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工芸美術館(ハンガリー:ブダペスト)
Iparmuvezeti Muzeum (Museum of Applied Arts; Budapest, Hungary)

 
 ハンガリーの首都ブダペストは、街全体がアンティークのようなところです。この工芸美術館の建物(建造は19世紀末)も、外壁は重厚な石造りながら、内部はガラス天井の巨大吹抜けを持つ優雅な作りになっています。工芸美術(装飾美術)に特化した美術館としては、ロンドン(ヴィクトリア&アルバート美術館)、ウィーン(オーストリア工芸美術・現代美術館)に次いで古いそうです。

 陶磁器コレクションは、階段を上った2階(欧州では1階と呼びますが)の回廊部分、"Collectors and Treasures"と題されたセクションに展示されています。主要な作品は、1799年にロシア皇帝の娘がブダ(ブダペストは、1873年にブダとペストというドナウ川をはさんで対峙する2つの町が合併してできた町です。)に嫁いだ際に贈られたロシア製磁器セット、1760年頃のマイセン製チェスセット(駒とボード)、1861年に作られたヘレンド製の超大皿(丸いお盆のような皿ですが、直径は1メートルくらいあったでしょうか。)でマリア・テレジアとハンガリー貴族たちを描いたもの、それにミントンのpate-sur-pateの丸皿と緑色の巨大壺といったところです。他はマイセン、ウィーン、ヘレンドなどの食器類や人形がいくつかあります。なお、陶磁器以外ではガラス作品(ガレ、L.C.ティファニーなど)や銀器、家具なども一緒に展示してあります。

 収蔵品の数はかなり多いはずなのに、展示品は少なくて物足りないですが(特に、地元ヘレンドの作品は、もっと展示してくれてもよいと思います)、一つひとつは興味深い作品ですので、時間があれば立ち寄ってみるとよいでしょう。場所は市の中心部で地下鉄(こちらもロンドンに次いで古いとか)が便利です。

(2009年8月執筆)