ガンダム戦記 上級指揮戦術ルール --------------------------------------------------------------------------------  これは『ガンダム戦記』〈指揮〉〈戦術〉技能に、より具体的な効果を持たせることで、 シャアやランバ・ラルのような優れた指揮官の能力を再現することを目的とした選択上級 ルールです。  まだバランス面等テスト中のルールですので、後に予告なく変更が加えられる可能性が あります。御了承下さい。  本文書は『ガンダム戦記公式ホームページ』(http://www2.gol.com/users/tsuneo/ GUNDAM/index.htm)用に作成されたものです。著作権は有限会社トイ・インターナショナ ルならびに同書の著者に帰属します。 -------------------------------------------------------------------------------- ■上級指揮戦術ルール  優秀な指揮官は羊の群を狼の軍団に変える力を持つといいます。ガンダム・ワールドに おいて、前線指揮官は非常に重要な役割を演じてきました。ブライト・ノアやランバ・ラ ルのような優れた指揮官がいれば、部下たちは実力を100%以上発揮することができます。 百戦錬磨のスーパーエースたちにとってさえ、名将の指揮下にある部隊は恐るべき相手と なることでしょう。 ★上級指揮ルール  6レベル以上の〈指揮〉技能を持つキャラクターは、[コマンド・ポイント(以下Cポ イント)]という特殊なポイントを得ることができます。Cポイントは〈指揮〉技能レベ ル−5点です。例えば、〈指揮〉9を持つシャア大佐は、Cポイントを4点持っています。  Cポイントは、1点消費するごとに、Aポイントを1点消費したのと同じ効果を、指揮 下にある部下1人に対して与えることができます。  また、艦船の指揮官は、指揮している艦の誘爆判定において、サイコロを振った後でC ポイントを消費して、Cポイント1点につき2D6を判定の結果から差し引くことができ ます。 ●Cポイントの回復  パイロットの場合、消費したCポイントは出撃するたびに原点まで復帰します。  艦船から指揮を取っているキャラクターの場合、10分以上の“休憩”をとるたびに、原 点まで復帰します。 ●コマンダー・カスタム  “指揮官機”や“旗艦”と呼ばれる一部のMSや艦船は、指揮管制機能が強化されてい ます。こうした機体を“コマンダー・カスタム(Cカスタム)”といいます。指揮官がC カスタム機に乗っている場合、〈指揮〉技能によって得られる[Cポイント]の値を2倍 にすることができます。 Cカスタムの機体  連邦軍 MS ガンダム系列 艦船 ペガサス級 その他 ビッグトレー、ホバートラック型戦闘指揮車  ジオン軍 MS 全系列の“Sタイプ”および“中隊長マーク”のついた機体 艦船 ファルメル、グワジン級、ドロス級、マッドアングラー級 その他 ダブデ級、ガウ級  ここに挙げたのは標準的に強化型の指揮管制機器が搭載されている機体です。上の例に 当てはまらない場合でも、艦隊旗艦や隊長機には、Cカスタムが施されている場合があり ます(例:ティアンム提督専用艦タイタン、黒い三連星ガイア専用ドムなど)。連邦軍で プレイする場合などは、隊長格のPCに適宜Cカスタムのジムを配備するといいでしょう (「連邦軍は艦船や指揮車輌から指揮をとる」ことにしてしまうのも一興ではありますが )。 ●集中攻撃  指揮官は部下との連携によって“集中攻撃”を行うことができます。  まず、指揮官は1アクションを消費して集中攻撃の指示を出します。集中攻撃に参加で きるのは、〈指揮〉技能レベル×1人です(ただし、艦船や副座型の機体の乗員は、まと めて1人と数えます)。  