8月26日毎日新聞夕刊 文化欄
エヴァともののけ姫(抜粋)
毎日新聞夕刊の文化欄に「エヴァともののけ姫」と題して岡田斗司夫と宮台真司(都立大助教授)の対談が
掲載されていました。
ここにその一部を抜粋します。
(前半略)
宮台 「エヴァ」と「もののけ姫」の対立には興味があった。
「もののけ姫」は連載版「風の谷のナウシカ」の圧縮。
ポスターには「生きろ」とあって、主語は複数。
主人公アシタカが皆を支え、皆はアシタカを支えて、おろおろしながらも生きろと。
「エヴァ」はポスターに「みんな死んでしまえばいいのに...」とあり、主語は単数で、
自分の問題だけが関心事。
「死=全体性への合一=子宮回帰」の個人的願望をどう評価するかという主題は、
60年代の演劇や映画で反復されてきたけれど決着がついていなかった。
これに決定的な答えを出すのかと期待してました。
岡田 夏の「エヴァ」は春ほど大騒ぎになってないですね。
エヴァファンといっても圧倒的にキャラクターファンが多い。
「エヴァ」のどろどろしたものにひかれたのは一部の人。
そこを全部であるかのように論じて、なぞの解決を求めて映画館に行くなんてうそです。
宮台 それはどうかな。コアなマニアには脳天気なエヴァンジェリスト(伝道者)が多かったが、
それにあおられた普段アニメを見ない層は明らかにアダルトチルドレン的な受け取り方
でした。彼らがブームの母体です。
岡田 僕の感触として60年代後半から70年代にはやったスポ根漫画は街の中から空き地
がなくなってきたのに呼応している。
大衆文化とはそういう「失われた関係」を求めるものだと思う。
「エヴァ」でいえば、今の若い人は薄くなって手悩めないからカッコいい悩み方を提示してあげた。
(後半略)
とりあえず、「なるほどな」と思った部分を抜き出しました。
「エヴァ」と「もののけ姫」のキャッチコピーの対比など、言われてみればそうですね。
そして、岡田氏の上記の最後のフレーズはなかなか鋭い視点ではないでしょうか。