「土地家屋調査士」の概要

土地家屋調査士の制度ができて50年以上経ちますが、世間に広く知られているとは言い難い知名度です。 土地家屋調査士を簡単に表現すると、次のようになります。

1.土地・建物の所有者に代わって、表示に関する登記の申請手続きをする人
2.土地・建物に関する調査・測量をする人
3.土地境界に最も詳しい人

<表示に関する登記>
表示に関する登記とは、「土地や建物がどこにどれぐらいあるのか?」 つまり、土地や建物の位置や面積、用途等を登記簿上に明らかにするものです。そして、これを「業」として行なうことを認められている唯一の資格者が土地家屋調査士です。

<登記簿>
登記簿は法務局に保管されている公簿(公示するための帳簿)で沢山の種類があります。その内の不動産の登記簿には、土地登記簿と建物登記簿の2種類があり、その表題部と呼ばれる部分に、表示に関する登記の記載がなされます。下図は登記簿謄本の例です。

登記簿謄本

▼マイホームを建てるとき、土地家屋調査士はこんな形で関わっています

土地家屋調査士は、マイホームを建てるときに深く関わっています。各場面でどのように関わっているのか、他の資格者も含めて表にしました。

場 面
土地家屋調査士
他の資格者
土地を
買う時

土地境界を公正な立場で確認し、
土地境界確定図を作成します。
宅建業者:売り買いの仲介をします。
不動産鑑定士:適正価格を計算します。
行政書士:役所提出書類を作ります。
税理士:税金を計算します。
司法書士:権利の登記、抵当権設定等
の登記をします。
建物を
建てる
とき

境界立ち会いや建築敷地に接する
道路についての諸手続のお手伝い
をします。
建築士:建物の設計等をします。
調査および測量の結果を基に建物
の表題登記を申請します。
司法書士:権利の登記、抵当権設定等
の登記をします。

▼こんな時は、土地家屋調査士にお任せ下さい

土地家屋調査士は、土地や建物に関する調査・測量の専門家ですので、土地や建物に関する相談事は真っ先にお近くの土地家屋調査士にご連絡ください。適切なアドバイスを得ることができます。

こんな時
土地家屋調査士がお役に立ちます
土地を買うとき
買った土地の境界がわからずトラブルになることがあります。土地家屋調査士は、あなたの大切な財産を守るため、境界杭を埋設し、土地境界確定図を作成します。
建物を新築したとき
建物を建てたときは、最初に「表題登記」の申請をしなければなりません。「表題登記」とは、どこにどんな建物があり、それが誰のものか登記所(法務局)に申請するものです。
一つの土地を幾つか
に分けたいとき
土地の一部を譲るときは、「分筆登記」が必要です。その際、まわりの土地所有者と立会をして境界を確認の上測量し、登記所(法務局)に申請します。

▼土地家屋調査士とよく似た仕事

土地家屋調査士とよく似た仕事をする資格者もいますのでその違いを紹介します。

よく似た資格
土地家屋調査士との違い
測量士
どちらも測量を行いますが、登記手続を前提とした測量は土地家屋調査士が行うことになっています。
土地家屋調査士は、土地境界の確認や登記をするための専門家です。
司法書士
土地家屋調査士は、土地や建物の現在の状況がどうなっているのかを特定する登記(表示に関する登記)を行います。
司法書士は、その土地や建物が売買や相続、贈与する場合などの権利関係の登記を担当します。

また、業務の内容から見て土地家屋調査士の仕事と勘違いしやすい事例がありますので参考にしてください。

勘違いしやすい業務
実際の窓口
不動産の取引価格の調査
不動産鑑定士会又はお住まいの県宅建協会
違法建築、住宅工事等の調査
市(区)役所建築宅地課又は建築士会
土地の地盤調査
地質調査会社

▼土地家屋調査士になるためには

土地家屋調査士になるためには、

(1)先ず法務大臣が行う土地家屋調査士試験に合格しなければなりません。試験に関する概要は次の通りです。

年齢、性別、学歴等に関係なく、だれでも受験することができます。
試験は毎年1回、8月中旬に筆記試験、11月上旬に口述試験が行われます。

 ●試験の内容

(2)めでたく土地家屋調査士試験に合格しても、まだ「土地家屋調査士」ではありません。土地家屋調査士は、土地家屋調査士法の規定により、土地家屋調査士会に入会していなければ業務を行うことができませんし、「土地家屋調査士」を名乗ることもできないのです。

(3)土地家屋調査士会に入会すると、「土地家屋調査士」として業務を行うことができるようになりますが、これがゴールではありません。開業=スタート ですね。