14年目 〜さまよえる仔羊達〜

昨年は世界戦略などと大口を叩きすぎた。そこで今年の目標はJリーグチャンピオンだ。 初心に返って先ずはリーグ制覇を最優先課題としよう。カップ戦とニューイヤーカップも当然合わせて狙うがね。 そして、今年こそ念願の大型FWを獲得しよう。

帝国総合製菓や、ビバレッジメーカなど新規スポンサーを含めて29億ほど出資頂いた。 そして、今年はこの強化資金がまるまる貯金に回せる訳だ。 主だった選手との契約は複数年契約のため済んでいる。 メニリティ監督との契約期間も、リバァセ スカウトとの契約期間もまだ残っている。 高嶋クンが遠慮がちに声をかける。「会長、長橋選手との契約更改ですが・・・」

お互いこうなる事は分っていたはずである。3度の打合せすら、予定調和の如く 長橋との契約は不調に終わり、彼はチームを去っていった。紛れも無くシュトルツの屋台骨であった長橋の退団。 3度もJ1最優秀評価点選手に輝いた選手の幕引きとしては淋しいものになった。 『品川シュトルツの宿将 長橋(29歳) 若すぎる退団』 『更なる若返り!シュトルツ最年長(29歳)長橋 退団』

「会長、区長からお電話です。区役所にお越し願いたいとの事ですが」 区長が一体なんの用だろう。あまり良い予感はしないが、区役所へ向うとしよう。 区長は開口一番「おぉ、マツオカさん。ま、掛けて、掛けて」 これは寧ろ嫌な予感が・・・

昨年のプラチナリーグの戦いぶりに、ラツィオFCのオーナーがラツィオ州の知事にシュトルツのホームタウンである 品川区との姉妹都市締結を訴えかけたらしい。ほぼ話しはまとまりかけている様なのだが、 品川区としては記念事業として姉妹都市記念公園を設立したいそうだ。その費用捻出のハナシと言う訳だ。 まったく食えない御仁だ。

「ラツィオ州と品川区の姉妹都市締結は、きっと貴方のクラブにも利益をもたらすと思うんだがね。 その代わりと言っては何だが、どうだろう。事業の件は?」「分りました。記念公園の趣旨は了承致しました。 当方としても出切る限りのお力添えをお約束しますよ」

結局、区長の懇意のゼネコン経由で7億の出資が必要となったが、1月下旬には記念公園が完成した。 そして、品川シュトルツにラツィオFCから交換留学の打診があった。 今すぐと言う訳には行かないが、来年の契約更改後に千代反田を学ばせに発たせよう。

その千代反田にキャプテンマークを預ける。 今年こそ一年間努めあげてもらおう。 サポータークラブは18万人を突破し、今年の予算は2億を超えた。 まったく嬉しい限りではあるが、この期待を裏切らないためにも、とにかくJリーグ制覇。 これは絶対条件だ。

今年の世界クラブランキングではシュトルツは6位下げて66位であった。 プラチナリーグの優勝で少しは順位が上がると思っていたが、確かに国内リーグ8位では返す言葉も無い。 しかし、クラブ人気指数は昨年から100をキープしており、地元密着のJリーグの理念に適ったチームではある。 品川区のサッカー人気指数も100に到達した。この調子で一年間乗り切ろうではないか。

制すべきJ1リーグに大分トリニータと鹿島アントラーズが返って来た。 代わって昔年の王者東京ヴェルディ、そして名古屋グランパスがJ2に降格した。 アントラーズに鳴り物入りで入団したのはDF須並。 京都パープルサンガもアルゼンチンのバスタマンテ、ドイツのフランクと精力的な新人補強を行った様だ。 私もFW、DFの新戦力に期待したのだが、チーム事情に適う選手は見当たらなかった。

日本サッカー協会から再びU23代表監督へのオファーが来たのも1月末であった。 心が揺らぎはした。果たせなかった夢よもう一度、である。 しかし、3年前に己の限界を感じた。もうシュトルツに専念しよう。18万人のサポーターが待っている。

2月に守護神岩下へリスボンFCから450百万で移籍話を持ちかけられた。 リスボンFCには何かとお世話になってはいるが、こればかりは承知できまい。 これで今後の留学に支障が無いと良いが。

