F2 Chris & Daisuke around the world

<NorthAmerica TOP>
San Cristobal de las casas/サンクリストバル・デ・ラス・カサス

(2004.05.13)

 雨上がりのサンクリストバルの街角

ウエウエテナンゴを出発して、渓谷沿いの山道を国境へ向かう。グアテマラ最後の村の商店街の終わりが国境だ。簡潔明快な手続きを済ませて、メキシコへ。国境に入出国管理局や税関らしきものはあるが、手続きはそこで行わずに4kmほど先に進んだ村で行うらしい。山道を少し走って、手続きのできる事務所へ移動する。入国手続きは簡単で入国税210ペソを銀行で支払うように指示された。税関でペルミソを作成してもらうが、手数料支払いにクレジットカードが必要だったのを忘れていた。事故などがあった場合の支払能力証明の意味があるのだ。クレジットカードが無い場合は現金400米ドルのデポジットが必要となる。横江のクレジットカードはグアテマラで全て停止している。そんな高額の現金は持ち合わせているわけがない。トラベラーズチェックは受け付けてもらえない。

T/Cの換金ができるところがないか聞くと、グアテマラ国境でできるのではないかと言う。確かに国境に銀行があった。急いで国境へ戻って問い合わせるが、持っていたシティバンクのT/Cは換金できないらしい。万事休すか?と思いきや、そこの担当者が500m先にある村の銀行ならできるかも知れないと教えてくれた。一縷の望みをかけて行ってみた。グアテマラ領内なのでバイクではもう行けない。猛暑の中、重いライディングウェアを着たままゆるやかな上り坂の先にある銀行へ行く。幸運なことに換金ができた。しかも手数料わずかで。国境に置いてきたバイクが心配なので、また大急ぎで戻る。無事だ。ところがエンジンをかけようとすると、セルスターターが回らない。メキシコに嫌われているのか?

冷静になって原因を考えに考えて、スイッチの接触不良にたどり着く。応急処置でスイッチをハンドルバーから外し、強制的に接続してエンジンをかける。税関に戻ると、400米ドルのデポジットでペルミソを発行してくれた。やった、メキシコだ、万歳。

最初の町コミタンで銀行に立ち寄り入国税を払う。やっと一息ついて屋台で休憩をとっていると、雷雨になった。中米から続いていた雨はまだまだ続きそうだ。雨具に着替えて、土砂降りの中をサンクリストバルへ向かう。サンクリストバルを含むチアパス州は街道沿いに先住民の村がいくつかあって、メキシコというよりはまだグアテマラにいる感じがする。雨が小降りになったところでサンクリストバルに到着した。雨に濡れた石畳のサンクリストバルの町は美しく、道行く人々がのんびりしていていい。広場のいたる所にゆでとうもろこしの屋台が出ており、ひとつ買ってみた。日本だと塩か醤油で食うが、メキシコではマヨネーズを塗って粉唐辛子をかけて食う。悪くないが、ともうろこしはやはり醤油だ。夕食を食いに食堂に入ると、お通しでトルティージャ(とうもろこしの生地を焼いたやつ)と何種類かの辛いサルサ(ソース)がテーブルの半分を占める量で出てくる。ぴりっとスパイスが効いていて旨い。メキシコ料理はこの南北の大陸中で一番面白く、美味しい。帰りにカフェで珈琲をすすりながら、今日まで何にも考えていなかったメキシコの旅をどうすすめるかについて、地図を見ながら検討する。

メキシコの道路はかなり悪くない。早朝の霧に煙るサンクリストバルの町を出て、豪快なワインディングロードをオアハカに向けて進む。山道は肌寒かったが、山を下りて太平洋に近い平地を行くと気温がぐっと上がり暑いなんてものじゃない。途中、初老のアメリカ人ライダーに会った。彼は休暇で6週間メキシコをツーリング中らしい。やはり陸路で外国とつながっていると、気軽に異文化へのツーリングが楽しめて羨ましい。メキシコの道で唯一気まずいのは「TOPES(トペ)」である。幹線道路を進み、途中の小さな町や村に入る手前で、通行する車輌の減速を促すため、路上に高さ10〜20cm長さ50〜100cmほどの突起がある。たいていは標識でTOPESと書いてあるので問題ないが、うっかり高速で突っ込んでしまうと痛い。場所によっては、長さがちょうどホイール長と合って、エンジンの底を擦るから困りものだ。

 
<NorthAmerica TOP> <Next>
<Next>