CAP UP GRADE
 あなたの持つフェンダ−・ブラックフェイス・アンプは、回路内、またトランス、スピ−カ−、チュ−ブに問題が無ければ素晴らしいサウンドを持っている。それは歴史的なサウンドであり、今後もその音の価値は変わらない。しかし、誰もがその回路を変えずによりアップグレ−ドされたサウンドを要求する。実際に回路が変わればサウンドは大きく変わる。これが今日行われているモディファイであり、その価値もまた存在する。だが実行にはいろいろな壁を乗り越えなければならない。エンジニアを見つける、欲しいサウンドを確実に伝える、費用、出来上がりのサウンド、ストックのサウンドの放棄、この決定には、かなりのストレスを感じることだろう。できることなら現在のサウンドを維持しながら音質の向上を目指したい。多くのビンテ−ジ・アンプ・フリ−クやプレイヤ−はこれを望んでいる。違うサウンドが欲しいなら別のアンプを手に入れたほうが近道でありストックのサウンドを失わなくてすむ。つまり、このUPGRADES MODが最終的に一番ビンテ−ジアンプに、あるいはあなたに適したモディファイなのかもしれない。

 UPGRADES MODに使用するパ−ツについて説明しよう。サウンドを向上させるにはチュ−ブの交換が最初に思いつくだろう。しかしながらどのチュ−ブを選ぶかは個人の主観であり、また多くの中から探し出さなければならない。この作業は長時間の集中力と数多くのストック(少なくとも12AX7においてUK、USA製で100本以上のストック)を持つリペア−マン、ショップを必要とする。次に考えることはトランスであろう。確かにトランスはサウンドを変える大きなファクタ−である。しかし、もう一度考えていただきたい。あなたが手にしているアンプはその時気に入り購入したものだ。トランスの変更はストックのサウンドと告別しなければならない。変更は不良品でない限り推薦しない。ビンテ−ジ・トランスは素晴らしい音楽的な特性を持っている。UPGRADES MODで行うことはコンデンサ−のアップ・グレードと抵抗のマッチングが最重要となっている。通常プリCBSで使用しているコンデンサ−はダ−クブル−で白でスペックがマ−クされている。CBSフェンダ−(60年後期と70年代初期)にはにはブラウン・チョコレ−ト色のものが使われている。これは音質が悪い。これらをより良いコンデンサ−に変え、抵抗をマッチさせなければならない。
 私は、NOS(NEW OLD STOCK、オ−ルド未使用品)のチュ−ブとコンデンサ−が海外の市場に出たらできるだけ多く購入している。しかしながらこれは数限りあるもので今日では価格も急上昇している。むろん現在、生産されるコンデンサ−も常に試している。私の主観としては残念ながら日本製は価格にかかわらず電気的特性は良いのだろうが、音楽性に欠ける。とくにギタ−・アンプの中Sに使用すると何かが足りない。おそらく倍音と押し出しだろう。ドイツ製レ−ダ−シュタイン社の(ERO)ものは優しくなってしまいロックン・ロ−ルしない。また通常手に入るスプラグ社の工業オレンジ・ドロップ(現在ではスプラグ社で作られておらず、それらは上部にしわが寄っている)は少しばかりハイエンドの倍音が少ないように思う。素晴らしい音楽性を持つコンデンサ−はNOS以外にないのだろうか。TWEED TONE AMPで使用するスプラグ715Pよりも良いものはないのか?こんな事からオ−ルドスペックのスプラグ418PをUSAスプラグにカスタム・オ−ダ−した。届けられたものは、豊富な倍音を持ちロ−が力強く押出される。この素材はポリエスタ−で作られる。まさに最高の音を持つカスタム・コンデンサ−だ。このコンデンサ−によってMODが可能となった。あなたのフェンダ−はよりイキイキと力強くなる。

 まずフェイズ・インバタ−部分の抵抗をマッチさせる。抵抗には誤差がある。例えば1000 kΩで5%の誤差がある場合、1050kと950k になる可能性もある。この事はマッチド・チュ−ブへのアンバランス・シグナルを送り出すことになる。また0.1MFのコンデンサ−はふたつがマッチドでなければならない。ここに誤差があるとアンバランスの信号となり、かなり質の悪い音となる。ほとんどのマスプロダクトのアンプは誤差(電気的に許されている誤差)を持っている。ここをマッチさせることはマッチド・チュ−ブを使用することよりも大切なことだ。また当時のフェンダ−の物はより大きな10%の誤差を持つ物を使用していた。この変更はオリジナル回路を残し確実にサウンドが向上する。。このような変更は回路内で数か所おこなわれるべきだ。そしてアップグレ−ドされたサウンドにはびっくりするはずだ。ト−ン回路にはプリCBSのフェンダ−にも非常に良くないンデンサ−が使われている部分がある。なぜこの部分にだけこのコンデンサ−を使用したのかは音質の面からは理解できない。これもまた変更の対象であり、サウンドは驚くほど良くなる。また250pFのディスク・キャップは粒だちの荒いサウンド(時にはビンテ−ジサウンドにマッチする)を持つが、強いディスト−ションの中でも良い音になるようにスウィ−トなシルバ−・マイカを使用する。また、特定のレゾナンスにチュ−ンすることも可能だ。
 その他、カップリング・キャップも音質のために換える。これでスタンダ−ドなMODは終わりだ。あなたのアンプは同じ仕様のアンプを持つ誰よりも素晴らしいサウンドとなっている。そしてそのサウンドはストックのサウンドを単純にアップグレ−ドした違いがあるだけだ。大切なものは何も失われていない。
 次にトレモロとリバ−ブのMODに移る。