先ずは国内。なのだが、やはり昨年の借りは返さねばなるまい。 <南米カップ>再挑戦である。 緒戦、サンサルバドルFC戦。私の決断を後悔させる事態が発生する。 前半、バイティンガーが相手のファウルを受け負傷。 メニリティ監督はボランチの位置に山形を送り出した。 アシモビッチ、森岡との連携は山形も遜色無い。3−1で念願の2回戦進出。

続く2回戦はサンチャゴFCである。大石が留学でお世話になっているとは言え、 負けてやる義理は無い。ここで全力を尽くしてこそ恩返しである。 と言う訳で水城が遺憾なく実力を発揮。そう言えば水城もサンチャゴFCに留学したのだっけ。 守備では千代反田が10.0評価で4−1と大勝。

昨年涙を飲んだのがメデジンFC戦。今年は準決勝での対決。 水城が3試合連続ゴールを挙げ先制。 しかし後半、森岡のチェックがレッドカードを受ける。そんなに激しいプレイだった様には思えないのだが。 10人になったシュトルツはリードを守れず失点。延長戦でも決着は付かず勝負は昨年同様PK戦に。 今年は岩下がキッチリ借りを返した。岩下が3人目を止めると、シュトルツは水城、千代反田、原、源、宮田の5人が 全員成功。5−3で決勝進出だ。

どうしてもタイトルを獲りたい。しかし相手は南米の強豪ブエノスアイレスFCだ。 昨年もこの大会を制している。私は臨時ボーナス1億円を心に決めた。 森岡の出場停止、バイティンガーの負傷欠場と、満身創痍のシュトルツへのカンフル剤はそれしかあるまい。 センターハーフに入ったのはジャビ。右に源、左はアシモビッチ。ボランチは山形である。 しかしブエノスアイレスFCの一気呵成の攻撃に守備がズタズタ。前半に岩下から3ゴール。 正直言って勝負はついた。後半ゴールマウスを守ったのは佐藤であった。ま、已む無し。佐藤もしっかり2ゴール許し 0−5と寧ろ気持ち良い大敗で準優勝に終わった。ハットトリックを喫したブエノスアイレスのFWバニョーリが 大会MVPを受賞した。シュトルツには準優勝賞金5億。

岩下はどうもPK戦で大活躍した後が良くない。 帰国後にマンチェスターFCを招いて行ったプレシーズンマッチでも3失点。 確かに格上ではあるけどね。そのマンチェスターFC戦で、森岡までもケガ。 おいおい、J1制覇が目標だと言うのにバイティンガー、森岡と中盤の攻守の要が離脱かよ。

但し落ち込むのはまだ早いようだ。 サンパウロFCとのプレシーズンマッチでは、ジャビをセンターハーフに据えた南米カップ決勝戦の布陣で臨んだところ、 先制は許したが水城が2ゴール挙げて逆転勝利。 森岡、バイティンガー抜きで海外の強豪に勝利したのである。 これは選手たちにも、そしてメニリティ監督にも大きな自信になっただろう。

直後の浦和レッズとのプレシーズンマッチがスコアレスドローだったのは頂けないが、 2月末には早くもバイティンガーがケガから復帰した。 医療施設を拡充した成果があったか。森岡のケガもいち早く治すために慌てて マッサージルーム医務室を9億かけて改善。

さぁ、Jリーグだ。 森岡を欠く開幕戦のセンターハーフは山形が努める。ボランチのバイティンガーはピッチに返ってきた。 柏レイソルをホームに迎え満員のサポーターの見つめる中キックオフ。 先制点は成長著しい原。ところが柏レイソルの2TOP黄、水原に連続ゴールを許し、前半はまさかの1−2。 後半に入ると山形と水城のスーパープレイが炸裂。 2人のパスワークで柏陣内を切り裂き、最後は水城がゴール。ここから怒涛の攻めといきたかったのだが、 逆に黄にカウンターを許す。流石昨年11月の世界選抜にノミネートされただけはある。 感心している場合ではないのだが、メニリティ体制で初の1stステージ開幕黒星。

