TWEED TONE(TM) DELUXE 5E3

 5年ぶりになるのだろうか。「TWEED DELUXEのクローン」を再発売する。目標は月産2台。もちろん回路は僕のお気に入りの5E3である。 しかしながら今回はさらに数多くの音質向上をはかっている。音質はいつでもレコーディング・レンタルで 持ち込んでいる1958年のMODされた物と同様。 もちろん以前発売していたTWEED DELUXE 5E3の仕様でも十分に良質なサウンドなのだが、今回のヴァージョンには僕個人と多くのプレイヤー、 エンジニア達が絶賛する僕の所有するオリジナル5E3を上回るパーツのクォリティを持たせ、より音質を良くしてある。 多くのこのタイプのアンプは僕にとっては「あたり前過ぎるパーツ」で作られているせいか、残念ながらそのままでは僕の好きな音質にはならない。 よりアコースティックで太く艶があり、さらに力強いディストーションを持たせるためには少しばかりの知恵と手間が必要となる。 そして何よりも音楽とプレイヤーに寄与するという意識を持たなければならない。今回の生産はこのタイプでは僕自身の最終の仕様となる。 このアンプの持つ音質が良質であり、そのため数多くのレコーディングで使われてきたことは事実であり、そしてそれは何よりも「僕の好きな音質」なのである。 通常僕がレコーディングに推薦するのはこのアンプ とTWEED BASSMAN 5F6Aなのだが、多くの場合BASSMANでリズムを、 そしてDELUXEでリフとリードを録音することになる(もちろんこの限りでない場合もあるが)。 このコンビネーションはギター・サウンドにおいて理想的な音質となっている。 しかし、もちろん弱点も持っている。そのうちのひとつは音源であるギターが貧弱な音質の場合、決してこのアンプの音質は貴方にとって理想的とはならない。 また貧弱な音質といわれる安価な弦を使用している場合も同じ事が言える。音源には必ず最大限のコストをかける必要があるのだ。 そしてもう一つの弱点は「このアンプは15Wの出力である」ということ。ただし15Wがどのくらいであるかは皆さん自らが体験していただきたい。 おそらく通常での使用では十分な音量だろうが対策としては通常使う事のないエクストラ・スピーカー・ジャックをラインアウト・ジャックにしてある。 これで出力不足の場合の問題は解決できる。このジャックから他のアンプにつなぎ、音量を決めれば良い。またレコーダー、PAにそのまま送っても良い。 音質はこのアンプのコントロールでブレーク・アップさせれば良いのである。それでは次に仕様について説明しよう。

電源:100V仕様となっている。希望により120V、220V、240Vに変更する事もできる。また、電源ケーブルは支給によりさらにハイ・グレードの物を取り付ける事もできる。

チューブ:全ての取り付けられた真空管はUSA製のNOSであり、フェイクの物は使用しない。 また、サービスの整流管は5Y3のみロシア製となっている。後ろから見て右側から12AY7、12AX7、6V6GT(2本)整流管は5V4となっている。オリジナルは5Y3な のだがここに5V4を使う事により、さらなる力強さと太い音質を得る事ができる。また初段の12AYは12AT、5751、12AX7と替え、ゲインを増やす事もできるが、音質は濁ってくる。また、スペシャル・チューブ・リクエストがある場合はホーム・ページのTUBE LISTから選ぶ事もできる。

インプット:経験からここの部分の不良は多く発生する。そのため各インプットの1にはMIL(ミリタリー)規格の12Aを使用し、20,000回の抜き差しを保証している。さらに音質を良くするためこのMIL12AにCRYO処理を施してある。インプット2は通常のスウィッチクラフト未処理12Aとなっている(いずれにせよ2のインプットはほとんど使用しないだろう、ということで)。

スピーカ・アウトプット:8オームとなっている。このジャックはCRYO処理された12Aを使用している。 MIL(ミリタリー)規格でないのはめったに抜くことはないと予想されるためである。

