NHK京都で男ろう城
女性職員人質
4時間後逮捕
18日午後5時45分頃、京都市上京区智恵光院丸太町下ルのNHK京都放送局から、「刃物を持った男が局内に押し入
った」と、110番通報があった。西陣署員らが駆けつけると、1階ロビーの受付にいた女性職員(26)を人質にとり、中年
の男が立てこもっていた。男は興奮した様子で、「ニュースで声明を流せ」などと要求していたが、午後10時過ぎ、突
入した捜査員に取り押さえられ、人質強要法違反と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。職員にけがはなかったが、疲労
が激しいため、病院に運ばれた。
府警の調べでは、男は住所不定の右翼団体構成員山本功容疑者(44)。同5時35分ごろ、放送局の正面玄関から1階ホール
に入り、職員にナイフ(刃渡り約10a)を突きつけた。ペットボトルに入った灯油のようなものを床にまいたうえ、職員
を受付カウンター奧の応接室に座らせた。
NHK大阪放送局広報部によると、山本容疑者は「日本義勇軍」を名乗り、駆けつけた男性職員に「決意の言葉」と書い
た書面を手渡した。書面には、米国のアフガニスタンへの軍事行動に対する意見がワープロと手書きで記され、最後に「日
本民族義勇軍」とあった。
山本容疑者は「全国ニュースで声明文を流せ」「小泉首相と電話をさせろ」などと、繰り返し要求。10時過ぎ、捜査員が一斉
に飛び出し、取り押さえた。この際、捜査員が軽い怪我をしたという。


(3段目から6段目左)
容疑者、名古屋拠点に右翼活動
捜査当局などによると、山本容疑者は86年、岐阜の右翼団体「護誠塾」の愛知県本部を結成し、名古屋を拠点に右翼活動を始めた。
主に「憲法、日米安保の破棄」「マスコミの解体」を主張し、日教組の集会に駆けつけて抗議の街宣活動などを続けてきた。
南京虐殺問題に関心が強く、87年には中国・南京市から名古屋市に送られた友好記念の石碑に赤色のペンキをかけてハン
マーでたたき壊したとして、器物損壊容疑で愛知県警に逮捕されている。
89年に護誠塾を脱退した後は、名古屋市内で右翼機関誌を発行する出版社を1人で運営していた。


突入と同時消火器噴射
警察官が山本功容疑者(44)を取り押さえた午後10時過ぎからNHKは現場の模様を生中継した。
映像によると、山本容疑者が水を要求。捜査員がペットボトルを投げ渡した直後、「ボンッ」という音がした。同時に、
数十人の捜査員が飛び出し、受付カウンター付近に追いつめて取り押さえた。突入と同時に消火器を噴射した。数人の警察官
が山本容疑者を抱え、毛布でくるむようにしていったん放送局の奧に連れていった後、建物南口の通用口からパトカーに押し込んだ。


身柄確保まで近畿で報じず
NHK京都放送局に立てこもった山本容疑者の身柄を警察が押さえたのは、午後10時の「NHKニュース10」が始まった
直後だった。すぐに現場から実況中継され全国に報じられたが、関西2府4県の大阪放送局管内ではそれまで事件を一切放
送しなかったため「身柄確保が第一報となった」。
京都放送局の1階ロビーに置かれたテレビで総合テレビが放送されていたため、容疑者がニュースを見て刺激を受け、人
質に女性に危害を加えるのを恐れたという。



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