『現代用語の基礎知識』の流行語大賞には決して選ばれないけど、地味に、しかし確実に流行っている言葉。そんな日の目を見ない流行語に光を当て大々的に顕彰する裏流行語大賞。2004年も今は昔ですが、桜咲く季節、年度末ということで強引に開催。

選考委員会構成メンバー
世に問う男(反語尾上げ連盟開闢総督兼世に問う男制作責任者)




大賞
『逆に(ぎゃくに)』


■選考委員のコメント■
 買ってからもうすぐ4年経つ携帯電話をこのほど買い換えようと思ったわけです。某巨大カメラ屋へいそいそと出かけた私はさっそく売場にいる黒縁メガネの女性(以下「メガネ」)に話を聞きました。機種変更ならいくらか?在庫はあるか?時間はどのぐらいかかるのか?等々をです。事件はそこで起こりました。

  私「どのぐらい時間かかりますか?」
メガネ「今なら空いてるので30分ぐらいで終わりますよ」
  私「30分もかかるんですか」
メガネ「そうですね、電話会社に問い合わせをしたりする必要があるので最低でもそれぐらいはかかってしまうんですけど・・・うーん、お客様逆に何分ぐらいだったら大丈夫ですか?」

ん?
んん???
逆に?
逆に何分ならいいかと?
早ければ早いほうがいいに決まってんだろうが!そんなこともわからんのかこのメガネは!!もちろん契約しないで帰りました。

 逆じゃないのに「逆に」ということの流行は既に昨年末私が指摘したとおり(私のきらいな語尾上げワースト5参照)ですが、とにかく猫も杓子も逆に逆にとうるさい。なぜ「御時間どれぐらいなら大丈夫ですか?」とならないのか。「では逆に聞くが何分だったらいいのだお前は?」なんつう居丈高な物言いになる理由がわからない。接客業に従事する者が客に向かってそう軽々しく逆に聞くもんじゃない。「逆に」の流行はこんなところにも陰を落としている、そう感ぜずにはいられない春の一日だったのです。


入賞
『真逆(まぎゃく)』


■選考委員のコメント■
 2005年3月31日時点においてそんな言葉はどの辞書にも載っていないのだが、昨今の我が国では、お笑い芸人がテレビで使い始めた言葉が地味に流行るという風潮がある。これもその一つだ。

 松本人志が「逆じゃないですか?!」と言うよりも「真逆じゃないですか?!」と言う方が面白いのはわかる。デフォルメが笑いの基本ならば、ただ単に逆(ぎゃく)と言うよりオーバー・リアクションで真逆(まぎゃく)と言った方が、より逆であるさまが伝わりやすい。さらには、まぎゃくという唇の動きや音の響きもなにやらひょうきんな雰囲気を醸し出している。これらのことから一般人が面白がって真似し始めたのだろう。

 だが、繰り返すが真逆(まぎゃく)などという熟語は存在しない。真逆(真に逆である)というのは二重表現だから存在する意味がないのである。





2004年裏流行語大賞 入賞語一覧

大賞
『逆に』

入賞
『真逆』


*わたしは逆じゃない時も「逆に」と言うし「真逆」もしばしば使う、という人は、2004年裏流行語大賞選考委員会(thori@gol.com)まで御連絡ください。私と真逆の存在であるあなたをマン・オブ・ザ・裏流行語大賞として逆に尊敬します。


選考を振返って

 第四回裏流行語大賞はご覧の通りの結果となった。「逆に」と「真逆」は一見すると似ているがまったくの別物である。前者は意味が拡大しすぎているものであり、後者は意味が重複しているものである。


皆様よい新年度を...2005.3.31