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ドクター・ウォール 八角形コーヒーカップ(1753-54年頃)
Dr. Wall Octagonal Coffee Cup Ca.1753-54

 八角形のカップは、英国では多くの初期窯で作られているが、ウースターでも極めて初期から作られた。この形状のコーヒーカップは、ウースターでは大小2つのサイズで製造され、3種類の取っ手が用いられたとされている。また、受け皿とセットになった作例が見つかっておらず、もともと受け皿は付属しなかったと考えられている。上絵に関しては、この形状のカップには、ほとんど全て東洋風図柄が描かれており、本品のように草花と蝶などの描かれたものが典型であるが、中国の人物や文物の描かれたものもある。マークに関しては、本品は無銘であるが、同様の作品の中には、「スクラッチ・クロス」と呼ばれる、刻み込まれたXや直線などのマークが付いているものもある。
 作品の完成度については、造形的には、上から見るとかなりつぶれた八角形をしており、また、カップの高さも均一でない。しかし、薄く硬く焼き上げられた素地といい、鮮明な多色絵付けといい、特徴的な取っ手といい、造形的な歪みなどものともしない(逆に、それすら魅力にしてしまうほどの)端整さを一方で備えている。愛好家を惹きつけてやまない初期ウースターの魅力あふれる作品である。
高さ:5.6cm
Height:5.6cm (2 3/16in)
マーク:なし
Mark:None