ガンダム戦記 選択ルール:簡易戦闘ルール Ver.1.3 --------------------------------------------------  本文書は『ガンダム戦記:一年戦争全戦闘記録』公式ホームページ(http://www2.gol.com/users/tsuneo/GUNDAM/index.htm)用に作成されたものです。 著作権は有限会社トイ・インターナショナルならびに同書の著者に帰属します。 --------------------------------------------------  『ガンダム戦記』は詳細なメカニック・データが大きな魅力です。しかし10機近い敵MSが入り乱れる比較的大がかりな戦闘になると、レフリーが損害データを管理するのも大変になってきます。そこで、中〜大規模戦闘用に、戦闘処理を簡易化する選択ルールを作成しました。これは軽めなルールが好みの方にもお勧めです。 ■一般NPCと主要NPC、  「簡易戦闘ルール」ではNPCを“一般NPC”、“主要NPC”に分類します。  “一般NPC”は、【運勢値】を持たないNPCです。主要技能の判定基本値だけしか設定されていないような、俗に言う“ザコ敵”“名もなきパイロット”がこれにあたります。  “主要NPC”は、【運勢値】を1点以上持っているNPCです。名前や背景設定を持ち、PCと同等に詳細なキャラクターデータを持つNPCがこれに当たります。  簡易戦闘ルールはこのうち“一般NPC”の戦闘処理を簡略化することで、レフリーの負担を軽減するものです。主要NPCは、従来通りPCと同じルールで処理させて下さい。 ■攻撃判定と防御判定  簡易戦闘ルールにおいて、一般NPCは攻撃判定と防御判定の際にサイコロを振りません。全ての判定の出目は“7”が出たものとして達成値を算出します。  たとえば、普通のパイロット(【反応値】8+メカ戦闘系技能4レベル)が乗ったジム(反応修正−5)の場合、[回避基本値]は7、ビームスプレーガンの[攻撃基本値]は8です。簡易戦闘ルールでは、[回避達成値]は常に14に、ビームスプレーガンの[攻撃達成値]は常に15になります。PCがこのジムと戦う場合、これらの値を難易度として判定を行います。 ●パリー判定  一般NPCはパリー判定も“7”が出たものとして達成値を算出します。シールドを装備した機体に攻撃が命中した場合、攻撃側の達成値が防御側の[パリー達成値]を上回らない限り、シールドに攻撃が命中したことになります。  上記のジムは〈MS白兵戦〉の[攻撃達成値]14で、防御修正+3のガンダムシールドを装備しているため[パリー達成値]は17です。PCの[攻撃達成値]が18以上の場合、攻撃は機体に命中しますが、15〜17の場合はシールドでパリーされたことになります。  一般NPCがシールド以外のもの(武器や腕など)を使ってパリーを行うことはありません。 ●回避失敗!  回避判定を行う際にサイコロで“2”(1のゾロ目)を振ってしまった場合、一般NPCの攻撃達成値に関わりなく、攻撃が命中したことになります。一般NPCの攻撃は直撃を起こしません。 ■命中部位  一般NPCの乗ったメカが命中を受けた場合、命中部位表を振らずに必ず“胴体”に当たったことになります。大型艦船の場合は“艦体”、その他のメカの場合は“機体”か“車体”に命中します。それらがない場合は[装甲値]と[耐久度]の合計値が一番高い部位を“胴体”として扱います。GファイターとGアーマーは、Aパーツを“胴体”として扱って下さい。  シールドが破壊された場合、防ぎきれなかった分のダメージは“胴体”に適用されます。  特定の部位を狙いたい場合は、通常ルールと同じように“部位狙い”(攻撃判定に−3修正)を行うことで、狙い撃ちが可能です。格闘戦/白兵戦武器は、ペナルティ修正を受けずに特定部位を狙って攻撃できます。 -------------------------------------------------------------------------------- ■簡易戦闘ルールの全面採用  軽めの戦闘ルールがお好みの方や、PCとザコ敵で違うルールを使うのはかえって面倒だという方は、PCと主要NPCにも簡易戦闘ルールを適用してみて下さい。ただし、戦闘がかなりデッドリーになりますので慣れるまではバランスに注意して下さい。  簡易戦闘ルールを全面採用する場合、以下のルールを適用します。 ●部位の変更  命中を受けたとき、【運勢値】を1点消費することで、命中部位を胴体以外の好きなところに変更できます。 ●誘爆判定  誘爆判定に失敗した場合、【運勢値】を1点消費すれば、判定を成功したことにできます。  [Nポイント]や[Aポイント]も【運勢値】同様に使用できます。 ■戦場の“風”  敵の達成値が固定した数値になる簡易戦闘ルールならではの選択ルールです。  簡易戦闘ルールでは、一般NPCが判定を行うサイコロの出目を“7”に固定していますが、この選択ルールでは、状況に応じて出目を変化させます。例えば、オデッサの戦いの後半戦を舞台にしたジオン軍シナリオを考えてみましょう。ゲームボード上には20機程度の61式戦車しかいなくても、周囲の味方は総崩れになり、連邦軍は(命中判定こそしないものの)四方八方から支援砲撃を受けながら意気揚々と前進してきます。このような“特別に不利”な状況では、連邦軍メカの出目がすべて“9”が出たことにしてしまうのです。逆に、戦闘開始前に敵基地に侵入して行った破壊工作が大成功して敵が浮き足だっているなら連邦軍の出目を“5”に落としてやることで、作戦成功を表現できるわけです。  この修正は判定の難易度に直結するため、プレイヤーは戦場の“風”を読むことができます。すべての敵の出目が“10”に固定されたことに気付けば、どんなプレイヤーでも引き時を悟るでしょう。 -------------------------------------------------------------------------------- 固定値     戦況 --------------------------------------------------------------------------------  4(−3)   敵は総崩れ。組織的抵抗力を失っている。 5(−2)   圧倒的優勢。友軍との連携も完璧。勝利は確実。 6(−1)   優勢な戦況。チャンスだ! 7(±0)   互角。両軍とも一定の戦意を保ち、ゲームボード外からの支援もない。 8(+1)   戦況は不利。何かマズイことが起こっている。 9(+2)   圧倒的な劣勢。強力な敵の大部隊に包囲されている。 10(+3)   絶望的状況。今すぐに撤退か投降か選択すべきだ。 -------------------------------------------------------------------------------- ●戦場の“暴風”  一瞬たりとも気が抜けないデンジャラスな戦闘を楽しみたいレフリーのための選択ルールです。サイコロの出目を“7”に固定するのではなく、各ターンの始めに振った値を、敵の一般NPC全てに使用します。無論、低い値を振ってしまって一瞬で敵部隊全滅とかなってしまう可能性もありますが、うっかり“決定的成功”を出してしまうとPCの方が壊滅的被害を被る羽目になるでしょう。1、2回なら【運勢値】の使い方次第で乗り切れると思いますが……。 -------------------------------------------------------------------------------- ■超簡易戦闘ルール!  [装甲値]の管理も面倒臭い、という方は、「簡易戦闘ルール」に以下の変更を加えた「超簡易戦闘ルール」をお試し下さい。一部の数値を計算しなおす手間はかかりますが、実際のセッションでの処理は格段に楽になります。とはいえ、ここまで変えると、もはや通常のガンダム戦記とは完全に別なシステムになってしまいますけれど。 ●命中部位  超簡易ルールでは、PC、一般NPC、主要NPCとも、すべての攻撃は必ず胴体に当たったことになります。命中部位表を振る必要はありません。  PCと主要NPCは【運勢値】を1点消費することによって、1回の攻撃によるダメージを全て無効化できます。ただしその場合、防御側が選択した胴体以外の部位1つが代わりに破壊されたことになります。 ●装甲値と耐久度  「超簡易戦闘ルール」では、メカは[装甲値]を持ちません。その代わり、メカの[耐久度]は、通常ルールにおける胴体の[装甲値]と[耐久度]の合計値になります。誘爆判定は通常ルール通りに処理して下さい。  シールドを装備している機体は、シールドの[装甲値]と[耐久度]の合計÷2(端数切り捨て)を“追加耐久度”として新たな[耐久度]に加算できます。ルール上、[装甲値]はシールドの追加耐久度から失われていきます。増加分が0以下になった時点でシールドは破壊されたことになります。  “直撃”が発生した場合、[装甲値]を無視する代わりに武器のダメージが上昇します。[装甲値]が半分になる場合で+3、[装甲値]無視の場合で+6して下さい。“直撃”はシールドの追加耐久度でなくメカ本体の[耐久度]にダメージを与えます。  例:通常ルールにおける、MS-06FザクIIの胴体[装甲値]は6、[耐久度]は12ですから、超簡易ルールでの[耐久度]は18です。ザクは[装甲値]5、[耐久度]3のシールドを装備しているので、[追加耐久度]4を足して、最終的な[耐久度]は22になります。  このザクにビームスプレーガン(ダメージ12)が命中した場合、残り[耐久度]は10になります。[装甲値]半減の直撃があった場合ダメージは15で、残り[耐久度]は7、[装甲値]無視の直撃があった場合はダメージは18は、残り[耐久度]は4になります。  いずれの場合もダメージが[追加耐久度]を上回っているのでシールドは破壊されます。 ●パリー判定  超簡易ルールでは、PC、一般NPC、主要NPCとも、パリー判定を行いません。 ●ルナチタニウム  超簡易戦闘ルールでは、ルナチタニウム装甲を持つ機体やシールドは、ダメージが7キル以下の武器では一切ダメージを与えることができません。 ●連射兵器(MG)  超簡易ルールの連射兵器は、1発の追加命中ごとにダメージが+1されます(最大+4まで)。元のダメージが7キル以下の武器ではルナチタニウム装甲を持つ機体に一切ダメージを与えることができません。 ●クロスリンク(CL)武器  超簡易ルールのクロスリンク(CL)武器は、リンクした武器の数に関わらずまとめて1発の命中として扱います。武器のダメージは(CLの値−1)× 2だけ上昇し、またCLの値の回数だけ誘爆判定を行わせることができます。  ただし元のダメージが7キル以下のクロスリンク兵器では、ルナチタニウム 装甲を持つ機体に一切ダメージを与えることができません。 ●白兵戦用ビーム兵器とヒート兵器  超簡易戦闘ルールでは、装甲値の効果を下げるのではなくダメージそのものが増加します。白兵戦用ビーム兵器(EM)はダメージに+4、ヒート兵器(HW)はダメージに+2して下さい。 ●大型艦船  超簡易戦闘ルールでは、大型艦船の最終的な[耐久度]を2倍にして下さい。また、誘爆判定は通常の4D6ではなく、他のメカと同じ2D6で行います。  超簡易戦闘ルールを使用した場合、大型艦船がかなり沈みやすくなります。PCが母艦を失って途方に暮れるような事態を防ぎたい場合は、主要NPCの乗った大型艦船の最終的な[耐久度]に、[ASP]×10を足して下さい。 例:ムサイ級軽巡洋艦の艦体は[装甲値]12、[耐久度]40です。超簡易戦闘ルールでの[耐久度]は、(12+40)×2=104になります。 --------------------------------------------------------------------------------