1試合を終えて11位とスタートダッシュに失敗したシュトルツ。2節は同じく黒星発進のジュビロ磐田との対戦。 水城が前後半に1点ずつを挙げ、余裕の試合運びかと思ったが、ここからジュビロも意地を見せ岩下から2点を奪う。 2試合終了後の勝ち点は僅か1。 メニリティ監督との緊急ミーティング。 森岡を欠いているとは言え、あまりの成績に憮然とする私。 するとメニリティ監督から吃驚仰天の提案。

3節のパープルサンガ京都戦に千代反田の姿は無かった。 なんとメニリティ監督は調子の上がらないキャプテン千代反田をスタメンから外したのだ。 代わってCDFには和登が入る。格下相手と言う事もあろうが、効果抜群。 これまでの鬱憤を晴らす4得点で快勝。続く4節も同じスタメンで前半2−1。 後半からは満を持して千代反田が登場。このスタメン落ちが刺激になったか、千代反田は落ち付きを取り戻した。 山形のゴールを追加して3−1でようやく4位に浮上。

ここで森岡が復帰した。やはり医療施設の充実はケガ対策に効果があった様だ。 早速森岡がセンターハーフに入って大阪エステーラとの5節。 ホームでサポーターに応えたのはアシモビッチ。前半5分の早過ぎる得点はその後の展開を硬直化させ、 結局はこの1点が決勝点になった。森岡がケガで欠場していた間、セットプレイはCKアシモビッチ、 FK源が担当していた。まぁ森岡に比べると精度は著しく低く、 開幕の取りこぼしもそういった好機を逃がしていたからかもしれない。 ところが6節のFC東京戦で、自ら志願したと言う源のFKが美しい弾道を描いて直接ゴールに吸いこまれた。 なかなかやるものだ。2−0で仇敵を一蹴し、アウェーでの一戦は20%を超える視聴率だった様だ。

月間MVPは首位アビスパ福岡の呂比須。月間7ゴールが光る。 水城、原も僅差の5ゴールで後を追う。ベストイレブンにはバイティンガーと千代反田が選ばれた。 ここで興味深いのはガンバ大阪。この時点で既に3敗と精彩を欠いている。 昨年グランドスラム達成の清水エスパルスも既に1敗。

カップ戦も開幕した。1回戦は川崎フロンターレと対決。 アウェーの第1戦。原の2ゴールなどで3−1と先勝。本当に今年の原はキレている。 サイドバックの中村も積極的なオーバーラップで1得点を挙げ、この試合10.0評価を得た。

しかし7節のジェフ市原戦ではアシモビッチのゴールの後が続かず、後半ロスタイムに痛恨の失点。 延長戦も決め手を欠き、またしても引分けで勝ち点1に止まった。これで3位転落。 私の焦りを感じてか、スパイクだの、筋力増強マシンだの、いろんなメーカの営業がやってくるが門前払い。

カップ戦1回戦の第2戦。メニリティ監督は主力温存で佐藤、ジャビをスタメン起用。 連携も上々で水城、アシモビッチ、森岡、原と攻撃的なタレントが百花繚乱の活躍ぶり。 水城とバイティンガー、宮田、路木の守備陣が10.0評価とシュトルツ史上に残る1戦となった。

近年のベガルタ仙台は手ごわい。 FW間中とMF岩本の攻撃能力は大したもので、8節はその2人のゴールで2点のビハインド。 辛うじて45分に森岡が1点を返しハーフタイム。後半は仙台が守り固めてきたため、 ボール支配に勝るシュトルツが次第にペースを掴む。CKをバイティンガーに合わせて同点。そして原が逆転のゴール。 チームの雰囲気は否が応にも高まった。

9節の相手は開幕から首位をひた走るアビスパ福岡。 ともに守り固めてカウンターと言うゲームプランの様で前線にスペースが無い。 90分を終えてメニリティ監督がゲキを飛ばす。 「確かに点を取られる訳にはいかないが、我々は引分けでは意味が無いんだぞ」 やや疲れの見える源に代え、山形をピッチに。メニリティ監督の指示通り延長前半から前がかりに攻め続けるシュトルツ。 そして森岡が価値あるVゴール。しかしアビスパの勝ち点21には届かず勝ち点19で2位をキープ。

