8月15日に敗戦を受け容れずに戦争を継続したパラレルワールド。
アメリカ迎合による文化や言葉遣いなどを含めたアイデンティティの喪失に対する警鐘なんだろうね。
そして、戦ってこそ守れる矜持があるのではないかと言う提言。銀英伝でラインハルトから示唆される国家論に通ずる感もある。
一方で象徴としての日章旗に対する拘りは否定する。シンボルにではなく、行動にこそ主張が現れるか。
村上龍の文章って、句点が少ない気がする。戦闘描写などは正直付いていけない。
4章や8章の戦闘シーン、6章の暴動シーン、この辺は映像化されると楽で良いんだけどね。
最後に日ノ根村へ偵察に赴いた帰りに、なぜ村民が寝返るのか、その理由がいま一つピンとこないんだけど、
あの美しい女性が何かのメタファーなんでしょうが、そこまでは良く分からないな。
恐らく、ミズノ少尉も小田桐も助かるまい。主人公とて小田桐はアンダーグラウンド兵士ではないのだから。
となるとミヤシタは地下司令部に帰ることが出来たのだろうか。コンサート後の南富士への行程での戦闘に関して言えば
アンダーグラウンド兵士たちは弱すぎないか。最後に人間味を出そうとし過ぎたのでは?
防衛庁も省昇格し、北朝鮮や中東の核開発など世界は緊迫の度合いを強めている。
いつ、世界が5分進んでしまうかは誰にも分からない。