ゴールデンスランバー

伊坂幸太郎・新潮社

これはDVDも借りて見なければ。【→DVD借りちゃいました
「オーデュポンの祈り」よりも分かり易く、
「ラッシュライフ」よりもシンプルで、
「重力ピエロ」よりもスッキリとした感じ。

幕間に事件の20年後のジャーナリストの視点を挟む事で
読者に事件の一面が明かされる。
この辺りは、田中芳樹が銀英伝の中で後世の歴史家を活用したのに似てる。

「トゥルーマン・ショー」だっけか、こんなハリウッド映画無かったっけ?
巨大な国家権力に陥れられようとしている青柳を救う市井の一個人。
もちろん旧友らは分からないでも無いけど、将門くんや命を散らしたキルオらの
インセンティブにはややご都合主義も感じるけど、そんな事言ってたら
この一大エンターテインメントが成立しない。

今のところ、伊坂作品の中では一番面白くスイスイ読めたかも。
「ラッシュライフ」ももちろん面白かったのだけど、あちらの方が伏線が
入り乱れており、整理するのに時間がかかった。

ラストをどうするのかと思ったけど、悪くない。
事件から3ヶ月後に、ロック岩崎や、両親に届けられたメッセージが爽快。
最後に花◎

一つ気になったのは、会話のやり取りで文字数が揃う行が幾つか見られる事。
これは当然意図的なんだろうな。テンポ感を出そうとしたのかな。
だとすれば、結構秀逸なアイディアだと思った。偶然なら、それはそれで大したものだ。

(10/11/14)


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