4月の月間MVPは大分トリニータのDF太崎宣輝。昨年のインターナショナルカップでは満足いく結果を 残す事ができずに悔しい思いをした選手である。シュトルツからのベストイレブンは相変わらず千代反田とバイティンガー。 そして高嶋クンから一つの情報が。今年の南米カップでMVPに輝いたブエノスアイレスFCのバニョーリが 母国ミラノFCに移籍したと言う。さすがセリエA。来年は絶対千代反田もカルチョの国に送り出そう。

ある日、執務室には地元ゼネコン数社、区の助役、品川に選挙区を置く代議士、そして日本サッカー協会の幹部が顔を連ねていた。 彼らの目の前には凡そ9万人を収容するスタジアムの建築図面が広げられている。 「私の目の黒い内に、このシュトルツスタジアムを建築したい」と言う事で88,000人収容と言う日本一の スタジアムの着工が決まった。 建築予算は総額80億強。キャッシュフローは5億になってしまったが、スタジアムが完成すれば入場料ですぐに元はとれるだろう。

新スタジアムの工事が進む中、チームはサガン鳥栖相手にカップ戦をよもやの2回戦敗退。 これが凋落の始まりで、リーグ戦もどん底に。 吉原が抜けて12位にまで落ち込んだガンバ大阪にこそ延長Vゴール勝ちしたが、 ヴィッセル神戸、清水エスパルス、大分トリニータと強豪、下位問わず無得点で黒星を重ねてしまう。 時には千代反田をトップに上げるパワープレイも試みるがゴール欠乏症に悩まされてしまった。 最終節の水城のゴールは焼け石に水で最終順位は4位で1stステージを終了。

14年1stステージ
優勝 清水エスパルス 勝ち点32 11勝4敗0分け 39得点15失点
2位 アビスパ福岡  勝ち点31 11勝2敗2分け 25得点15失点
3位 ベガルタ仙台  勝ち点29  9勝4敗2分け 23得点16失点
4位 品川シュトルツ 勝ち点27  9勝4敗2分け 26得点16失点
やはり清水エスパルスは強かった。エマラ、バロン、上田克己と言ったFW陣に市川、伊東、澤登を擁する中盤。 失点はやや多いが、あの攻撃のタレントは羨ましい。 守備で光るのはライバル大阪エステーラの宮川ピエール。月間MVPを2ヶ月連続での受賞だ。 千代反田、負けてる場合じゃないぞ。6月はいよいよベストイレブンに品川シュトルツから誰も選出されないと言う なんとも切ない事態となってしまった。

暗いニュースに落胆している時に、一筋の光明。 「会長、マドリードFCから嬉しいお知らせです」高嶋クンからもたらされた報告によるとサイドバック中村忠に 1年間の招待留学のオファーだそうだ。良い事だ。 26才と言う年齢を考えても、もう一花咲かせる良いチャンスだ。中村はリスボン、ソフィアと数えて3度目の留学だ。 メニリティ監督は右サイドバックの位置にリベロ宮田をコンバートして、ラインディフェンスに移行すると言う。 リベロを敷いても得点力向上に繋がっていたとは思えないし、まぁ良いだろう。

オールスターには宮田、千代反田、バイティンガーが選ばれた。 試合も3−1と珍しくEastが勝利し、千代反田は見事マン・オブ・ザ・マッチに輝いた。 6月末には阿部が戻ってきた。代わりにアシモビッチがリスボンに2年間の留学へと赴いた。

世界スポーツ大会の予選が始まる7月。 残念ながらシュトルツからはU23選手を送り出す事は出来なかった。 阿部も長い留学では実績を示す事が適わなかった。その分、2ndステージで奮起してくれ。 日本U23代表は見事予選を1位通過したそうだ。

さて、U23代表の活躍に沸いた7月も過ぎ、2ndステージが始まる。 新システムで2ndステージこそ優勝を狙おう。 岩下がゴールを守り、ラインディフェンスは左から路木、千代反田、和登、宮田。 ダブルボランチにバイティンガーと阿部が入り、2列目に森岡、源。 そして2TOPはエース水城に原だ。