 トレモロのMODはその音質を良くすると共に、たまにあるカチカチというノイズを取り去る。またリバ−ブはより美しいリバ−ブを得るためトランスデュ−サ−の固定とスプリングの接点の強化を行う。またここで問題のあるコンデンサ−もひとつだけ変更する。これによりサウンドとリバ−ブ効果が別れて聞こえたり、後からついてくるような印象はなくなり、ヒットされたシグナルのまわりにリバ−ブは存在する。
 この後は、ミドルのコントロ−ルに移る。

 このMODはミドル・コントロ−ルを持たない物におこなわれる。例としてデラックスはミドル・コントロ−ルは持たないものの、その値は5-7に設定されている。ベ−ス・コントロ−ルに取り付けられた6.8kの抵抗がそれだ。これを10kに換えてよりミドルをアップさせる。この値は22k(ストックの3倍程度のミドル)まで選ぶことができる。このMODが終わったら、ひとつだけ追加される機能のソウル・コントロ−ルの取り付けに移る。
 ソウル・コントロ−ルはEXTERNAL SPEAKER JACKを取り去り、この部分に取り付けられる。誰もこのジャックを使用したりしない。これは簡単な追加で、ラインアウト出力として利用できる。しかし、より実質的なト−ン・コントロ−ルができることを選んだ。ソウル・コントロ−ルは82kのフィ−ドバック抵抗に5kのポットを追加したものだ。これによりスタンダ−ドなト−ンにファットでリッチなト−ンを加えることができる。もちろんコントロ−ルを絞ればストックのサウンドは確保できる。
 このMODは、デラックス、デラック・スリバ−ブのスピ−カ−に対して行う。通常ユタ、オックスフォ−ドのフェライト・マグネット・スピ−カ−がストックなのだが、これをエミネンス社製アルニコ・マグネット・スピ−カ−にする。アルニコ・マグネット・スピ−カ−はTWEED FENDERに使われれており、最も音楽にマッチする。、まさにヴィンテ−ジ・ト−ンを再生する。ふくよかな低音と厚くブリリアントな高音は、すべてのプレイヤ−を虜にする。本来ならボイスコイルもペ−パ−を使用したものを使いたいのだが、ペ−パ−は熱を伝えないためプレイヤ−がフルアップでプレイした場合焼け切れることがある。このため35ワットのパワ−・ハンドリングを持つKAPTONヴォイスコイルを持つ12ALKを取り付ける。もちろん連続的なフルアップで使用しなければペ−パ−・ヴォイスコイルを持つ物も選べる。また、VOXブル−・ブルドッグを使用した場合、ミドルが良くなり、強い歪みの中での素晴らしいサウンドを維持することができる。しかしながら高価なところが問題でもある。いずれにしてもストックの物とは比較にならないほど音質が安定する。

 これで、あなたのデラックスはあなた以外の人が持つデラックスよりもはるかにアップグレ−ドされたサウンドを持つ。そしてストックのサウンドは失なわれていない。

 次に必要なチュ−ブさえあればだれでも簡単にできるト−ンMODを御紹介しよう。チュ−ブ交換の前には必ず電源をOFFにすること。

 フェイズ・インバタ−のチュ−ブ12AT7をはずし、同じところへ良質な12AX7を入れる。これであなたのアンプは以前よりゲインが上がり強い歪みを持つ。このチュ−ブはパワ−・チュ−ブに一番近いところにあるものだ。チュ−ブの交換時はチュ−ブの足をおらないように注意しなければならない。そしてそれは、正しくバランスのとれたチュ−ブでなければならない。

 どのアンプも最初のプリ・チュ−ブを換えることにより、ゲインを減し歪みを少なくすことができる。そのチュ−ブはパワ−・チュ−ブより一番遠く、アンプを裏から見て右側にある。このチュ−ブを12AU7に変えることによりクリ−ン・サウンドとなる。また12AY7に換えることは私の気にいっている方法だ。そのアンプがフェンダ−の2チャンネルを持つものだとしたら隣のチュ−ブがビブラ−ト・チャンネルのプリ・チュ−ブだ。したがってこの2本のチュ−ブを換えることにより。より幅の広いサウンドを持つことができる。
 より簡単な音質向上は裏からみていちばん右にある12AX7を抜いてしまうことだ。もちろんノーマルチャンネルの音は出ないくなるがこのチャンネルを使う人は少ないだろう。これだけで信号は再バイアスされて力強くなる。この抜いた真空管を先に説明した様にフェイズインバーターの使えば無駄な出費は何もなく音質が向上する。また、その音質が気にくわなければ簡単にオリジナルに戻すことができる。その後にCRYO FUSESを使用すれば格段の音質向上を体験できる。このMOD はお金がかかるものではなく決断により経済的で低リスクでより良い音質を得ることができるものだ。