トップ(Home)   美術館探訪のトップ


ルーブル美術館(フランス:パリ)
Musee du Louvre (Paris, France)

 パリの中心部、セーヌ川に沿って両翼を広げる壮麗な建築物。その中央で異彩を放つガラスの現代ピラミッド。そして納められた質量ともに他を圧する美術品。近年では、小説「ダヴィンチ・コード」による呪術的要素まで感じさせる、世界最高(?)の美術館。

 この美術館には「モナリザ」や「ミロのヴィーナス」を筆頭に、見落としてはいけない「唯一無二」の作品があちこちに分散して展示されていますので、訪問者はそうした作品を漏らすことなく広大な館内をどうやって効率的に回るかに腐心しがちです。そのため、陶磁器が展示されている装飾美術セクションは、どうしても素通り対象の候補となってしまうのです。

 ここ何年かルーヴル美術館にはご無沙汰していたのですが、今年は、幸運なことに、2回ルーヴルを訪問する機会がありました。ただ、残念ながら装飾美術セクションのうち、私にとって最も重要だと思われる18世紀作品の展示スペースが長期改装のため閉鎖中でした(以前は2013年までとなっていたのですが、最新の情報では2014年春までと閉鎖期間が延長されています)。もちろん、18世紀磁器の展示がないわけではありませんが、おそらく隣接スペースを間借りした状態での展示になっているのでしょう。

 さて、その陶磁器が置かれている装飾美術のセクションがどこにあるかというと、「リシュリュー翼」の1階(日本流には2階)になります。同翼は中央部にエスカレーターがありますが、その正面に装飾美術セクションの入口がありますので、比較的見つけやすい場所です。家具やタペストリーなどを含め、かなり幅広い種類の装飾美術品が集められていますが、セーブルを中心としたフランス磁器は、「ナポレオン三世の居宅」の展示内に分散して、それなりの数の作品が置かれています。食器類が多いですが、巨大な壺などもあります。ほとんどが18世紀から19世紀初期の作品で、パリ絵付けの作品もあります。この手の展示室では、磁器作品が部屋の奥に置かれていて近づいて見ることのできない場合が少なくありませんが、ここでは、分散はしているものの、どれも展示用キャビネットに入れてある等、とても見やすくなっています。

 地階入口付近にある売店では、観光客用の土産品も多く売られていますが、内部の階段を上ると大きな書店になっており、陶磁器関係の書籍もかなりあります。私は、例によってそこで時間をかなり費やして、結果的にセーヴルの本を2冊買いました。


(2013年11月掲載)