開幕戦はアウェイの柏レイソル戦。視聴率は20%を超えたと言う。 水城が決勝ゴールを上げて幸先良く勝利。そして、いよいよ2節は新スタジアムの柿落としである。 5月に着工し、いよいよ2ndステージから新シュトルツスタジアムのお披露目だ。 6万人を超す観客の前で結果は大失態。なんとシュトルツはジュビロ磐田に0−1で敗戦。 素早いリスタートから鳴尾にゴールを割られると、試合はマッケーブに支配され手も足も出ず。 新スタジアムでの初勝利は4節。カップ戦で苦汁を舐めたサガン鳥栖から奪ったものだった。 ロスタイムに失点し大阪エステーラとの5節をも落とした後、ホームでの6節 FC東京とのダービーマッチは雨の一戦となった。新スタジアムには未だ屋根が無い。 それでも4万人近い観客が集ってくれた。森岡が先制し湧きかえるスタジアム。ところがブラジル代表経験者の ガファーに後続が抑えられるとデニソンにまさかの同点ゴール。120分後のホイッスルが空しい。

6節終了後で7位と低迷する戦績も気になるが、少し空席の目立つ新スタジアムも気になる。これは興業的にも良くない。 広報スタッフに広告費用を80百万に増額する様に指示。観客増が少しでもチームの後押しになれば。 ところがチームの低迷は一向に解決せず。7位に後退したシュトルツが何としても勝利したい6位ジェフ市原との7節。 しかし原が決定機を2回も外したのに対し、崔龍洙はしっかり2ゴール。後半はオーゼルのシュートがシュトルツゴールの ネットを突き破り3点目。後半途中出場の山形が2ゴール目を返すが時既に遅し。2−3で市原に敗れる。 下を向いても仕方がない。しかし10位ベガルタ仙台に間中の2ゴールで0−2と完敗すると私の腹も決まった。 この試合も雨の中、約46,000人も集まってくれたと言うのに、また視聴率20%を超えた試合だと言うのに何たる体たらく。 私の下した処分は宿老メニリティ監督の更迭である。

名将の誉れ高きメニリティ監督は就任1年目こそJリーグ、カップ戦制覇を成し遂げたものの 長期政権とスカウティングの失敗によるレギュラーメンバーの固定がマンネリ化をもたらし、 チームの進化が止まってしまったのか。

メニリティ解任にサポーターも驚きを隠せなかった様だが、後任人事はちょっとした話題になった。 即ちオライリー監督の再登用である。7年前にやはりJリーグ、カップ戦と二冠達成しながらも ジャファール監督に席を譲る形になり、「二度と日本になど来ない」と言う捨て台詞と共に シュトルツサポーターの前から姿を消した、あのオライリーが返ってきたのだ。

実はオライリー氏はアイルランド帰国後も私の元に連絡をくれていたのだ。 そしてこの度チーム再建に喜んで力を貸してくれると言う。契約期間は3年。 今度の蜜月は長く続く事を祈ろうではないか。

オライリー効果は覿面で2位アビスパ福岡、3位ヴィッセル神戸と上位を相手に勝利を収め順位を5位にまで上げる。 しかし最下位アントラーズにてこずりDF沖田邦光に止められまくり、辛うじて1点をもぎ取ったりと どこかちぐはぐさは否めない。オライリー監督就任後4試合目となる12節のガンバ大阪戦では いよいよ神通力も通用せず。オルザデベ、マグロンに1点ずつ献上し0−2と敗戦。 DF4人を振り払ったマグロンのスーパーヘッドには脱帽。水城のシュートも新鋭蒲田にブロックされ、 手も足も出ず。

上昇気運のチーム状態はスカウティングの局面にも影響を及ぼしたか。 カルチョの国のファンタジスタ、デルベーネ(20歳)の代理人に接触が取れたとリバァセからの報告が入った。 願っても無い話しではある。 しかしスタジアム建設後、シュトルツの財政状況は火の車。キャッシュフローは僅かに12億。 当然デルベーネに手が出る訳も無い。無念。

そしてスカウティングの行き詰まりが試合に影響を及ぼしたか。 首位清水エスパルスをホームに迎え88,000人の満員のサポーターが見守る中 行われた13節。前半に市川、上田に3ゴールを許す苦しい展開。 後半は調子の良い佐藤がゴールマウスを守り、背番号「10」山形をピッチに送り出して反撃を試みるが 試合はそのまま0−3で終了。オライリー監督率いる品川シュトルツはその後の2試合を勝利で終えて 最終的に6位で2ndステージ閉幕。

