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芸術には人の心や体をいきいきとさせ、生きるエネルギーを引き出す力があります。じっと耳をすましてみる、ゆっくりとからだを動かす、土にふれる、絵の具と遊ぶ、墨のにおいをかいでみる。 このワークショップは、日頃忘れかけていた感覚を揺さぶり、新たなものの見方・感じ方を発見し、表現の楽しさを体感する場です。ひとりひとりが持っている「可能性」を開花させることによって新しいコミュニケーションが生まれるきっかけをつくりたいと思います。そして、表現を通して、さまざまな場でのコラボレーション(共働作業)がはじまることをめざしています。 |
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□会期 1998年3月20日(金)〜22日(日) 2泊3日 □会場・宿泊場所 富士ゼロックス株式会社塚原研修所(南足柄市) □対象 □定員 100名(先着順) □参加費 一般:18,000円 学生:15,000円 (材料費含む) □宿泊食費 2泊6食付き(パーティー代含む) 15,000円 □主催 日本障害者芸術文化協会・富士ゼロックス端数倶楽部 □協力 富士ゼロックス株式会社 |
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3月20日〜22日の2泊3日で、「富士ゼロックス端数倶楽部」との共催により「エイブル・アート・ワークショップ'98」を開催しました。全国各地から、111名の方々が参加してくださいました。 初日の午前中は、春の嵐にみまわれ、一部電車がストップするなど波乱のスタートでしたが、昼過ぎにはとてもくっきりと美しい虹がかかり、まるで、エネルギーが渦巻くこのワークショップを象徴するような天の恵(?)でした。 ワークショップは、下記の6つのプログラムから3つを選択し、体験していただきました。 |
■選択プログラム
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<絵画 心で描く> [サイモン 順子] アート・カウンセラー。日本障害者芸術文化協会が開講している自由な創作空間『アトリエ・ポレポレ』で「アート・サポーター」を努める。障害をもつ人たちの作品展のコーディネイトなども手がけている。 落書き気分を思い出そうと、まずは「へのへのもへじ」からスタート。頭でなく心のままに描くことの気持ちよさを体験していただいたようでした。 |
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<書 躍動する墨> [南 明容] 書家。書の伝統的な枠組みを打ち破りフリーの書家として、障害をもつ人たちの書による芸術家集団『Group文字屋(もんじや)』の創設に関わり、現在顧問として制作発表等に助力している。また、創作活動「えん」の一員としてさまざまなコラボレーションによる作品の発表を国内外で行っていた。 ガムテープで体を巻かれ、利き手でない手を使い、思い通りに動かない状態で、大きな紙に挑みました。皆さん大胆な線に自分で驚いているようでした。"うまく書こう"という意識というものが、実は気持ちを縛っているのでは、と気づかされました。 |
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<共同制作 表現の実験工房> [藤野 忠利] 画家、現代っ子センター主宰。『現代っ子センター』は「教えない、困らす、不便を与える」をモットーにしている絵画道場。150名のメンバー(3才〜高校生)と面白アートを制作・創作している。 大きな素材にグループで取りかかる、次々にいろいろな素材にチャレンジする、難しいことを考えるスキをつくらず、瞬間的に集中してどんどん制作していくうちに、いつのまにか無我夢中になっていました。 |
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<音 音つくり音あそび> [高野 昌昭] 自然音研究家、音響プランナー、音あそびの会代表。木や土、石など身近な素材を加工した独自の「音具(おんぐ)」を用い、水滴の音や風の音「地球の声」を再現している。各地で「自然音」演奏を行うかたわら、アフリカの木琴『バラフォン』をかついで街頭演奏。音を通して、地球上での人間の在り方を問いかける。 自然素材の音具から自然の中にある音を思い出しました。やすらぎをもたらす音がからだと気持ちをほぐし、やさしい気持ちにさせてくれました。 |
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<クレイワーク 土との対話> [清水 啓一] 陶芸家。13年にわたり授産施設「つつじ共同作業所」内の『善人工房』で2人のアーティストと共に制作活動を行う。"エイブル・アート"関連の展覧会やクラフト展など、障害をもつ人たちの芸術活動の支援を続けている。 顔をモチーフに喜怒哀楽の表情を「イメージを簡略化する」「デフォルメする」「増殖する」などをキーワードに粘土という素材を通して表現しました。それぞれの作者の個性が表れたみごとな「顔」たちがずらりとならびました。 |
