今年はイレブンにとって衝撃の年明けとなったことだろう。 突然の監督交代。誰しもゼルベルガーの2度目の契約延長と思ったに違いない。 それも悪くなかった。しかしもう一歩成長するために、好成績を残したゼルベルガーの契約満了に伴い チームの指揮はオランダの智将ケイダロス氏に委ねる事にした。 私が就任して以来、ちょうど10人目の監督になる。得意の4−4−2、中央突破に期待する。ゼルベルガー氏にも感謝の気持ちは忘れない。就任7年間で欧州杯、アジアウィナーズカップ、ワールドクラブトーナメント、 プラチナリーグなど数多くの海外タイトルを奪取し、昨年の世界クラブランキングは初めて ベスト30に食い込んだ(28位)。
今年は昨年留学から帰った2選手とオッフェルスの契約更改が控えていた。 宮本が95百万の5年契約、新谷は250百万の5年契約、オッフェルスも290百万で4年契約と微増で済ませる事が出来、 財務スタッフも安堵している様だ。 3選手とは対照的に、人知れずチームを去ったのはユースから昇格した安東だ。 7年間のシュトルツ生活は必ずしも華やかなものでは無かったかもしれないが、品川区民から愛され続けた事を いつまでも忘れずにいて欲しい。ありがとう、さようなら。
今年の新入団選手は無し。新谷にボランチの目処が立つので、正式に服部をCDFにコンバートして リーグ登録。また、胆田が昨年の貴重な経験を経て飛躍的な能力開花が認められると言うではないか。 ユース出身選手には頑張ってもらわなくてわな。
頑張るのは選手たちだけではない。 グッズショップで働く営業スタッフが、新グッズとして 私の在位30周年記念グッズを作ってくれたそうだ。 売れ行きの程は分らないが、心遣いに感謝したい。
今年も2月は海外キャンプをするが、さて何処へ行くか。 協議の結果、初めてマドリードでキャンプを張る事にした。例年守備重視だったが、今年は攻撃力を増した中盤に 更なる磨きをかけたい。
【控】 【留学】 田中 シンゴ 青柳 ギバール(ラゴス1年) 藤田 小田 オッフェルス 山岸 麻野(ラゴス2年目) 新谷 沖田 岡本 升田、伊武、垣井 服部 宮本 チラバート 胆田ケイダロス監督で迎える開幕戦。 昨年1stステージは最下位に沈んだシュトルツはガンバ大阪の本拠地に乗り込んでの勝負。 黄金の中盤の出来は1−0と言うスコア以上だった。オッフェルスのコンディションがやや上がってこないが、バックアッパー山岸がキレキレ。 得点こそ無いが随所に良いプレーを見せチームに貢献。3月は無敗の3位で終えると、 7節で首位の清水エスパルスに逆転勝ちで首位奪取。
カップ戦の2回戦で、ややチグハグなプレーも見られたが新谷が10.0評価で要所を締める。 だんだん隙が無くなってきたな。リーグ戦も12節に川崎フロンターレ相手に 退屈な試合を披露。それでもシンゴ、オッフェルスのゴールを守りきる辺りは堂々たるものだ。
優勝に手がかかった13節はFWに山岸を起用したケイダロス監督。 これがドンピシャ。自身のゴールこそなかったが、前線からのチェックのおかげで ボール支配率は京都パープルサンガを圧倒。出会い頭の失点もひるむ事無く新谷、藤田のゴールで逆転し 優勝を決めた。マン・オブ・ザ・マッチに輝いた山岸が最高の殊勲者だ。
新谷も服部に負けず劣らずの引き締めを見せ、5月の月間ベストイレブンに初選出。 チラバート、服部、宮本と併せて4人も選ばれたのは嬉しいね。 優勝後のカップ戦3回戦は、やや気が緩んだか1stステージ最下位のFC東京にホームでスコアレスドロー。 アウェイはまたしてもFW山岸が鍵を握った。絶妙のアシストに藤田が決勝ゴール。
31年目 1stステージ 優勝 品川シュトルツ 勝ち点36 11勝0敗4分け 25得点11失点 2位 大阪エステーラ 勝ち点33 12勝3敗0分け 39得点 8失点 3位 清水エスパルス 勝ち点27 9勝4敗2分け 29得点19失点ステージを最高の形で締めくくった後、テクニカルスタッフからFW田中の 能力開花の報告を受けた。 ラゴスへの留学が実を結んだか。シンゴに続く代表FWとなれる様、引き続き精進だな。 こうなると気がかりはSDFとGKだ。先ず岡本、沖田に続くSDFを再優先でハリン氏に探してもらおう。オールスターには服部、沖田、チラバートが選ばれた。 残念ながら今年もチームWestに苦汁を飲まされてしまった。全く悔しい限りだ。
