自作RC飛行機の機体重心位置設定の方法

機体重心位置を決めるに当たって、M.A.C.を出さなくてはなりません
M.A.C.とは、主翼空力平均翼弦のことです。
また、M.A.C.は、機体重心位置だけではなく、飛行機設計に必要な
”尾翼容積係数”
を算出するためにも出しておかなければならない項目です。


主翼は特殊な物を除いて、胴体中心線を境に左右対称です。
ですから、片方の翼でここからは考えていきます。

まず、紙と鉛筆と定規があればできる、作図による求め方です。
ごく普通のテーパー翼を例題にします。

1 任意のテーパー翼平面図を書き、ここでは、最大翼弦をA、
  最小翼弦をBとし、おのおのの中点を線で結びます。
  (水色の線)

2 翼端の前縁から前に向かって最大翼弦Aと同じ長さの線A’を引き、
  翼中央の後縁から後方に向かって最小翼弦Bと同じ長さのB’を引いて、
  おのおのの先端を結ぶ線を引きます。(赤い線)
  水色と赤い線の交点をCとします。
  

3 交点Cを通る翼弦線を引きます。
  この線が、(グリーンの線)空力平均翼弦線です。

4 前縁から、M.A.C.上の空力平均翼弦長の25%の位置に点を打ち、
  そこから、機体中心線に垂線を引きます。



  機体中心線と、この垂線の交点が、空力中心点であり、この垂線が空力中心線です。


  機体の重心は、スケール機や練習機などひっくり返ったり、無茶なロールを
  しない、安定性を求めるタイプの飛行機であるならば、
  15〜25%M.A.C.あたり、
  ひっくり返ったり、アクロを望むならば、運動性重視の
  20〜35%M.A.C.に設定するのが一般的です。


  

単純なテーパー翼、デルタ翼、後退翼などは、この方法でほとんど対応できます。
実際の主翼は、翼端に丸みがあったり、フィレットが付いたりしていますが、
無視して問題ありません。

  

ところで、楕円翼、ダブルデルタ翼、鳥の羽のような翼、こういったタイプの物は、
作図法では、対応が難しくなります。
では、どうしましょう?

そのまえに、作図法で出した、C点は、なんだと思いますか?
ジツは、これは、その平面図形の重心点なのです。(機体の重心と混同しないように)
とすれば、平面図の重心点を通る翼弦線がM.A.C.と言い換えることができます。

最近のCADには、たいてい2次元解析の機能が付いています。
これを使えば、ある平面図の面積、重心点座標など、コマンド一発で出ます。
重心点が出れば、その点を通る翼弦線を引けば、M.A.C.の一緒上がりです。
どんな主翼平面形でも、あっという間です。
ダブルデルタだろうが、鳥型だろうが、渦巻き型だろうが
(そんなものつくるやついない)楽勝です。
なお、”翼弦”は機体中心線に平行に引きます。斜めになったら、翼弦線と言いません。

では、CADを持っていない場合はどうしましょう?
ともかく平面図の重心が見つかれば、いいんですよ!!

まず、段ボール紙などの、しっかりした均一の質量の物を素材にして、
その翼の平面図を正確に描き、切り取ります。
糸とセロテープをつかって、その段ボール翼をつり下げ、
翼が水平になる糸の取り付け位置、すなわち重心を探るのです。


翼面積を出したい場合は、同じ段ボール紙を10*10センチに正確に切り出し、
重量を計ります。
段ボール翼の重量を計り、切り出した正方形の重量で割ると、dm^2が出ます。

このユニークな段ボールチョキチョキ法は

ラジコン技術1993年7月号臨時増刊 
サンデー・フライヤーのためのRCフライト・ガイド

に、図解入りで紹介されてますので、詳しくはそちらを参照ください。
また、ここではあげていない、無尾翼機の重心についても記述がありますので、
ぜひご一読をお勧めします。
現在でも、この本は入手可能です。

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