みんな、流行っているという事にうすうす勘付いてはいるのに、でも誰も流行っているとは言わない言葉。あるいは『現代用語の基礎知識』の流行語大賞には決して選ばれないけど、地味に、しかし確実に流行っている言葉。そんな日の目を見ない流行語に光を当て、大々的に顕彰する裏流行語大賞。2001年創始。

選考委員会構成メンバー
世に問う男(反語尾上げ連盟開闢総督兼世に問う男制作責任者)



大賞
『意味わかんない』


■選考委員のコメント■
 並み居る強豪を押さえて記念すべき第一回大賞に輝いたのはご存知、「意味わかんない」である。今年はなにかというと「意味わかんない」と口走る人がひじょうに目立った一年だったわけだが、この言葉はそれだけにとどまらず、ほんとうに意味がわからない時以外にもさまざまな局面で使用されたことが大賞に選ばれた最大の理由だ。次の事例を見てほしい。とある飲み会での一場面である。

男「TOKIO HOT 100! こんにちは、クリス・ペプラーです(←クリス・ペプラーの物真似で)」
女「キャハハハハ、なにそれ意味わかんな〜い」

って君! 意味はわかるでしょ意味は。どこからどう見ても、場を盛り上げんと勇気を振り絞って披露した男一世一代クリス・ペプラーの物真似じゃないか。いや似てる似てないは別にして。

 と、このように、今年の「意味わかんない」は意味がわかるわからないには関係なく、というかむしろ、意味は十分わかっているのに「意味わかんない」と喝破するケースが圧倒的多数を占めていたのが特筆すべき点である。私にはもう、なぜそこで「意味わかんない」となってしまうのかその意味がわかんないのだが、おそらくこれが最近流行のツッコミ方なのだろうということで見事大賞の受賞と相成った。


入賞
『微妙』


■選考委員のコメント■
 何かリアクションに困った時や、面と向かって言いにくいことを言わなければいけない時など、すぐに「微妙」という、どうとでも受け取れる微妙な返答でお茶を濁しておくやり方も今年の大きな流れの一つだった。次の事例を見てほしい。とある飲み会での一場面である。

男「TOKIO HOT 100! こんにちは、クリス・ペプラーです(←クリス・ペプラーの物真似で)」
女「微っ妙〜!」(翻訳「似てねぇ〜!」)

 先程はどうとでも受け取れると言ったが、本事例を見てもわかる通り、いま相手に「微妙」と言われたら、それはほぼ間違いなく「ナシ」という意味なのだ。あるいはそれが100%ナシじゃなかったとしても、少なくとも75%以上はナシなのだ。INかOUTかでいうと確実にOUTなのだ。このように、今年よく聞かれた「微妙」という表現はあきらかにネガティブな色合いが濃いものなので、真意を解釈するにあたっては細心の注意を払う必要がある。


入賞
『超ウケる』


■選考委員のコメント■
 まずは次の事例を見てほしい。とある飲み会での一場面である。

男「TOKIO HOT 100! こんにちは、クリス・ペプラーです(←クリス・ペプラーの物真似で)」
女「キャハハハハ、(指さしながら)超ウケるんだけど」

 これは不思議な用法である。ウケるという動詞はそもそも見る側ではなく見せる側が使うものだ、なんて野暮なことをいいたいのではない。そんなことよりも私が一番気になるのは、本当に超ウケたのならウケている最中に「ウケる」などと言う余裕はないはずだ、ということである。ひとしきり笑った後で「超ウケた」と言うのならまだ分かる。だが、同時進行で「超ウケる」と言うのは、つまり「ただ今現在私はものすごく可笑しがっている」と言っているわけで、そんな余裕があるうちは実は大してウケていないに違いないのである。要するに「超ウケた」は成り立つが、「超ウケる」は矛盾だらけなのだ。めでたい流行語入賞のコメントなのに段々と説教臭くなってきたような気がするのは気のせいだ。