ラインアウト:後ろから見てスピーカ・ジャックが挿されていないアウトプット・ジャックがライ ンアウトとなる。ここから他のアンプにつなげこのアンプで好みのトーンを作り、増設したアンプで音量を決める。またレコーダー、PAに送っても良い。ただしこのアンプのスピーカは必ず繋げておかなければならない。

コンデンサーと抵抗:コンデンサーは音質に大きな変化が出る。肝心なところのコンデンサーはすで にお馴染みのカスタムコンデンサーCAP2 418Pを使用している。また抵抗はもちろんカーボンだがマッチングさせてより音質をスムーズにしてある。

スピーカー:スピーカは僕が最も多用するセレッション12Gアルニコを使っている。こ のスピーカはVOXブルー・ブルドックと同等の物である。太くメローなミッドレンジと厚みのある低音、ギター・サウンドにとして一番適している物だと思う。ジェンセンもそうなのだが「ギターサウンドはやはりアルニコ・マグネットが 良い」と感じる事ができるはずだ。G12アルニコの供給 が遅くなる場合があるのでJENSEN P-12R、またはエミネンス・レッドコート・アルニコを取り付ける事もできる。この場合は価格は安くなる。

スピーカケーブル:短い物だが音質を左右するところには変わりない。短いから音質は変わらないと考える人もいるだろうが、経験すれば理解できるはずである。1974年のノーザン・エレクトリック・ワイヤーを10本ブレイデッドに手編みし、CRYOされたG&Hのプラグに接続してある。通常はこの部分にクロスワイヤーを使用しているのだが、音質を考えなければならない。

ハンダ:鉛を含まない近く発売予定のハンダを使用した。このハンダは銅を多く含み音 質的には厚く落ち着いた物となっている。いずれにせよ楽器の音質としては、すでに発売済みのクラシック・ソルダ−と同じように理想的な音質を持つ物であ る。

コントロール:ノーマルのヴォリームとブライトとのヴォリュ−ムそしてひとつのトーン・コン トロールから自在に音色を作る事ができる。ノーマル・チャンネルの回路はトーン・コントロールはパスしてある。

キャビネット:オリジナル同様、単板パイン材フィンガー・ジョイントとなっている。

テクニック:シンプルなアンプなので、それほど裏技があるわけではないが、いくつかのパターンを紹介しよう。まず、整流管はオリジナルの仕様では5Y3なのだが、僕は5V4を多用する。これを付属してある5Y3に換えると電源ケーブルを交換したよ うな変化を感じるだろう。音質はブルージーとなり、パワフルさが減少する。はずした5V4はオリジナルTWEED CHANPにも使う事ができる。またブライト・チャンネルを使用時にノーマル・ヴォリュ−ム・コントロールをまわす事により、音質と音量を変化させる事ができる。また4インプットであるため、チャンネルのリンクを使う事ができる。しかしながら個人的な意見としては、リンクして得られる音質は最初は良いが、次第に飽きる音質と感じるだろう。もちろん全ては個人の好みを優先する。

音質の向上:取り付けられている真空管はUSA NOSのため使われる真空管ブランドは一定しない。しかしながら量産メーカーが使わなければならない宿命の安価な真空管、小さなファクトリーとうたいながら苦労して集める事を必要としないロシア製、チェコ製、そして中国製の真空管よりは個性的なトーンを持つ60〜80年製の真空管を使用している。またホームページにあるTUBE LISTから高品質の物を選びだせば、より品質の良い音質を得る事ができる。ヒューズはスローブロー2Aだが、これをCRYO FUSESに換えればその音質はより向上する。

*注意

電源:100V
アウトプットインピーダンス:8オーム
真空管(裏側右から):12AY7、12AX7A、6V6GT、6V6GT、5V4(5Y3)
ヒューズ:スローブロー2A