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参照文献入手のためのヒント


 本サイトでご紹介している海外の参照文献を日本で入手する方法について、よくご質問を受けます。そこで、ご参考までに、以下にいくつかの方法についてご説明します。


1.インターネット通販
 西洋陶磁器に関する専門書の多くは、日本の書店の店頭で見つけることは(それが洋書を多く扱っている書店であっても)まず無理です。基本的に海外から購入する形になり、インターネット通販を利用することが最も便利です。
 @大手総合書店
 基本的に新刊本を扱う書店のサイトです。日本のサイトでは、アマゾン(Amazon.co.jp)が、最も品揃えがよいと思います。日本語で申し込めますし、価格が円建てなのも安心です。ただし、米国のアマゾン(Amazon.com)のドル建て価格と比べて若干割高になっているようです。米国のディスカウント書店の雄であるバーンズ&ノーブル(Barnes&Noble)のサイトも品揃えは豊富ですが、こちらは日本サイトはありません。英語での申し込みには尻込みされる方も少なくありませんが、こうした大手書店のサイトは、最初に住所、氏名、クレジットカード番号等の登録さえしておけば、実際の注文に際してメールのやり取りをする必要もなく、とても簡便です。また、価格面でも各サイトで独自の割引制度を導入しており(米国には、新刊本に関する定価制(再販制度)がありません。)、驚くほど安い価格を付けているサイトもあります。なお支払いはクレジットカード限定になっているのが一般的です。また、海外からの購入で頭の痛い送料についても、こうした大手のサイトでは、比較的低額に抑えられています。
 欠点としては、基本的に新刊しか扱っていないため、多くの専門書が在庫切れ又は廃刊となっている西洋陶磁器分野では、検索上では探し出せても、実際には入手不可能であることが多いという点があげられます。海外サイトでは中古本を扱っているところもありますが、個別の中小書店をネットワーク化したもので、下記Aのポータル・サイトと機能的には同じもので、価格面ではより割高になっているようです。
 A書店のポータル・サイト
 中小の古書店をネットワーク化し、書名や著者名で横断検索ができるサイトです。絶版になった本でも中古市場では流通しているので、大概の本は探し出せます。全て海外のサイトですが、abebooks.com、Bibliology、Alibrisなど多数のネットワークがあり、さらにそうしたネットワークを束ねたBookFinder.comのようなポータルもあります。このBookFinder.comの検索エンジンを用いると、多くの中古書店ネットワークだけでなく、アマゾンやバーンズ&ノーブルなどの新刊書店も含めて横断的に在庫を検索することができます。また、世界中の書店から幅広い検索結果を得ることができるため、価格面でもとても安価なものを探し出すことができます。
 こうしたポータル・サイトは基本的には検索機能を提供するもので、実際の購入に当たっては、個別の書店とメールで連絡を取り合って、決済や送達手段について交渉する必要があります。中小書店も多いので、クレジット・カードが使えなかったリすることもありますが、セキュリティの観点からクレジットカードの使用に躊躇される向きには、決済手段の選択枝が多く柔軟性が高いともいえます。(なお、クレジットカード以外の決済手段としては、国際郵便為替が一般的です。)
 英語でのメールのやりとりに抵抗がある方、あるいは個別の書店の信用度に不安を感じる方には、こうしたポータルが提供している決済システムを利用する方法もあります。上記のabebooks.comなどのネットワークでは、個別書店との交渉を代行するシステムを用意しています。その場合には上記@と同様に、買い手の基本情報を登録すれば、あとは勝手に手続きをしてくれます。
 なお、こうしたポータルの欠点としては、個別書店の在庫情報の更新が遅れることが多く、検索して見つかった本を注文しても「売却済み」との返事がくることがままある点があげられます。
 B専門書店のサイト
 中古本を扱う個別の書店の中でも、アンティークや陶磁器を専門に扱っている書店が存在しています。もちろん、こうした書店も、上記Aでネットワーク化されている場合もありますが、そうでない場合も少なくありません。後者の一例としては、英国のReference Worksという陶磁器関係の専門書店があります。こうした書店は、専門とする分野における幅広い在庫を有するだけでなく、当該分野全般に関する深い知識、稀少本の入手に関するルート、時には著名な研究者との特別な関係まで有しており、単に本を売買するだけでなく、各種質問にも答えてくれるなど、まさに信頼すべき存在となってくれます。また、こうした書店は、定期的に在庫リストの冊子を作成しており、頼めば日本にも発送してくれます。決済については、比較的大きな書店であることが多いので、クレジットカードも受け付けるところがほとんどです。ただし価格は、あまり安くはありません。