準入賞
『ヤバい』


じっさいには全然ヤバくない。英語のcoolと同じニュアンス、所謂『イケてる』と同じ意味で使用される。ちょっと前にMTVの番組宣伝で「いやあ・・・ヤバいよ・・・ほんと・・」ってのがあった。褒めてんのかけなしてんのか、日本語を勉強している外国人が見たら混乱しそうである。


『無理』

■「いやだ」「できない」ということ。主体的、能動的であるはずの断り文句を、何か外部の要因によって断る以外に選択の道はないのだという受身の雰囲気を醸し出すことで、より言いやすくしたもの。これにより従来なかなかNOと言えなかった日本人もわりと容易くNOと言えるようになったため、今後の文化外交面に与える影響は計り知れない。
  • 「捕鯨禁止!」→「無理!」
  • 「柔道着をカラフルに!」→「無理!」
  • 「ショウ・ザ・フラッグ!」→「無理!」


  • 『〜だし』

    ■話し手にとってつながりがあると意識される事情を指示する(広辞苑)接続助詞の「し」で、本来は以後に必ずなにがしかのセンテンスが続く。
     しかし、例えば「イケてないし!」のようにそれだけで完結してしまうのが最近の主流。探偵!ナイトスクープで桂小枝がパラダイスを訪れた時にしばしば口にする。話が完全に途中で終わっているのだが、本人はこれで最後まで言い切ったつもりなので、「・・・・イケてないし、何?」と続きを待っていても続きはない。
  • ニュースステーション語尾上げ検証特集で語尾上げギャルの一人が言ったパンキッシュなひとこと、「いや、あなたに聞いてないし」の「し」もこれに該当する。もちろん「・・・・聞いてないし、何?」と続きを待っていても続きはない。


  • 『ぶっちゃけ』

    ■この前電車の中で、待合わせとおぼしき相手と携帯電話で話していた若者が「いいよ、じゃあさ、ぶっちゃけ何時にする?」と言っていた。嘘みたいな話だけど本当です。私が学生の頃は人生の中でぶっちゃける機会といえば修学旅行の夜と相場は決まっていたものだが、最近じゃ待合わせの時間を決める時もぶっちゃけているらしい。



    2001年裏流行語大賞 入賞語一覧

    大賞
    『意味わかんない』

    入賞
    『微妙』
    『超ウケる』

    準入賞
    『ヤバい』
    『無理』
    『〜だし』
    『ぶっちゃけ』

    *本年の入賞語7つすべてを普段から当たり前のように使用しているという剛の者は、2001年裏流行語大賞選考委員会(thori@gol.com)まで御連絡ください。マン・オブ・ザ・2001年裏流行語大賞として、もれなく私が驚きます。


    選考を振返って

     第一回裏流行語大賞はご覧の通りの結果となったが、選考は最後まで難航した。大賞を受賞した「意味わかんない」も、それ以外の入賞語も、どれも本当に僅差であった。その差を制した最大の要因は、ただなんとなくここ2、3日の私の気分によるものだったので、仮に選考が明日行われていたらあるいは結果は大きく変わっていたかもしれない。

     今年の入賞語の傾向を無理矢理ひとことで表すとしたら、それは「ツッコミ」である。大賞の「意味わかんない」を始めとして、「微妙」「〜だし」と、入賞語7つのうち3つをツッコミ系のコトバが占めているのはじつに象徴的だ。これはさまぁ〜ずの三村突然の大ブレイクと何らかの因果関係が、もちろんあるわけもなく、ただの偶然だろう。

     しかし我々は、テレビ朝日虎ノ門の名物コーナー「朝まで生どっち!」で、人生得するのはツッコミよりボケという結論に達していたことを忘れてはならない。当の三村も最終的にはボケを支持していたくらいである。だからというわけではないが、みんなツッコんでばかりいないで来年はもっとボケていこうよ、と締め括りつつ2001年裏流行語大賞総括としたい。


    皆様よいお年を...2001.12.20