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<身体表現 からだの声を聴く> [風姫] パフォーミング・アーティスト。からだの動きと場所、音、ことばとのかかわりについてさまざまな試みを続けている。国内の他、トンガ王国、韓国、アメリカでの公演も行っている。 まずは足の指の先からゆっくりとほぐしながらじっくりと自分のからだを感じていきました。"あー"という自分のからだから出る声に耳をすまして聴いてみました。そしてその声が他の人たちと共鳴することに不思議な心地よさを感じ、言葉ではなくこのような"響き合う"コミュニケーションもあるのだと発見しました。 |
■全員参加によるプログラム
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「五感をほぐす」 [高野 昌昭] 自然音研究家、音響プランナー、音あそびの会代表。木や土、石など身近な素材を加工した独自の「音具(おんぐ)」を用い、水滴の音や風の音「地球の声」を再現している。各地で「自然音」演奏を行うかたわら、アフリカの木琴『バラフォン』をかついで街頭演奏。音を通して、地球上での人間の在り方を問いかける。 |
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「フリーディスカッション」 |
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「作品と意見のギャラリー」 ワークショップで生まれた作品を展示して研修所をギャラリーに変身させ、講師の方々のお話しを伺いながら、みんなで鑑賞ツアーをおこないました。 |
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「鑑賞 見るってどういうこと?」 [服部 正] 兵庫県立近代美術館・学芸員。「美術の中のかたち−手で見る造形」などの企画を手がける。美術史家からの立場で「アウト・サイダー・アート」の研究をしている。 |
このワークショップは「富士ゼロックス端数倶楽部」よりご協賛をいただき、また昨年に引き続き「富士ゼロックス株式会社」のご協力により同社の塚原研修所(神奈川県)を会場として無償でお貸しいただきました。端数倶楽部のメンバーもボランティアスタッフとして約30名の方々がご参加くださいました。
参加者のみなさんはどんなこと発見してくださったのでしょうか。感想をご紹介させていただきます。(アンケートから一部抜粋)
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●正直に言って、参加する前は、ハウツー的なことを勉強したい、持ち帰って活かせるものを身につけたい、などとアサハカに思っていました。でも、そうじゃない。原点にもどって表現したい気持ちを改めて認識して、解放して、そこから全てが始まるのだと実感することができました。 ●自分を縛っているものが、少しほどけたように思います。サイモン先生もおっしゃっていましたが、障害のある人ない人、皆がいっしょにいて、エネルギーが盛り上がってくるのではないかといつも思っています。 ●自分のありのままの姿を認めて生きられる楽しさを強く感じられるワークショップでした。この体験をこれからの生活にどれだけ出していけるのか。間違っていると頭で理解していても、ことばや行動に出せない日常生活があり、そこをどのようにしていくかが、これからの課題だと思っています。美しさを美しいと、喜びを喜びと感じとれる感性が失われている、あるいは忘れられている(自分を含めた)場が多いように思えます。ことばや行動にする場すらあたえられていないたくさんの大人や子どもがいるのではないかと思います。 ●それぞれ違った囲われた世界で生きるような日本の社会でなく、多かれ少なかれ皆一緒だ、そして一緒ならばこその社会なのだと思える橋渡しが何かできないかと今考えています。ひとつひとつの「音あそび」「共同制作」「身体表現」と充実していて心も体もときほぐされました。できるだけ多くの人がこのような"心と体の旅"をできると少しは社会も変わるのかなとも思います。 ●楽になることと、心が動き出してくることの道筋を充分味わいました。自由な表現は、不自由な表現をしている自分を見つけられることから始まると思います。不自由な自分を見つけると、とても緊張しますが、この緊張が心を揺さぶることもあります。私はある一瞬で自分の心が動き出したのを感じました。おさえることができないぐらいの心の揺れでした。 ●どのワークショップでも同じだと思えたのは、疑問(テーマ)に対して一つの答えを出していこうとせず、先生方のねらいは、一枚の紙や布や一つのスペースの中でいろいろな人が共有できるものを体験を通して感じてもらおうということだったように思います。ただ、行われた活動は日常的なことではありません。しかし、日常(自分や社会・・)を客観的に見直す機会であったのかなと思っています。そしてそのことで障害のある方に対しての誤解が取り除かれて、いずれ今までにない社会の在り方が出てくるようにも思います。 |