次のターン、通常通りイニシアティヴを決定しますが、集中攻撃に参加するキャラクタ ー(以下「参加者」)は、その中で最も遅い者にイニシアティヴを合わせて同時に行動し ます(参加者内での行動順は指揮官が決定します)。  参加者は各自攻撃を行なって下さい。同じ部位に複数の攻撃が命中した場合、そのうち で最もダメージの大きいもの1つを基本値として、それに追加の命中数×1点の修正を加 えたダメージを与えます。2回のアクションを全て攻撃に使用する場合、それによる命中 も追加命中数に数えることができます。  例1: 4機のザクがマゼラン級を攻撃しています。武装はザクバズーカ(ダメージ 11)、120mmマシンガン(6MG)2つ、ヒートホーク(9+1HW)です。直撃はないもの の、攻撃はすべて艦体に命中。ザクマシンガンは3発ずつ命中します。この場合、ザクバ ズーカのダメージ11を基本値に、追加命中数7(マシンガン×6、ヒートホーク×1)を 加え、18ダメージをマゼランに与えます。  基本値以外の武器が直撃を起こしても、装甲値を1/2または0にすることはできません。 ただし、追加ダメージは、回避判定を10以上上回った場合で+2、20以上の場合で+4と なります。  また、誘爆判定にも修正が加わります。直撃1回(1発でなく)ごとに、誘爆判定のダ イスにそれぞれ+1D6/+3D6の修正が加わります。どんなに残りの耐久度が大きく ても、誘爆判定で振ったダイスで2つ以上(艦船の場合は4つ以上)“6”の目が出た場 合、必ず誘爆が発生します。  例2: 例1で、片方のザクマシンガンがマゼランの回避を10上回る直撃、ヒートホー クが20上回る直撃を与えたとします。この場合、基本値11+[通常命中のザクマシンガン :1ダメージ×3発]+[直撃のザクマシンガン:2ダメージ×5発]+[直撃のヒート ホーク:4ダメージ×1]で、28ダメージをマゼランに与えます。この攻撃でマゼラン( 装甲値14、耐久度65)の耐久度は52に減少します。このとき、誘爆判定は通常の4D6で はなく、8D6で行います。  ルナチタニウム装甲を持つ目標に対して、8キル未満のダメージしか持たない武器で集 中攻撃を行っても、追加命中には数えられません。ザクマシンガンでガンダムに集中攻撃 をしても、その装甲を貫くことはできないのです。 ★上級指揮戦術ルール  〈指揮〉技能は〈戦術〉と組み合わせることで、直接の指揮下にある部下の能力を向上 させます。出撃時または戦闘開始時に指揮官が〈指揮〉技能判定を行うことで、その戦闘 の間〈戦術〉技能レベル÷3(端数切り捨て)のボーナスを部下の技能に加えることがで きます。 行為判定 〈指揮〉技能 ボーナスの値 〈戦術〉技能レベル÷3(端数切り捨て) ボーナスの加わる技能 【反応値】技能(個人戦闘系)全て 【反応値】技能(メカ戦闘系)全て 〈運動〉〈隠密〉〈戦術〉* 〈知覚/観察〉〈尾行/消跡〉〈破壊工作〉  *……〈戦術〉技能へのボーナスは、不意討ちなどを行うときにのみ加算します。部下 がさらに下位の部下を指揮するために〈戦術〉を使う際には適用されません。  ボーナスを加えた部下の技能レベルは、指揮官の〈指揮〉を越えることはありません。 部下の技能レベルが元々指揮官の〈指揮〉レベル以上だった場合、ボーナスは一律+1に なります。 例:シャアはララアのエルメスの実戦テストのためにソロモンへ攻撃を仕掛けている。ラ ラアは〈航空機/シャトル操縦〉6、〈砲撃〉7を持っている。シャアの〈戦術〉は10レ ベルなので、部下の技能に+3ボーナスを与える。この場合、ララアの〈航空機/シャト ル操縦〉には+3ボーナスがそのまま適用され9レベルとなる。しかしシャアの〈指揮〉 は9レベルなので、ララアの〈砲撃〉は10でなく9で頭打ちとなる。 ●指揮範囲  指揮範囲は判定の達成値によって決まります。例えば、〈指揮〉5レベルを持つ指揮官 が達成値15を出した場合、20ヘクス以内にいる部下を指揮できます。  