ボウ ティーボウル (1757-60年頃)
A Bow Tea Bowl Ca.1757-60
ボウの小振りなティーボウル。サイズの割に高台の径が大きく、側面は直線的で、横から見ると台形のように見える。装飾は、釉薬の上にレンガのような赤で印刷されているが、ロバート・ハンコック(Robert Hancock)による銅板から転写したものである。
ハンコックは、1753年から1756年当初頃まで、ロンドンのバタシー(Battersea)にあったエナメル工房にいたとされるが、その後遅くとも1757年中にはウースターで働き始めており、その間の短い空白期にボウで働いたという説がある。一方で、彼はボウで直接働いたのではなく、デザインを彫った銅板をボウに提供しただけだとする説もある。
本品に印刷されている二つの図柄は、"Tea Party No.1"及び"Wheeling Chair"と呼ばれているものである。前者は男女が屋外でお茶を楽しむ図柄の一つで("Tea Party"には大きく分けて3種類の図柄があり、この図柄はそのうちNo.1として分類されているもの。)、後者は車椅子(ゴーカート?)に乗る少女の前後に少年がいる図柄である。ともにウースターでも用いられている。この二つを一枚の銅板に組み合わせて彫った図柄(ハンコックのサイン入り)がボウ作品に印刷された作品も知られている(下記、大英博物館収蔵品を参照)。
本品の印刷は、この大英博物館の収蔵品(花柄の縁模様があり、下記Watneyの論文では1754-56年頃の最初期の作品とされる。)と比べて、鮮明さに劣る。古くなった銅板から転写したものである可能性があり、製造年代も少し遅いものと思われる。
高さ(Ht):4.3cm
マーク:なし
Mark: None
参照文献/Reference:
-Cyril Cook "The Life and Work of Robert Hancock" Items 104 (The Tea Party, No.1) and 116 (The Wheeling Chair)
-Bernard Watney "Notes on Bow Transfer-Printing" ECC Transactions Volume 8 Part 2 (1972) pp.213-223
-Cyril Williams-Wood "English Transfer-Printed Pottery and Porcelain" pp.65-70
-Geoffrey A. Godden "British Porcelain An Illustrated Guide" Plate 54 (p.69)
-Anton Gabszewicz & Geoffrey Freeman "Bow Porcelain The Collection formed by Geoffrey Freeman" Transfer-printed Wares (pp.81-85)
-Elizabeth Adams & David Redstone "Bow Porcelain (revised edition)" Chapter 10 Transfer-Printed Decoration (pp.139-150)
-Gordon & Sue Guy-Jones "Bow Porcelain On-glaze Prints and their Sources" pp.83-85
-大英博物館のサイト(Tea Party No.1とWheeling Chairを組み合わせたプリント図柄の皿。ハンコックのサインあり。):
http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=29969&partId=1&searchText=Bow+plate&images=true&material=17994&page=1
(2016年6月掲載)