7月の世界スポーツ大会を前に、ドルトムントから帰ってきてから安定したパフォーマンスを披露した 宮本がU23代表としてお呼びがかかった。シュトルツから日の丸を背負う選手を輩出できるというのは 無上の喜びだ。宮本はスタメンとして1次リーグにフルタイム出場。3試合の平均評点が7.0と 世界の舞台でも安定したプレーを見せ決勝トーナメント出場に寄与した。
ポルトガルとのトーナメント緒戦はロスタイムに決勝ゴールが生まれる厳しい展開。 守備陣は一様に評価が高く、宮本は中でも8.5評価と見事の一言に尽きる。 しかしベスト4を懸けたトーナメント2回戦はアフリカ随一の攻撃力を誇るナイジェリアに逆転負け。 準決勝にコマを進めた4ヶ国はカメルーン、イタリア、フランスと日本を下したナイジェリアだった。 結果はフランスが賜杯を手中に収めた。
宮本ら日本U23代表の帰国は拍手を以って迎えられ、品川区としてもスタジアム周辺でベスト8を祝う催しがあった。 総務スタッフがそれを見越してコーヒーショップの拡張を計画しており、いきなりの大賑わいに経営面でもニンマリだ。
ケイダロス体制になっても、喜びの後の弛緩と言うものは止めようが無いものか。 1stステージ優勝と、世界スポーツ大会の戦績に浮かれたとは思いたくないが、 開幕戦はホームでチグハグな試合運び。せっかくのPKの好機もチームの規律に反して ファウルを得た田中がキッカーを務めたが失敗。失った流れは元に戻らず延長戦で被弾。
個人的には宮本が2節で10.0評価を得るジュビロ磐田とのドローなどを挟んだが、 4節は不調の服部、藤田を先発から降ろして垣井、山岸をスタメン起用する荒療治も実らず。 5節は2ndステージ初得点で先制するもののオッフェルスが退場して流れを失い、2度目の延長Vゴール負け。
このチームの危機を救ったのは医療スタッフだった。 飲料メーカから新発売のスポーツドリンクに目を着け、他チームに先駆けて採用。 これが選手の披露回復に効果覿面。最下位に沈んだ王者は8節の横浜F・マリノス戦の藤田ハットトリックで生返る。
10節はFW山岸が2ゴールでまたもマン・オブ・ザ・マッチの大活躍。 田中だけがコンディション不良でピッチを駆ける事が出来なかったが、チーム最年長FW青柳が奮闘。 11節から3試合連続ゴールでチームは9位にまで浮上。
3位川崎フロンターレとの激戦で小田が負傷するアクシデントもあったが、山岸が代役以上の働きを果たしてくれた。 カップ戦準決勝で川崎フロンターレを下して、決勝戦では新谷の1ゴール1アシストの活躍で横浜F・マリノスを破って 優勝。ここ2年は最後の敗者として準優勝に甘んじたが5年ぶりの祝杯だ。
直後の13節はシンゴの先制も、ファンタジスタ松井のドリブル突破を許し京都パープルサンガに1−2と 逆転負けする悪癖を払拭できなかったが、これを引きずらずヴィッセル神戸、サガン鳥栖との最後2試合を 無失点で連勝し7位で2ndステージが終了。通算勝ち点58は、2ndステージを制した大阪エステーラの69には 大きく水をあけられたがJ1 16チーム中2位と1stステージ王者の面目躍如。
31年目 2ndステージ 優勝 大阪エステーラ 勝ち点36 13勝2敗0分け 35得点15失点 2位 清水エスパルス 勝ち点30 9勝3敗3分け 27得点11失点 3位 大分トリニータ 勝ち点29 10勝4敗1分け 31得点18失点 4位 ジェフ市原 勝ち点28 10勝4敗1分け 36得点17失点 5位 川崎フロンターレ 勝ち点25 9勝5敗1分け 21得点21失点 6位 サガン鳥栖 勝ち点22 7勝7敗1分け 26得点24失点 7位 品川シュトルツ 勝ち点22 7勝7敗1分け 16得点14失点勝率5割の6位と言うのは、やや例年よりは甘いがJ1復帰1年目での6位はサガン鳥栖の健闘を称えたい。 柏レイソルは●位に甘んじたが、しっかり26ゴールの得点王棚田と7.8の最優秀評価点の岬を輩出。 シュトルツ攻撃陣は青柳の11ゴールが筆頭ではランクインならず。 それ以上に圧巻は大阪エステーラ。 評価点ランクにスタメン6人を送り込んだ(2位7.5杉下、3位7.4レジス、5位7.1佐々木、6位7.0ラゴス、嶋村、アジャラR)。2ndステージが終了後、27歳のオッフェルスを短期留学に出す事にした。 本来マドリードやアムステルダムに送りたいのだが、やや理解力に不安が残ったため失敗を恐れてラゴスに送った。
