ヌタ場転がりをご存じであろうか?
四つ足の動物が、泥地や、砂場で転がりながら、背中の虫をとったり
「かゆいのに手が届かないから、ころがってかく動作」
のことである。
動物によっては、自分たち専用のヌタ場があったりするらしい。

レオは、お風呂がとても好きである。
風呂場の扉をあけると、先に入って、蛇口をじっと見つめて座り込み、
しっぽをぱたぱた振って待っているほどである。
レオをお風呂に入れるために、あらかじめ体拭きようのバスタオルを
2枚用意しておく。
一枚は、風呂場を出たところに敷いておき、もう一枚は、手の届くところにかけて置いて、水切り用にする。
レオを洗って、浴室である程度拭いてから彼を解放すると、敷いておいたバスタオル
の上で転げ回り、自らカラダを拭くのである。
後ろ足で踏ん張ったまま、カラダをよじって、肩(背中)をタオルに
こすりつけるようにする
ので、その動作は、ヌタ場転がりと言うよりも、
何年も前にテレビで流れていた、”たばこのポイ捨て火を消す犬” の
火消しの動作にそっくりである。

ライムはお風呂が嫌い。大嫌いである。
レオと同じようにタオルを一枚は敷いて、もう一枚で体拭きをする。
ライムの場合は、拭いてもらうのもいやがる。いやでいやでしょうがないらしい。
適当なところで解放してやると、うれしさのあまり、どどどどどどどどっと
家中をかけまわり、ちょっと一息ついたところで、ベッドの上でヌタ場転がりを
しやがるのである。
このばあい、ホントにヌタ場転がりのような動作である。
拭いている というより、 ふざけて転げ回っている と言ったほうがふさわしい。
しかし、
実質的には、シーツでふいているんだよぉ。
おかげで、ライムを風呂に入れるには、それなりの覚悟がいるのである。

そんなライムも、レオと何度かお風呂を一緒するにつれ、
ごくまれに、レオのように、”タオルの上でからだ拭く”
ようなことをするようになってきた。
これは、なかなかかわいげがあることなのである。
シーツ濡れないし。

ある、日差しの強い日に散歩中、近所のこたろうくんと会った。
かれのうちのすぐそばで、じゃれさせていたのである。
しばらくそこの奥さんと話し込んでいると、突然ライムがヌタ場転がりを始めた。
正確に言えば、火消し動作のほうである。
なんでまた、コンクリートのなにもないところで、お風呂はいったわけでもないのに
そんなことをし始めたのだろうか?
ライムは屋外では、河原の土の上ですることはあっても、コンクリートのような堅い
ところでそんなことはしたこと無いのである。
なぜ??

疑問はすぐに解決した。
ライムが肩をこすりつけていたところには、
炎天下で干からびたミミズが
へばりついていた。

釣りをする方ならご存じであろう。
干からびたミミズの発する猛烈な臭気を!!!
ライムは、その臭気に惹かれたらしい。

そのあとうちに帰っても、ライムは肩から
えもいわれぬ香りを発していたのであった・・・・・

くっせえ!!! 
とてつもなく
くっせえよぉぉぉ。