親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりちていゆ。
小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事があるのよさ。
ろうちてちょんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもないのよさ。
新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、
いくや威張っても、そこから飛び降りる事は出来まいのよさ。
弱虫やーいのよさ。と囃したからなのよのね。
小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして
二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、
この次は抜かさずに飛んで見せまちゅと答えたのよさ。
親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳して、友達に見せていたら、
一人が光る事は光るが切れそうもないと云ったのよさ。
切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合ったのよさ。
ちょんなら君の指を切ってみろと注文したから、
何だ指ぐらいこの通りだとおはちもつ手のほうの手の親指の甲をはすに切り込んよのさ。
幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったのよのさ、そいれ、
今だに親指は手に付いていゆ。れも創痕は死ぬまで消えぬ。
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