2.インターネット・オークション
 オークション・サイト、特に、米国イーベイ(eBay.com)では本の売買も盛んで、西洋陶磁器の専門書も頻繁に出品されています。オークションを主要な販売網にしていると見られる専門書店も、いくつもあります。魅力は、何と言っても、低価格で稀少本を入手できる可能性があることです。ただし、在庫を検索して即注文できる上記1の通販と違い、目当ての本が出品されるまで待たなければならないので時間はかかります。英語でのやり取りが必要であることに加え、売り手が個人の場合もあるので、信頼性の面で不安を感じる方もいるかもしれませんが、個人だからこそ不要な本は超格安で処分するという点もあるわけです。決済に関しては、売り手によるとしか言えませんが、PayPalに代表されるオンラインのクレジットカード決済がかなり普及しており、売り手が個人でもクレジットカードが使える(といってもPayPalなどでは、買い手も登録が必要ですが)場合も少なくありません。


3.日本の書店を通じた取り寄せ
 つい数年前までは、洋書購入といえば、丸善や紀伊国屋などの書店を通じて海外から取り寄せるしか方法はなかったのですが、今では上記1や2の方法が時間的にもコスト的にもより優れています。それでも、日本の書店を通じた取り寄せは、注文や返品の際に日本語でかつ顔を合わせてやり取りできるという点では、今でも安心感のある方法だと言えるでしょう。


4.海外での購入
 旅行などで海外に行った際に、現地の書店に立ち寄って購入してくるというのも一つの方法です。実際に手にとってみてから購入できるというのは大きな利点です。ただし、陶磁器というのは、米国や欧州でも決して一般的な分野ではなく、大きな書店に行けば専門書が並んでいるなどということはない、という点には注意が必要です。それでも日本よりは確かに多いですから、一般的なアンティーク解説、マーク辞典、価格ガイドなどは比較的簡単に見つかりますが、硬い内容の専門書はそうは置いてありません。欧州と比べて書店の品揃えが比較的充実している米国であっても、上記1@でご紹介したバーンズ&ノーブルの大きな店舗に入っても、西洋陶磁器の専門書はほとんどなく、同書店のインターネット通販とは全く違います。ニューヨークにストランド・ブックストア(Strand Book Store)という何でもあることで有名な中古書店がありますが、西洋陶磁器の専門書に関しては、若干はあるものの、わざわざ行くほどの在庫量・質ではないというのが実感です(なお、この書店も自らのサイトでインターネット通販を行っています)。
 むしろトライしてみる価値があるのは、陶磁器を多く展示している博物館の併設ブックストアでしょう。それなりの専門書が(もちろん新刊のみですが)並んでいることがあります。米国で言えば、ニューヨークのメトロポリタン博物館内のブックストアでは、本サイトでご紹介している書籍のいくつかを見つけることができると思います。
 しかし、より充実した在庫を求めるのであれば、結局は、上記1Bのような専門書店に足を運ぶ必要があるのでしょう、うまい具合に旅行先にそのような書店があればの話ですが(ちなみに、上記1Bでご紹介したReference Worksは英国の書店ですが、ロンドンなどの大都市にあるわけではありません)。


5.図書館
 最後に日本の図書館について触れておきます。質量ともに極めて貧弱とは言え、大きな図書館には、西洋陶磁器に関する専門の洋書も何冊かは入っています。例えば、国立国会図書館や都立中央図書館などです。最近は、インターネットでの蔵書検索が可能な図書館が多くなりましたので、お近くの図書館を調べてみると、意外な専門書を見つけられるかもしれません。