トップ(top)   スポードのトップ

スポード 「967番図柄」コーヒーカップ (1815年頃) 他一品
Spode Pattern #967 Coffee Cup Ca.1815 and Another



 左側のロンドン型のコーヒー・カップがスポード製である。図柄はJapan図柄の頂点を極めた967番(スポード「S3」参照)である。ロンドン型のカップはメーカーの判別が難しいが、スポードの作品は取っ手の下部が若干広がる形で独自性が強く、比較的分かりやすい。また、マークも付けられており間違いない。(なお、スポードは磁器に関しては後発メーカーであるため、マークを模倣した贋作は極めて少ない。)
 さて、問題は右側のリング・ハンドルの付いたコーヒー・カンである。白磁の白さやかっちりと焼かれた磁体は、スポードの作品に遜色ない。しかし、リング・ハンドルはスポードではあまり用いられなかった(スポードで一般にコーヒー・カンに付けられた取っ手は、いわゆるキック・ハンドルである(スポード「S7」参照)。このカンは、形状だけなら、フライト(ウースター)により近い(ウースター「W52」参照)。図柄に関しても、スポードの967番に酷似している(カップの内外双方に描かれているか、外側だけに描かれているか、という違いはあるが)。しかし、よく比べてみると微妙な、しかし明確なデザインの違いが認められ、さらに渦巻き状の金彩の精密さは決定的に異なる。
 右側のカンはマークがないこともあり、製造メーカーを割り出すことは至難である。スポードの967番図柄は、その人気ゆえに、スタッフォードシャー地方の多くの磁器窯で大量にコピーされた。本品もそうした作品の一つであると考えられる。
マーク:左側のカップ裏面に赤で「967」。右側のカンは無銘。
Mark: <967> painted in red on the bottom of the left cup. None on the right can.