34歳最初の恩田陸。ハードカバーの時から分厚さが読み応えありそうな期待の一冊。
山本周五郎賞の受賞作でもある。しかして、その真価は。
私は既に恩田陸贔屓の恩田ワールドの住人のため、これはこれで楽しめたのだが、
恩田陸初心者が最初にこれを読んだなら、「何だこれ?」って事になるのかも。
技巧的であるため、業界の作家たちからは物珍しさを“奇抜な発想”と評価されるのだろうが
読者は直球を待ってる事もあるからね。
戯曲絡みである事が窺える序盤。「夏の名残の薔薇」に似た感じなのか。
いやいや同じ場面を視点を替えて再構築するのは「Q&A」に近いか。
本について、また書き手についてのテーマでミステリなら「三月は深き紅の淵を」や「木曜組曲」か。
どうしても類型化したがる私。
本を読むという行為が個人的なものである。
など、横断的な恩田陸ワールドのキーワードも散見される。
楽しみに待った価値はあった1冊だと思う。
私なりの解答はこちらから。