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スカラ座美術館(イタリア:ミラノ)
Museo Teatrale alla Scala (Italy:Milan)


 言わずと知れたオペラの総本山。残念ながらチケットを入手できなかったという旅行者(私のように)でも劇場の中を見ることはできます。そして併設されている美術館に足を踏み入れて、予期せぬ18世紀欧州磁器人形のコレクションに不意をつかれる具合となるわけです。

 この美術館には、スカラ座そのものや、関係の深いヴェルディに由来する展示品ももちろんありますが、それ以外に、パリのGiulio Sambonコレクションから買い取った作品を多く含んでいます。Sambonコレクションは、特にスカラ座に関連するものではありませんが、やはり音楽や劇場をテーマとしたコレクションです。美術館全体としては、肖像画、彫刻、楽器、楽譜、舞台衣装などを見ることができます。(劇場と美術品の幸せな関係は、洋の東西を問わないようで、日本でも歌舞伎座や国立劇場は絵画や彫刻の名品をたくさん展示していますし、パリのオペラ・ガルニエとニューヨークのリンカーンセンターのシャガールもその好例でしょう。)

 磁器人形は、このSambonコレクションに含まれていた作品群で、カポディモンテ、ドッチア、マイセン、セーヴル、チェルシーなどの俳優、演奏家、歌手、道化役者などが、ガラスケース2つに分かれて、びっちりと並んでいます。さらに、音楽や演劇関係者の白磁素焼きの小さな胸像コレクションもなかなかのものです。また、人形以外でもセーヴルの大壷などがあります。

 なお、ミラノでは、スフォルツェスコ城(Castello Sforzesco)内の美術館の装飾品セクションにも、マイセンなどの18世紀磁器が若干展示されています。(さらに、アンティーク磁器の範疇からは外れるかもしれませんが、リチャード・ジノリの20世紀初期の作品もいくつか見ることができます。)

 どちらも磁器作品を見るためだけに訪問すべき美術館ではないでしょうが、ともにミラノを代表するアトラクションであり、行かれる機会があるならば磁器作品も忘れずにご覧ください。
(2006年4月執筆)