11月の<ワールドクラブトーナメント>はケイダロス監督が初の海外タイトルに挑む大会となった。 緒戦のザグレブFCは1−0と辛勝、続く2回戦もミュンヘンFCにPK戦突入でチラバートに頼る展開。 ポルトFCとの準決勝は4−1と圧勝。田中はハットトリックで嬉しいマン・オブ・ザ・マッチも獲得。
決勝戦の相手はケイダロス監督が昨シーズンまで指揮を振るったアムステルダムFC。 さすがに教え子を相手に戦い辛かったか。田中が先制するが、ピアジオRのボレーにチラバートも及ばず。 PK戦に突入した段階で勝利はこちらに転がり込んだかと思われたが、アムステルダムのゴールを守った シューマイヤーが一枚上手。最初のキッカー チラバートが止められ流れはアムステルダム。 チラバートがPK戦で敗れるのを見たのはいつ以来か。言い訳しても仕方ないが、無念の準優勝。 ケイダロス監督の海外タイトルはお預けだ。
区長からの希望もあり、11月には住宅投資に20億を投じた。 後は良しなに。 麻野、ギバールの帰国もあって、少々浮かれすぎたか。
2人の帰国でパリFC、リーズFCを招いた親善試合でベンチから外れたのが何と青柳とシンゴである。 チラバートもベンチを暖め、サポーターの一部からはブーイングも上がったそうだが、列強と互角の戦いを披露すると ケイダロス采配含めて大喝采。さすがにバレンシアFCには0−1と競り負けてしまって、ファン感謝祭は やや面目無い。スポンサー幹部にもやや申し訳無い限りだ。
11月の貴重な経験に続き、第2GKの胆田はトルカFCで1年間の留学で腕を磨く。 チラバートも来年は34歳。胆田が帰国したら世代交代かな。
チーム創設史上最強との呼び声高い大阪エステーラとのチャンピオンシップが行われる12月。 今年は雪も無く、サッカーにもってこいの天気だ。 やや守りを意識した指示で迎えたホームでの緒戦。狙い通り田中のゴールをしっかり守り通して先勝。 アウェイに行っても憎たらしい程の堅守からカウンター一閃。藤田が優勝を決定付ける追加点。 3度目となるリーグ2連覇だ。国内二冠は12年前のトリプルクラウン(監督リネッティ)以来の快挙だ。
海外タイトルこそ逃したケイダロス監督だが、こうなったら目標は国内タイトル総なめと行こうじゃないか。 清水エスパルス(2−0)、ジュビロ磐田(2−1)と順調にベスト4進出。 準決勝はJ2の大宮アルディージャとの勝負。共に1点ずつ取り合った後半、 田中と沖田の華麗なるパスワークから決勝ゴールが。最後はギバールが駄目押しの3点目で決勝進出。
やはり決勝の相手は大阪エステーラ。チャンピオンシップの雪辱を晴らす好機とばかりに シュトルツスタジアムに乗り込んできた。ケイダロス監督の指示通り、セットプレーからのチャンスに 飛び込んだのは沖田。藤田が追加点を上げると守備固め。1失点は喫したが、キッチリ守りきって ニューイヤーカップ優勝。三冠達成である。 今大会のMVPは左SDFとして活躍した服部だった。
年末にも関わらず、三冠達成の祝勝パーティには都知事を始め、多くの来賓をお迎えする事になっている。 忙殺されている私をジェニファーが呼びに来た。大変なニュースを知らせてくれたのである。 「・・・何だって!」
祝いの席が一転、慰労の場となってしまった。 山岸、岡本がユニフォームを脱ぐと言う。早すぎる決断に狼狽を隠せない。 山岸に至ってはまだ20代だと言うのに。確かにオッフェルスの加入で、小田、藤田にスタメンは奪われはしたが 今年の三冠は山岸無くてはあり得なかっただろう。
岡本も長らく沖田、升田とのSDFのポジションを巡って切磋琢磨し、パリFCで揉まれた事もあった。 今後はその経験を活かし、監督業に挑戦すると言う。 いつか、シュトルツの指導者としてクラブハウスに戻ってくる日を待っているぞ。