14年目 2ndステージ
優勝 清水エスパルス 勝ち点39 13勝1敗1分け 40得点11失点
2位 ヴィッセル神戸 勝ち点30 10勝4敗1分け 27得点17失点
3位 アビスパ福岡  勝ち点29 10勝4敗1分け 30得点16失点
4位 ガンバ大阪   勝ち点27 10勝5敗0分け 32得点22失点
5位 サガン鳥栖   勝ち点26  9勝6敗0分け 33得点20失点
6位 品川シュトルツ 勝ち点24  8勝6敗1分け 18得点15失点
清水エスパルスが強い。カップ戦も制しこの段階で三冠(1st、2nd、カップ戦)達成。 シュトルツは年間順位こそ3位と勝ち点を積上げたが、18得点は明らかに得点力不足。 大型FWの獲得含めて、オライリー監督の元で攻撃陣のてこ入れを図ろう。 来年こそ、来年こそJリーグ優勝だ。

個人タイトルの行方はオルザデベが2年ぶりの得点王奪還(34ゴール)。 水城は15ゴールで10位、原が1ゴール差で13位にランクインした。 年間最優秀評価点もオルザデベが獲得(7.3)し、こちらは3年連続の快挙である。 シュトルツからは宮田、千代反田の代表DFコンビの6.8で17位が精一杯であった。

オライリー監督の試金石となる大会が訪れた。 <プラチナリーグ>である。 昨年はメニリティが優勝を果たしただけに、オライリー監督の手腕が問われる大会となろう。

昨年優勝の看板は伊達ではない。 苦しい試合もあったが、ボゴタFC(4−0)、インチョンFC(2−1)、ベルンFC(2−1)と 攻撃陣の奮起で勝利を重ねる。オライリー監督の手腕はやはり一流である。 しかし4戦目のアスンシオンFCの厚い守備を打ち破る事は適わず0−1で敗れ 3勝1敗でベルンFC、コペンハーゲンFCの3チームが首位で並ぶ。 最終戦は、そのコペンハーゲンFCが相手。さぁ、オライリー監督復活後のタイトル奪取はなるか?

心配ご無用。選手たちがそう言ったかどうかは定かではないが、不言実行でも良いさ。 水城、原のシュトルツ2枚看板が大爆発。共に2点ずつを挙げ、楽勝ムード。 しかし不用意なミスから試合終了直前に1点を許してしまった。ベルンFCの試合結果が気になる。

<プラチナリーグ>
優勝 品川シュトルツ   勝ち点12 4勝1敗0分け 12得点 4失点
2位 ベルンFC     勝ち点12 4勝1敗0分け 12得点 4失点
3位 コペンハーゲンFC 勝ち点 9 3勝2敗0分け  6得点 8失点
4位 アスンシオンFC  勝ち点 7 2勝2敗1分け  4得点 6失点
5位 ボゴタFC     勝ち点 2 0勝3敗2分け  4得点12失点
6位 インチョンFC   勝ち点 1 0勝4敗1分け  4得点 8失点
勝敗、得失点差もベルンFCと並び、辛うじて直接対決の結果でシュトルツが 2年連続でプラチナリーグを制した。 オライリー監督とチームとの関係は絶好調の様だ。MVPも2年連続で千代反田が受賞。また今年はキャッシュフローの 厳しい年なので優勝賞金10億は本当にありがたい。これでスタジアムに屋根がつけられそうだ。

プラチナリーグ閉幕後もオライリー監督の意向でプレシーズンマッチを積極的に組む。 ジャビもスタメンでピッチに現れた。 鹿島アントラーズ、アビスパ福岡を相手に水城が合わせて7ゴールと大爆発。 素晴らしいキレだ。しかし11月末の世界選抜vs欧州選抜には相変わらず清水エスパルスの「10」上田克己が ノミネートされていた。ま、仕方ないか。試合は上田の奮闘実らず欧州選抜が3−0で勝利。

今月は良い試合が多かった。プラチナリーグの開幕戦は20.58%と言う視聴率を記録したと言う。 プレシーズンマッチのアビスパ福岡戦も20%を超えたとか。 プラチナリーグの優勝も手伝ってか、サポータークラブは20万人を突破した。 嬉しい限りだ。


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