お正月は、実家でレオとライムと妹と、のんべんだらりと
ひたすらごろごろして過ごし、3日の夕方、東京へ戻った。
翌4日の昼、それは起きた。
ライムの首からスリップカラーをはずそうとしたら、
いつになくいやがる。
ヘンだなと思いながらも抜き取ると、短く ”キャン!” と悲鳴をあげた。
え? なんで鳴く??
すると、見る見るうちにライムの首の左側が腫れて来るではないか!
外傷はないのに腫れてくる。
不思議なことに、そこにさわっても痛がりもしないのだが、
腫れているのは間違いない。
翌日になって、ますます腫れは大きくなっている。
午前中には小さかったのが、午後にはゴルフボールぐらいになった。
これはただごとではない。
しかし、当のライムは、そんなことドコ吹く風のような表情をしている。
その後、見ている間に大きくなってくるのが判るほどで、
いそいで近所の医者へ・・・・
車に乗せて医者に行くまでのたった10分ぐらいの間に、さらに大きくなり、
左の顔の下まで腫れはじめて、病院に着いたときには口がうまく閉じられないようで
涎がでてきはじめていた。
しかし、はらはらしているのはワタシだけ、当の本人は、きょとんとしている。
唾液腺膿胞でしょう。
それが診断であった。
以下は医者の談でやる。
「この現象は、何らかのきっかけで、唾液腺が破れ、そこから体液がにじみ出して、
皮膚と組織の間にじわじわたまってしまうのです。
原因は判っていません。 治療法? 首の周辺は網目状の組織になっているので、そのスキマに体液が入り込むため、注射器でぬきとろうったって、抜けるもんじゃありません。
破れといっても、裂けるような破れではないことがおおいので、造影剤を圧入しても、破れから出にくくて、
位置の特定すら難しいんです。
ですから、外科的処置はお勧めできません。」
じゃ、どすりゃいいのさ?
「腫れるままにしときましょう。腫れるだけ腫れたら、組織間の圧力が高くなるので、もれがとまります。
漏れが止まれば、破れたところは自然治癒する可能性が高いです。」
うむぅ。 治るとは言わなかった。 治るかも ってニュアンスだぁ。
「おそらく悪性の腫瘍は無いと思いますが、ちょっとだけ抜き取って、化膿と腫瘍の検査だけはしときましょう。」
注射器ブスッ!
「ほらね、どうやっても、ちょっとしか吸い取れないでしょ? 言ったとおりでしょ?」
ホントだ・・・・
ほっとくしかないのだろうか・・・
翌朝起きると、腫れはさらに酷くなっている。ソフトボール以上の大きさに!
夕方仕事から帰ってみると、おおおおおお、顔の左半分まで腫れちまっている!!!!!
ぶ、ブルテリアァァ
それも、左半分だけブルテリアァァ
右半分は、コッカー!
などと、ふざけている場合ではない!
その時間だと、主治医はいない。 すぐ近くに、時間外でも見てくれる医者が居るので、
急いで行く。
「これだけ腫れちゃったらたいへんですね。ぬけるだけ抜いてみましょう。」
(昨日やっても抜けなかったからダメだと思うけど・・・)
と思ってはいたものの、あまりの腫れように試してみることに・・・
なんだかピストルグリップの付いたごつい注射器を取り出して、トライしたけど、
やぱし、ちょっぴりしか抜けないんだな、これが。
結局お手上げ、ほっとくしかない。
その時に傷口を作ったので、、時々そこから絞り出すようにしてくださいと言われたけど、
出ないモノは出ない。
もう、腹をくくって、ほっとくことにしたです。
朝起きると、腫れは相変わらずだけど大きくなるのは止まったらしい。
散歩に行くと、左側だけあまりに重たいために首を右に傾げて歩く。
うう、なんとも痛ましいじゃないかぁ。
左側から見るとブルテリア
と、あほなこと言うぐらいしかてだてがないのよん。
唾液を飲み込めないので、のどが渇くらしく、水をいつもの3倍ぐらい飲みやがる。
んん、水を飲むからシッコがでる。
いつもなら私が帰って散歩に行くまで家の中ではしないのに、この時はしてあった。
でも、ちゃんとトイレシーツの上でしてあった。ずっとつかっていなかったのに、忘れていなかった。
なんとけなげなやつじゃ。
1週間ほどして、膨れている部分の下側が、心なしかふやふやしてきた。
その翌日朝、出かける直前に、ライムさんはそのふやふやしたところを掻いた。
そのとたん、そこが自然に破れて、
どどどどどどどどどどど〜
で、出る出る、一気に粘液状の液体が出まくること、ライムさんはびっくりして、
お座りしたまま固まっていた。
ワタシは有頂天で、「でろぉ、でろぉ、ぜんぶでちまえぇぇぇぇ」
とばかりにでるだけ絞り出したのであった。
その数分で、ソフトボールはほとんど外に出たようであった。
しかし、ブルテリア顔はまだそのままでやる。
夕方うちに帰ってみると、顔に残っていた分が首におりて、顔の腫れはなくなり、
おりた分だけ、首にゴルフボールぐらいたまっていた。
散歩に行くと、いきなり首の重量が無くなったので、こんどは左に傾いて
なんだかよろよろしている。
なんにせよ、負担が軽くなったので、一安心。
それから3日ばかりして、雪が降った。
ライムは雪遊びがとても好きでやる。しかし、ちょっとしか降らなかったので、ほとんど溶けている。
でも、せっかくだから、雪が残っていそうな五日市の奥まで連れていって、雪遊びをした。
首のゴルフボールはまだ残っていたけど、とりあえずダイジョウブのようだった。
1時間ほど遊んで帰途についた。
車の中で、また、首を書き始めた。
おおおお、やった、また出るかな!!
期待通り、でましたぁぁぁぁ。
そんなこともあろうかと、ティッシュペーパーとゴミ袋は運転中でもすぐ手が届くように
用意してあったのよぉぉぉ。
出た出た。絞り出した。こんどは、全部出きって、もとのライムに戻りました。
後日、医者に報告と検査の結果を聞きに行った。
「なに、全部出ましたかぁ! もう一安心。 ヘタにいろいろいじらなくてよかったでしょ?
あ、それから、悪性の腫瘍もありませんから、ダイジョウブですよ。」
帰り道、ふと、本間博士の最後の言葉を思い出した。(だれ?それ??)
「医者が、人間の寿命を左右しようなんて、おこがましいと思わんかね?」
これは、名医ブラックジャックの恩師、本間博士のいまわの際の言葉である。
わざわざ痛い思いをさせてて作った傷口は、全くと言っていいほど役には立たず、
掻いて自然に破れたところは、その傷口とは違う位置だった。
自然に破れたところは、かさぶたもすぐに取れちゃったけど、
医者が作った傷口は古いにも関わらず、かさぶたが取れるの遅かったデスはい。