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ニヨン城 歴史・磁器博物館(スイス:ニヨン)
Le Chateau de Nyon Musee des Historique et des Porcelaines (Nyon, Suisse)

 レマン湖畔の小都市ニヨンは、ジュネーブからなら鉄道で10数分で到着します。駅から、いかにもスイスという感じの古く美しい街並みを10分ほど歩いたところに、小ぶりながらも白壁の美しいニヨン城があります。城全体が博物館になっているのですが、展示の目玉は、18世紀終盤から19世紀初期に当地ニヨンで焼かれた陶磁器です。

 博物館の入り口は地下にあって、そこから石造りの螺旋階段を登りながら各階の展示室を見て回るようになっています。回廊あり、大広間あり、入り組んだ小部屋ありですし、天井の梁だけ見ても歴史を感じさせる、素晴らしい建築です。

 ニヨン磁器の展示は、ほとんどが食器類ですが、絵付けの種類などによって分類されており、仏・英語による解説が付されています。例えば、風景画の場合、初期には作品中央部分に小風景が描かれるだけだったものが、その後金枠内に描かれるようになり、さらには作品全面に描かれるようになったという変遷が解説されていて、それに見合った作品がそれぞれ並べられているなど、分かりやすい構成になっています。また、城前の広場を見降ろす大部屋には、大食卓の上にディナーセットが一式据えられ、周囲のキャビネットには同図柄のティーセットが収められています。ワインクーラーやワイングラスを冷やすmonteithには、角氷を模したガラスが敷かれ、その上に各々ワインボトルと小ぶりなグラスがいくつか入れられていていて、実際に使用されたであろう状態を視覚的に確認できるようになっています。その他、若干の壺類、そして陶器(ウェッジウッドの影響を強く受けているようです)もあります。

 城から出て裏庭に抜けると、そこはちょうど城壁の上になっており、眼下に家々の美しい屋根の連なりと、そのすぐ先のレマン湖を望む、息をのむような絶景を堪能することができます。


(2011年11月執筆)