手のひらの幻獣

三崎亜記・集英社

近所の図書館で借りてきた、「バスジャック」「廃墟建築士」に続く、図書館シリーズ第三弾。
フタコブリュウオウや、ヒノヤマホウオウに続き、今回はナナイロウツウオボエが登場。カッコいいネーミングには脱帽。
ポケ●ンもビックリだろう。

孤高なるが故に孤独なのだろうか。
このフレーズ気に入った。

恩田ワールドよりも好ましいのは、一貫してぶれなく最後まで完結するところね。
「コロヨシ?」と言い、架空小説なので、その世界観やルールに則って読むのは大変だし
十分に理解したかどうか判然としない部分もあるのだけど、とにかく面白い。
野崎のおっちゃんや、たくや君やゆみちゃんの連環は世界の奥行きを感じさせてくれるので好き。

黒幕だったSKエージェンシーの社長が実は姉でした、とか今更ながらのご都合主義な解も示された。
腫れ物に触るような日野原柚月の両親とのわだかまりも氷解し、もはや力を無くした2人。
そろそろこの世界も描き切ったのかな。柚月が惹かれるのは高畑さんではなく卓也。
この2人にようやく安寧が訪れるのか。

それでも根底に流れる政府への不信。
巨悪に抗おうとして、抗いきれない主人公。
この後も三崎ワールドでは、そんなキャラクターに会えそうな気はするのだ。

最後に。たくや君がウーロン茶と間違えてウーロンハイを飲んでひっくり返るシーン。あれはフェアでとても良かった。

(17/01/08)_


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