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その他のメーカーの参照文献


Coalport
Michael Messenger "Coalport 1795-1926" (1995)
 コールポート社に関する非常に詳細な研究書である。同社に関する最新の研究成果に基づいた、現時点で得られる最良の文献であろう。20世紀はじめまでを扱っているので、初期作品はもとより、19世紀後半(おそらく、一般的にはコールポートで最も人気の高い時期)の作品もカバーしている。


Geoffrey A. Godden "Coalport and Coalbrookdale Porcelains" (1970)
 1850年までのコールポート社の歴史と作品に重点をおいて解説している。18世紀におけるカーフレイ社との関係や、19世紀初頭までのJohn Rose社とThomas Rose社という2つのコールポートの磁器会社の関係と両社の作品の比較など、先駆的研究の成果がまとめられている。図柄集(パターン・ブック)についての分析も有用である。古くはなっても、いまだ不可欠な文献である。


Michael Berthoud"The Lost Patterns of John Rose" (2002)
 Berthoudは、英国のあらゆる磁器窯の図柄を調査・収集しており、本書はその最新の成果の一つである。コールポート社の初期の図柄集(パターン・ブック)は、上記Goddenの著作が出版されて以降に失われたとされるが、Berthoudは1820年頃以前の図柄を番号順に可能な限り調べあげ、その特徴を記述するとともに、可能なものはその図柄が描かれた作品の写真を掲載している。本書は、文章はワープロ打ち、写真もカラーではあるが、まるでデジカメ画像をそのまま並べてプリント・アウトしたかのような作り、装丁もコピー紙に透明プラスチックの表紙を付けてリングで製本しただけの手製冊子であるが、不明な点が多く個別作品の判定にも迷うことの多いコールポート窯に関しては貴重な資料である。


Longton Hall
Bernard Watney "Longton Hall Porcelain" (1957)
 半世紀前の出版ではあるが、ロントンホールに関して、その後これを凌駕する文献は未だない。Bevis Hillier著"Early English Porcelain"によると、英国鉄道の事故調査員であったWatneyは、ロントンホールの経営者の一人Samuel Firminの子孫を探し出すために、電話帳にあるFirmin姓の全員に手紙を書き、ついには埋もれていたロントンホールの歴史を探り当てたとのことである。その後、Watneyは同窯跡の発掘も行い、それら成果の集大成として書かれたのが本書である。窯の歴史、前中後期に分けた作品の特徴などが詳しく解説されている。写真も(ほとんどが白黒であるが)豊富である。


Lowestoft
Geoffrey A. Godden "Lowestoft Porcelains" (1985 revised)


Sheenah Smith "Lowestoft Porcelain in Norwich Castle Museum"


Minton
Geoffrey A. Godden "Minton Pottery & Porcelain of the First Period 1793-1850" (1968)
 少し古くはなったが、今でも初期ミントンの研究書として重要な文献である。初期作品の形状や図柄について、丁寧に解説している。マークについても非常に詳しい。なお、現代の製品までを含めたミントンに関する最新の標準テキストとしては、Joan Jones著"Minton The First Two Hundred Years of Design and Production"(未読)の評価が高い。


Robert Cumming & Michael Berthoud "Minton Patterns of the First Period" (1997)
 判明している限りの第一期ミントン(1796〜1816年頃)の図柄を、それが実際に描かれている作品の写真、又は図柄集からの転載という形で掲載した文献。かなり網羅性が高く、図柄集そのものの出版に近い形になっている。個々の図柄や形状から作品を判定する際に有用であるのはもちろん、他窯の図柄との関連が強いミントンの図柄を視覚的に確認することが可能となった点でも貴重な文献である。


New Hall
David Holgate "New Hall" (1987)
 ニューホールに関する研究書の決定版。同じ著者による定評のあった”New Hall and Its Imitators”(未読)の増補改訂版である。ただし、前著で力点の置かれていたニューホールの「模倣窯」(一般に「ファクトリーXYZ」と称されている窯など。)に関する記述は、本書では割愛されている。ニューホールの歴史と磁器の特徴について詳しく解説されている。図柄番号の多く(全部ではない)が写真付きで紹介されており、判別の際にとても有用である。


C. E. Stringer "New Hall Porcelain" (1949)
 上記Holgateの著作以前の、標準的なニューホールの解説書。丁寧な著述であるが、やはり古さは否めない。


Plymouth and Bristol
F. Severne MacKenna "Cookworthy's Plymouth and Bristol Porcelain" (1946)
 


F. Severne MacKenna "Champion's Bristol Porcelain" (1947)
 


Spode
Leonard Whiter "Spode A History of the Family, Factory and Wares from 1733 to 1833" (1970)
 Geoffrey Goddenをして「スポード研究のバイブル」と言わしめた名著。窯の歴史や作品の特徴が詳細に解説されている。写真も多い。図柄番号による大まかな年代特定法や、主要なカップ形状の紹介なども、非常に役に立つ。



 本サイトで取り上げている上記以外のメーカーに関する専門書として、未読ではあるが、定評のあるもの

Geoffrey A. Godden "Caughley and Worcester Porcelain 1775-1800" (1969)
Geoffrey A. Godden "The Illustrated Guide to Mason's Patent Ironstone China" (1971)