていると、見当違いのものに向けて(語尾上げ)とやってしまうことになる。 のみならず、もともと語尾上げとは何なのか訳が分かっていないため、自ら揶揄嘲笑したつもりの語尾上げを実は知らず知らずのうちに使っている、というパラドックスが生じるのである。語尾上げでないものを語尾上げだと誤解するということは、結局、語尾上げを語尾上げではないのだと誤解することと同義なのだ。 想像してみてほしい。このような誤解が蔓延してしまうと一体どういうことになるか。こんなことになるのである。 A「俺、語尾上げが嫌いなんだけどお前どう思う?」 B「ああ、俺も嫌い、やだよねあれ。かなりぃ、とか、イイカンジィとか、これかわいくなぁ〜い?とか。ちゃんと喋れって感じ?」 これが冗談でもなんでもないということは、このページを最後まで読んでしまったあなたならすぐにご理解いただけるだろう。これほど大胆に誤解された言葉が今まであっただろうか。このことは、語尾上げという概念がいかに人々に理解されにくいかという事実を雄弁に物語っている。 しかし、このままでは一体なんのための“語尾上げ”撲滅か分かったものではない。アクセント抜き発音と語尾上げとでは問題の次元が違いすぎるのだ。語尾上げの意味がここまで錯綜してしまった以上、まず我々が着手すべき火急の課題は、アクセント抜き発音は語尾上げではないという当たり前の事実を広く世に知らしめることなのである。 [追記] 書き終わってふと気付いたのだが、あの(死語?)が語尾上げであるという見方には異論を唱える向きもあるかもしれない。あれは、限りなく語尾上げに近い質問であると。 私もその可能性は否定しない。 しかしだからといって、このページの論拠が崩れることにはならない。 なぜなら、もう一つの「照れ放題?なもので...」の方は、まごうかたなき純度100%の語尾上げだからだ。 試しに声に出して読んでみてほしい。照れ放題、のところで「?」をつけて問いかけるのが、いかに不自然なことかお分かりいただけるだろう。相手の同意を求めながら話を進めるという、まさに語尾上げのスタンダードなのだ。そして、「イイカンジ」の後には(語尾上げ)という注釈を振っておきながら、「照れ放題?」の後には何も書かれていない以上、ここで論じてきたことはいささかも揺らぐものではないのである。
2000.12.8
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