海外レポート

 

MAR海外特派員(登録メンバー)による、海外の美術館事情、展覧会等のレポートをご紹介していこうと考えています。ホームページをご覧のみなさんも、海外の美術館での発見、感じたこと等、ぜひお寄せください。

 


 スミソニアン博物館インタビュー

 ワシントンDCでMuseum Studiesを勉強している高橋綾です。場所がらもあってスミソニアンの職員の方が講師の授業や、スミソニアンで行われる授業もあり、その中でアクセシビリティー・オフィスがあることを知り、責任者の方にインタビューすることができました。その内容を簡単にお伝えしたいと思います。

 ご存知の方も多いかと思いますが、スミソニアン協会は16の博物館と7つの研究所を中心とする複合博物館組織です。そのスミソニアンに属する博物館のいくつかは全米で最も入場者の多い博物館に含まれます。そのスミソニアンの一部であるアクセシビリティー・オフィスですが、専任の職員は3人で、オフィスもとてもこじんまりしていました。それでもアクセシビリティーだけを扱う専門の部門があることは、評価に値すると思います。また職員は3人とはいえ、その活動は100人近いボランティアに支えられており、MARと同じようにボランティアによる協力が活動の軸となっているということは、この分野の特徴を良く示していると思います。

 このアクセシビリティー・オフィスでは、主に展示デザイン、施設面の建築デザイン、そして技術的なアドバイスを行っています。対象はあくまでスミソニアンに属する博物館ですが、外部からの問い合わせにも対応しているそうです。

 ハード面に関しては、スミソニアンはほとんどアクセシブルになっています。アメリカにはADA(Americans with Disabilities Act)と呼ばれる法律があり、公共的なサービスはすべてアクセシブルでなければならないことになっています。また、車いすが使える入り口を示した地図や、エレベーターの状態、駐車場などに関する情報は、ホームページや無料の案内冊子などにより常に手に入るようになっています。

 次に展示に関するアクセシビリティーですが、スミソニアンでは展示デザインのガイドラインを設けています。このガイドラインでは、展示ラベルや文字のサイズ、色、照明から展示台の高さや動線に至るまで、数字や実施の例をあげて細かく定められています。原則として、スミソニアンで行われる展示はすべてこのガイドラインに従わなくてならないことになっています。このガイドラインはWeb上で見ることができるので、興味のある方は見てみてください。(http://www.si.edu/opa/accessibility/exdesign/start.htm)

 また、そのほかのソフト的なサービスとしては、ツアーがあります。前もって予約することが必要ではありますが、それぞれの参加者に合わせた個別の展示ツアーを提供しています。これはすべての展示に対して行われており、参加者が1人でも頼むことができます。

 私は個人的に博物館でソフト面のアクセシビリティー・サービスを充実させて行く上で鍵になるのはボランティア活動だと考えているので、ボランティアについても色々お聞きしてきました。まずボランティアの募集自体は、スミソニアン全体のボランティア・オフィスがあるそうで、そこで募集されたボランティアがアクセシビリティー・オフィスや各アクセシビリティー・サービスに配属されるそうです。また、博物館でボランティアを導入する際に特に問題となるのがボランティアの教育・トレーニングとコーディネートだと思いますが、トレーニングに関しては、以前スミソニアンに勤務していて退職した方がボランティアで行っていらっしゃるそうです。専門家によるボランティアということになると思いますが、私はボランティアというと専門外のいわゆる素人をいつも想像していたので、これは目からうろこが落ちるようなアイディアでした。他になるほどと思った「専門家によるボランティア」にはABC Newsがあります。スミソニアンのアクセシビリティー・サービスで使われる録音関係のものは、ABC NewsとWMALという地元の放送局がボランティアでやってくれているそうです。このような技術提供のボランティアも日本でもどんどん取り入れていけるといいと思ったアイディアの一つです。

 最後に外部の博物館に対してリーダーシップを取るような活動はしているかをお聞きしましたが、特にそのようなことは行っていないようです。ただし、年に4・5回スミソニアンの職員を対象とするアクセシビリティー関連のシンポジウムを行っており、外部からの参加もできるそうです。また様々な問い合わせに対応するという形で、外部の博物館にもアドバイスをしているということでした。

 大まかではありますが、インタビューの報告でした。

 

インタビュー実施日:2000年9月20日

Interviewee: Janice Majewski, Smithsonian Accessibility Program Accessibility Coordinator

 

チェック参考ホームページ

◇スミソニアン関連

Smithsonian Institution(スミソニアン全体のサイト)

http://www.si.edu/

Smithsonian Guidelines for Accessible Exhibition Design (展示デザインのガイドライン)

http://www.si.edu/opa/accessibility/exdesign/start.htm

Accessibility at Smithsonian(スミソニアンのアクセシビリティー情報)

http://www.si.edu/opa/accessibility/start.htm

 

◇ADA関連

Uniform Federal Accessibility Standards (UFAS)(政府によるアクセシビリティーに関するサイト)

http://www.access-board.gov/ufas/ufas-html/ufas.htm

ADA Technical Assistance Program(National Institute on Disability and Rehabilitation ResearchによるADA関連の情報を提供するサイト)

http://www.adata.org/

 

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