親知らずとは

親知らずの正式名称は第三大臼歯です。一番奥ある奥歯で、萌出時期が通常19〜21歳ごろで、いつ生えたか親が分からないのでおやしらずと呼ぶそうです。
近年、日本人の顎の大きさは小さくなる傾向があり、親知らずが正常に生えない人が多くなってきました。斜めにはえたり、一部歯ぐきから顔を出している状態の親知らずは、お手入れが十分にできないため、周囲のはぐきからバイ菌が入って、炎症を起こします。
これを智歯周囲炎と呼びます。
繰り返し炎症を起こすようなケースは、抜歯する必要があります。



智歯周囲炎

親知らずの周囲の歯肉に感染することによって起こります。
20代の若い方にはよく起こる症状ですので軽く見られがちですが、
重症化すると口が全く開かなくなったり、物を飲み込めなくなったりすることにより
全身状態が悪化し入院を必要とするケースもあります。
顔がはれてきたら要注意です。
切開を行い十分にうみが出るようにする処置(ドレナージ)や点滴などが必要です。
早期に受診してください。



親知らずの抜歯

親知らずの抜歯は、口腔外科の基本的な処置ですが、近くに重要な血管や神経などがあり
トラブルの発生しやすい処置です。
上の親知らずの場合、副鼻腔に穿孔し蓄膿症を続発させることがあります。
これは、抜歯の際に見落とすことなく閉鎖術を行うことにより回避することができます。
また、下の親知らずの場合、経験の豊富な口腔外科専門医が抜歯しても1000例行うと約7例程度下唇のしびれが発生し、その半数は後遺症として症状が残ってしまいます。
これも、適切な対応を早期に行えば、不幸にして起こった後遺症の程度をできるだけ軽度なものにすることが可能になります。
ですから、以上のようなリスクについて十分な説明を受けご自分の親知らずのリスク度を十分把握すること、また問題が生じたときに適切な対応ができる医療機関を選ぶことが大切です。
そういった意味でも、特に難易度の高い親知らずの抜歯については、口腔外科専門医のいる医療機関で受けられることをお勧めします。