指揮官が掌握できる人数は、〈指揮〉技能が4レベル以下の場合でレベル×1人、5レ ベル以上の場合でレベル×2人、10レベル以上でレベル×3人です。ただし、艦船や副座 型の機体の乗員は、まとめて1人と数えます。 戦術指揮範囲表 達成値 指揮範囲(ヘクス) 5以下 大失敗 9以下 失敗 10 〈指揮〉レベル×2 15 〈指揮〉レベル×4 20 〈指揮〉レベル×8 25 〈指揮〉レベル×20 30 〈指揮〉レベル×30  複数の指揮官の指揮範囲に入っていても、ボーナスは重複しません。直属の上官の〈指 揮〉〈戦術〉技能に応じたボーナスだけが適用されるのです。  ボーナスを受けるためには、部下は指揮官の指示に従っていなければなりません。命令 に反する行動をとっている場合、ボーナスは適用されません。レフリーはミノフスキー粒 子の濃度や戦況に応じて判定にペナルティを与えても構いません。部下の信頼を得ていな かったり、反抗的な態度をとっている場合もペナルティを与えるべきでしょう。 ●〈指揮〉判定に失敗した場合  〈指揮〉判定に“失敗”した場合、指揮下の部隊は〈戦術〉ボーナスを受けることがで きません。  指揮官は2D6アクションを“体勢を立て直す”ために消費することで、再び〈指揮〉 判定を行うことができます。成功すれば、その次のラウンドから通常通りに〈戦術〉ボー ナスを得られます。“体勢を立て直す”アクションは、連続して行う必要はなく、合計ア クションが必要数を満たした時点で再判定を行えます。  判定に“大失敗”した場合、指揮官は作戦ミスを犯したことになります。“失敗”の効 果に加え、体勢の立て直しに成功するまで、指揮下にある部隊は全ての判定に−1のペナ ルティを受けます。 ●効果の終了  以下の状況が発生した場合、〈指揮〉の効果は終了します。  1:指揮官の乗った機体が破壊された場合  2:指揮官が死亡ないし意識不明になった場合  3:指揮官が指揮を放棄した場合  4:指揮官が補給のために着艦したり、休憩をとっている場合  指揮官がいなくなった場合、新たな指揮官や副官がいれば、〈指揮〉判定に“失敗”し た場合と同じ手順で体勢を立て直すことができます。ただし、必要なアクション数は1D 6ですみます。   ●〈指揮〉判定のやりなおし  レフリーは、〈指揮〉判定の結果が悪かったからといって、すぐに母艦に戻って判定を やりなおすという“ルールの抜け穴”を認めるべきではありません。戦闘が開始されるか、 作戦が一定の局面を迎えるまで、キャラクターは自分が“判定に失敗した”ことには気づ かないのです。  また、戦況が劇的に変化した場合(味方の増援が到着した、敵が秘密兵器を使用した、 など)レフリーはボーナスやペナルティを与えて〈指揮〉判定をやり直させて下さい。結 果が失敗、大失敗の場合、部下が功を焦って突出する、士気を喪失して逃げ出すといった 不測の事態を発生させると良いでしょう。 ★〈戦略〉技能について  〈戦略〉技能は、大軍を指揮する将軍や提督にとっては極めて重要です。敵の戦略を読 み、裏をかき、適切な兵力を適切な場所に配置することを可能にする技能……というと便 利そうですが、普通PCはMS隊の指揮官どまりなので、〈戦略〉技能を本来の意味で活 用するチャンスはありません。  PCにとって〈戦略〉技能を持っていることの利点は、“より広い視野で戦場を見渡す ことができる”という点につきます。高い〈戦略〉を持つキャラクターは、ある程度の情 報が得られる環境にあれば、将棋盤を見下ろすように戦況を把握することができるのです。 基地で戦況報告を受けて「敵の動きがおかしい」ことに気づく、出撃前に作戦を聞かされ た時点で「自分たちは捨て駒にされる」ことが解るなど。クレバーな“プロの軍人”を演 じたい熟練兵プレイヤーにとって、〈戦略〉技能は役柄を演出する上で粋なエッセンスと なるでしょう。